テスデイでタヒねたもう元の星に帰ることの叶わない宇宙人デイが、契約の最後テスカに自分の死を喰ってもらう話。
死にかけでも最期まで冷静なまま変わらない様子のデイと、いつもよりご機嫌で声が優しいテスカ。
いつも通り二人の会話をした後、痛みのないように心臓を抜き取り、目の前で食べてあげる。
それは最期の願い。“戦いの神”は捧げられた生贄を残らず平らげる。
そしてそこには何も残らなかった。
その肉体は人間のまま。
理不尽な運命に晒され続けた異邦人の最期に痛みはなく。
復讐は果たされなかった。
だがその死は誰にも渡されなかった。
空に向かって手を掲げるのが癖なデイ。
本人も無意識なのか、何故そんなことをしているのか、全く心当たりがない。
そして訪れた最期の時。
霞み始める視界の中で、デイは空に向かって手を伸ばす。
その先には輝く星々があった。
そうか、俺はずっと
「……帰りたかったのか」
誰も理解しようとしなかった故に、誰にも理解されなかった男。
そんな男をずっとそばで見てきた神さま。
「なんだ、やっと気付いたのか」
その神が望んだことは。何でも知っているようで、一番の望みすらずっと気付かなかった男に、気付くまでの時間を与えることだった。
帰れなかった男の死体がひとつ。そこには残されるだけ。
→聖杯戦争でマスターが死亡した場合の、サーヴァントが消えて死体だけ残る奴、切なくて寂しくて好きだけど嫌いなんだ。