今日貰うもの、奪うもの ガシャン、と煩い機械の音と共にサイレンが響く。
たった2人。残った仲間を逃して地面に倒れ込む。
「ごめんなさいね、お誕生日なのに」
ヴィオレッタはせめても、と優しく繭に包んでくれた。血と土に汚れた顔で最後の力で礼の代わりに微笑めば、彼女は包み終わった手をばいばい、と振った。
今日は誕生日。これは本日最後のゲーム。帰ればパーティー。それなのに。
まだ、恋人には会っていない。
ゲームが終わり、ナワーブは自室のベッドに腰をかけてぼうっと扉を見つめていた。
ナワーブには悩みがある。ここ最近の話ではない。
殺人鬼から愛の告白を受けて半年ほど越した。彼に特別な感情を抱いていないままYesと答えたのは、単に彼の示す愛に興味があったからだ。それを隠して冷静でいたつもりだったのに、隣にいるのが心地良くなり、気が付けば彼に好意を抱いていた。
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