ビマさんがヨダさんの髪を掴む話「待てっ!」
「!!!」
俺がドゥリーヨダナの長い髪を引き寄せると、ドゥリーヨダナはへなへなと地面に座り込んだ。
その前を巨鳥が飛び去っていく。ドゥリーヨダナを狙った鷲爪が何も得ることなく遠ざかっていくのを密林の緑越しに見送って。俺は足元で荒い息をついているドゥリーヨダナを見下ろした。
「カルナとアシュヴァッターマンが見つからねぇからってうかつすぎねぇか」
いつものレイシフト。探索が目的だった俺達は先程の巨鳥の群れの襲撃に遭いバラバラになってしまった。
マスターからの魔力供給には異常がないので多分無事だが、すこしでも早く合流するに越したことはない。
だと言うのに、足元の馬鹿は立ち上がろうとせず俯いて肩で息をしている。
流石に様子がおかしくて、俺はその襟をひっつかんで立たせた。
途端、ふわりと香るのは。
「ぐっ! 首が締まるではないか馬鹿ビーマ!!」
ドゥリーヨダナは赤い顔をして怒鳴るが
「なんでイってんだ。おまえ?」
「おまえがっ!!いつも!!出すときにわし様の髪を引っ張るからだろうが!!!」
叫んだドゥリーヨダナは心底怒っているようだが。俺はにやにやと笑った。
俺とドゥリーヨダナが体だけの関係になってから随分経つ。その間にドゥリーヨダナはパブロフの犬のごとく条件付けされてしまったと主張しているのだ。この馬鹿王子は。
ーーー俺以外にドゥリーヨダナの髪を引っ張るヤツなんていない。
俺とそういう関係になってから尚の事アシュヴァッターマンとカルナが引っ付いているドゥリーヨダナに狼藉を働けるヤツは俺以外にいないのだろう。
「こんな格好じゃマスターの前に行けないぃ。すべて馬鹿ビーマのせい。霊基編み直うぅぅ」
しくしくとわざとらしく嘆いているドゥリーヨダナの体を俺は近くの木に押し付けた。
「っ、おまえは乱暴にしないという選択肢はないのか!?」
「この上なく手加減してるだろ!!」
「馬鹿ビーマ!!」
今の俺が手加減しなかったら腕の骨を折るどころではすまない。それを知っていても喚くドゥリーヨダナの口を黙らせる。
開かれた唇から舌を入れると、負けず嫌いのドゥリーヨダナは絡みつかせてきた。引っ張られて引っ張り返す。ぬるぬると柔らかい舌が解いて絡んでを繰り返す。熱くなって来た息がふたりの間で満たされる。頭の後ろがじりじりと溶けていく。
手にしていた槍を消す。何か来たら素手で対応すればいい。それよりもこいつに触れていたい。
日頃の軽装と違って三臨の生地は厚く、服の上からの細かい愛撫は伝わらないだろう。それでも指を滑らせれば鼻にかかったような声が漏れた。
木に押し付けていた手を離しても、ドゥリーヨダナは木肌に背中を預けている。
と、思ったら抱き寄せられた。かわいい事もするもんだ、と思ったのは一瞬。すぐにドウティの間に膝が割り込んでくる。
「おいっ!」
明らかな意図を持って擦り上げてくる膝に、俺はこいつの体ごと木に押し付けた。枝が揺れて細かい葉が落ちてくる。
それを払うように頭を振って、俺は笑いかけた。
「いたずらするやつを自由にするわけにはいかねぇよな」
にやにや笑っていたドゥリーヨダナの顔が強ばる。
俺はその肩掛けを取り上げて、まとめた両手をぐるぐると木に縛り付けた。
「わし様のお気に入りがしわになるだろうがー!!」
怒るのはそこかよ。
まあ、俺と同等の力を出せるこいつが本気になればこんな拘束もどきなど意味はない。暴れねぇってことは乗り気なんだろう。
「どうせ霊基を編み直すんだろ」
だったらもうちょっと汚してもいいよな?
