ライハルでdom/sub(subspaceの話)「ハルマ、大丈夫か?」
「…う、ん」
ハルマはspaceに入りやすい体質だ。
でも、最近は何だか上手く入れないようで。
どうやら俺のために頑張ろうと、入りかけるのを我慢していたようだ。それが癖になってしまった。
感情がある一定を超えると逆にspaceに入りづらくなってしまうらしい。
撫でてあげたりさすってあげたり…触れて落ち着かせるのがいいと思うのだが…。
「ん……うぅっ……今は、ちょっと…」
ハルマの場合は、"触れてもらいたい"というのが強く現れている欲求なので、今それは逆効果みたいだ。
なので。
「無理せず、素直にspaceに入っていいんだ。……」
「…、あ…」
今はあんまり触れないほうが良いんだが…手に触れるのはどうか、許してほしい。
「ハルマ、大丈夫だ。ゆっくりでいい。…落ち着いて。」
「…ん」
額を合わせてみる。
……少し熱いだろうか。
「…呼吸はできるか。ゆっくりでいいぞ」
「…………」
深く息を吸って吐く。何度か繰り返すうち、徐々に落ち着いていくのがわかる。
まだ顔は火照っているようだが、さっきよりもいい感じだ。
「ハルマ、頑張ってくれてありがとう。嬉しいけど、心配になるから…」
「…心配?」
「うむ。あと…お前に触れられないのはちょっと…辛いから…」
「………俺も…、おまえに、触れてもらえないのは…嫌っしょ…」
……
「も…、だいじょうぶ…」
「…そうか」
「あの、さ…、」
「ああ。大丈夫だ。ちゃんと見てるから……行ってきていいぞ」
「……あり、がと………」
…よかった。ちゃんとspaceに入れたみたいだ。
……以前のdropとは違うけれど、精神的な負荷という意味ではあれもdropと大差ない気がする。
…また、やってしまったな。
そういえば、ハルマはセーフワードを使った覚えがない…。もちろん使わせたくはないが、これでは意味がない。本来、限界を感じたり、嫌だと思った時などに使うものだけど…。俺のためにと頑張ってしまう彼だから、感情が飽和する前にも使ってほしい。
コマンドを使うと確かに満たされるものはあるが……ハルマがちゃんと嬉しいと、幸せだと、感じてもらえる方が満たされるものはあるのだ。
セーフワードを言う練習……。
もちろん、言わせることは可能だ。コマンドを使うのなら、の話だが。
…そんなこと、させてもいいのだろうか。……ううん、やっぱりそんなのはだめだ。俺としても、ハルマの限界は知らなくてはいけない事だ。だけど、こればかりは、ハルマ自身が声を上げてくれなければ動けない気もする。
…本意ではなくとも、少し強引にいってみたほうが…いいのかもしれない。