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    そいそい

    @soi_07

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    そいそい

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    キスの日に間に合わなかったリュウシマ。

    キスの意味キスはする場所によって意味があるという。それを知ったのは最近のこと。それもこれも毎年5月23日に行われる、あの人の悪戯のせい。
    最初の年は、前髪だった。何気なく僕の前髪を手で遊ばせていたリュウジさんが、不意に唇を落としたのだ。あまりにも突然のことで、僕の身体は固まってしまった。それを笑うリュウジさんに、揶揄うのはやめてくださいと怒ったのを覚えている。
    次の年はおでこ。リュウジさんのお手伝いをして、助かったよと頭を撫でられているときのことだった。そのままリュウジさんの唇が僕のおでこに触れたのだ。それは親が子どもを褒めているときのようで、子ども扱いされたと少しムッとした。
    その次の年は手の甲。ちょうど空手で手を少し痛めていたときのことだった。見せてみろと真剣な眼差しで、リュウジさんは僕の手を取った。一通り具合を確かめたところで、リュウジさんはそっと僕の手の甲へと口付けをしたのだ。そのときの僕は、王子様がお姫様へ贈る口付けというよりは、早く治りますようにというおまじないとしての口付けだと受け取っていた。
    去年は頰だった。超進化研究所のリュウジさんの事務室の傍で、宿題に取り組んでいるときだった。難しい数式に頭を悩ませていると、コツリと机にマグカップが置かれる。それに気づいて顔を上げれば、リュウジさんがいた。甘い香りがするそれは、きっとココアだろう。ありがとうございますと笑いかければ、なんてことないよとか言いながら頰にキスをされた。あまりにも何気なく行われるそれに、僕の思考は停止してしまった。そして、僕が口を開く前に、リュウジさんは行ってしまった。
    そして、今年もその日がやってくる。5月23日。誰が決めたのか、キスの日だ。最初の年に、何気なく今日はキスの日なんですよっと話を振ったのがいけなかったのだ。その年から、なぜか毎年この日にだけリュウジさんはキスをしてくれる。しかし、それだけで特に何も言ってはくれない。物分かりのいい子でいたくて、キスの理由もその意味も問いただせずにいる。そんな月日をもう5年も過ごしているのだ。とうに高校だって卒業してしまった。そろそろ愛情を示してくれてもいいはずだ。
    心の中でどれだけ悪態をついていても、この日になれば性懲りも無くリュウジさんの一人暮らしのアパートに来てしまう。
    「リュウジさん…」
    そして、物欲しげな視線で強請ってしまう。だって、今日しかその唇で触れてもらえないから。そうすれば、今日だったなとリュウジさんは目を細める。リュウジさんが僕の頰に触れる。それだけで、僕の胸が期待で高鳴る。スッと目を閉じれば、ぐっと引き寄せられる。そして、リュウジさんの唇が触れた。
    「あ、んっ…」
    思わぬ刺激に声が漏れる。リュウジさんが触れたのは、僕が欲していた場所ではなかったのだ。
    「リュ、リュウジさんんんっ…」
    非難の声を上げようとしたが、首筋をリュウジさんに舐め上げられ、言葉が出なくなる。そうかと思うと、今度は勢いよく吸いつかれた。少し痛みを伴う感触に、僕の身体はゾクリとする。チュッと音を立てながら、リュウジさんの唇が離れていく。トロンとしながら見つめる先のリュウジさんは、満足げに僕の首筋にできた跡を指でなぞっていた。
    首へのキス。それは執着だ。その事実がどうしようもなく僕を熱くさせる。
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    そいそい

    DONEはっぴーリュウシマ真ん中バースデー🥳

    真ん中バースデーとはあまり関係ない話になってしまいました。あと、ひっちゃかめっちゃかしてます。すみません🙏

    ※注意
    かっこいいリュウジさんはいません。
    社会人リュウジさんと大学生シマカゼくんの話です。
    ヤマクラ前に考えた話だったので、シマカゼくんの進路は捏造しています。
    かっこいいリュウジさんはいません←ここ重要
    あの部屋 大学の最寄駅から地下鉄に乗って一駅。単身者向けのマンションの三階の一番奥の部屋。鍵を出そうとしたが、中に人の気配を感じてやめた。そのままドアノブをひねると、予想通りすんなりと回る。そして玄関の扉を開けば、小さなキッチンのある廊下の向こうで、メガネをかけて、デスクに向かっていたあの人がちらりとこちらに視線をくれた。
    「また来たのか」
     呆れながら言うあの人に、ここからの方が学校が近いのでといつも通りの答えを返す。そうすると、少しだけだろといつも通りにあしらわれた。
     ここは僕の下宿先というわけではない。超進化研究所名古屋支部に正式に入所したリュウジさんが一人暮らしをしているマンションだ。もう少し超進化研究所の近くに住めばいいのに、何故か程遠い名古屋の中心部に部屋を借りている。そのおかげで僕は大学帰りに寄ることができているのだ。
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