肩の下まで伸びる長い髪に指を絡ませる。今度は意図して引っ張った。
「……わし様はお前のおもちゃではない」
今度は耐えきったドゥリーヨダナが、それでも涙目で俺を睨む。
こいつが無害なおもちゃだったら、ーーーどれほどよかっただろう。
凄惨な戦は起こらず。俺達も追放される事はなかった。
でも、この有害ではた迷惑でろくでなしのこいつのいない世界が、どれほど退屈で色褪せていたことか。
「お前は知らねぇだろうな。ドゥリーヨダナ」
俺が殺した体。俺が踏んだ顔。俺が奪った命。
仮初に蘇った体に俺の体を重ねると、甘やかな体臭と性の匂いがする。
こいつの厚い上着を後ろに払い。俺の帯を避けると身長がほぼ同じな俺達は同じ高さにそれぞれが揃う。
腰を引き寄せ、足の間に体を入れ、飾りのついた耳を甘咬みしながら体をこすりつけると、ルンギとドウティ越しの愛撫にドゥリーヨダナが唸った。
俺達の着ている衣装は王族のものだ。だから肌触りがよく滑らかでーーー俺はともかく一回達したドゥリーヨダナにはつらいものがあるだろう。
その顔を覗き込むと限界が近いようだった。
「もう一回出すか?」
「死ね」
即答されて思わず笑いがこみ上げる。
ーーーああ、こいつはドゥリーヨダナだ。
俺の好敵手。俺の従兄弟。そして俺のーーー。
昂ぶった体にドゥリーヨダナが顔を引き攣らせる。
俺はその顔を、何の傷もない顔を撫で。片手でこいつのルンギの裾をつまみ上げた。
「我慢するなら、これ持っていられるよな?」
たくしあげたルンギの裾を噛ませると、ドゥリーヨダナはあられもない格好で俺を睨んだ。
これは俺しか知らない姿。
プライドの高いドゥリーヨダナが見せてくれる痴態に煽られて俺は情欲に身を任せた。
「待てっ!」
「!!!」
俺がドゥリーヨダナの長い髪を引き寄せると、ドゥリーヨダナはへなへなと地面に座り込んだ。
その前を巨鳥が飛び去っていく。ドゥリーヨダナを狙った鷲爪が何も得ることなく遠ざかっていくのを密林の緑越しに見送って。俺は足元で荒い息をついているドゥリーヨダナを見下ろした。
「カルナとアシュヴァッターマンが見つからねぇからってうかつすぎねぇか」
いつものレイシフト。探索が目的だった俺達は先程の巨鳥の群れの襲撃に遭いバラバラになってしまった。
マスターからの魔力供給には異常がないので多分無事だが、すこしでも早く合流するに越したことはない。
だと言うのに、足元の馬鹿は立ち上がろうとせず俯いて肩で息をしている。
流石に様子がおかしくて、俺はその襟をひっつかんで立たせた。
途端、ふわりと香るのは。
「ぐっ! 首が締まるではないか馬鹿ビーマ!!」
ドゥリーヨダナは赤い顔をして怒鳴るが
「なんでイってんだ。おまえ?」
「おまえがっ!!いつも!!出すときにわし様の髪を引っ張るからだろうが!!!」
叫んだドゥリーヨダナは心底怒っているようだが。俺はにやにやと笑った。
俺とドゥリーヨダナが体だけの関係になってから随分経つ。その間にドゥリーヨダナはパブロフの犬のごとく条件付けされてしまったと主張しているのだ。この馬鹿王子は。
ーーー俺以外にドゥリーヨダナの髪を引っ張るヤツなんていない。
俺とそういう関係になってから尚の事アシュヴァッターマンとカルナが引っ付いているドゥリーヨダナに狼藉を働けるヤツは俺以外にいないのだろう。
「こんな格好じゃマスターの前に行けないぃ。すべて馬鹿ビーマのせい。霊基編み直うぅぅ」
しくしくとわざとらしく嘆いているドゥリーヨダナの体を俺は近くの木に押し付けた。
「っ、おまえは乱暴にしないという選択肢はないのか!?」
「この上なく手加減してるだろ!!」
「馬鹿ビーマ!!」
今の俺が手加減しなかったら腕の骨を折るどころではすまない。それを知っていても喚くドゥリーヨダナの口を黙らせる。
開かれた唇から舌を入れると、負けず嫌いのドゥリーヨダナは絡みつかせてきた。引っ張られて引っ張り返す。ぬるぬると柔らかい舌が解いて絡んでを繰り返す。熱くなって来た息がふたりの間で満たされる。頭の後ろがじりじりと溶けていく。
手にしていた槍を消す。何か来たら素手で対応すればいい。それよりもこいつに触れていたい。
日頃の軽装と違って三臨の生地は厚く、服の上からの細かい愛撫は伝わらないだろう。それでも指を滑らせれば鼻にかかったような声が漏れた。
木に押し付けていた手を離しても、ドゥリーヨダナは木肌に背中を預けている。
と、思ったら抱き寄せられた。かわいい事もするもんだ、と思ったのは一瞬。すぐにドウティの間に膝が割り込んでくる。
「おいっ!」
明らかな意図を持って擦り上げてくる膝に、俺はこいつの体ごと木に押し付けた。枝が揺れて細かい葉が落ちてくる。
それを払うように頭を振って、俺は笑いかけた。
「いたずらするやつを自由にするわけにはいかねぇよな」
にやにや笑っていたドゥリーヨダナの顔が強ばる。
俺はその肩掛けを取り上げて、まとめた両手をぐるぐると木に縛り付けた。
「わし様のお気に入りがしわになるだろうがー!!」
怒るのはそこかよ。
まあ、俺と同等の力を出せるこいつが本気になればこんな拘束もどきなど意味はない。暴れねぇってことは乗り気なんだろう。
「どうせ霊基を編み直すんだろ」
だったらもうちょっと汚してもいいよな?
肩の下まで伸びる長い髪に指を絡ませる。今度は意図して引っ張った。
「……わし様はお前のおもちゃではない」
今度は耐えきったドゥリーヨダナが、それでも涙目で俺を睨む。
こいつが無害なおもちゃだったら、ーーーどれほどよかっただろう。
凄惨な戦は起こらず。俺達も追放される事はなかった。
でも、この有害ではた迷惑でろくでなしのこいつのいない世界が、どれほど退屈で色褪せていたことか。
「お前は知らねぇだろうな。ドゥリーヨダナ」
俺が殺した体。俺が踏んだ顔。俺が奪った命。
仮初に蘇った体に俺の体を重ねると、甘やかな体臭と性の匂いがする。
こいつの厚い上着を後ろに払い。俺の帯を避けると身長がほぼ同じな俺達は同じ高さにそれぞれが揃う。
腰を引き寄せ、足の間に体を入れ、飾りのついた耳を甘咬みしながら体をこすりつけると、ルンギとドウティ越しの愛撫にドゥリーヨダナが唸った。
俺達の着ている衣装は王族のものだ。だから肌触りがよく滑らかでーーー俺はともかく一回達したドゥリーヨダナにはつらいものがあるだろう。
その顔を覗き込むと限界が近いようだった。
「もう一回出すか?」
「死ね」
即答されて思わず笑いがこみ上げる。
ーーーああ、こいつはドゥリーヨダナだ。
俺の好敵手。俺の従兄弟。そして俺のーーー。
昂ぶった体にドゥリーヨダナが顔を引き攣らせる。
俺はその顔を、何の傷もない顔を撫で。片手でこいつのルンギの裾をつまみ上げた。
「我慢するなら、これ持っていられるよな?」
たくしあげたルンギの裾を噛ませると、ドゥリーヨダナはあられもない格好で俺を睨んだ。
これは俺しか知らない姿。
プライドの高いドゥリーヨダナが見せてくれる痴態に煽られて俺は情欲に身を任せた。