お泊まり「特に面白味もない家だけど、どうぞ」
「……っ」
「れおくん?」
初めてだった。初めて他人の家に来た。始めに目に付いたのは玄関に飾ってある花。ドアを開けた瞬間、名前はわからないけれどオレンジ色の大きな花弁から良い匂いがした。
今、セナの家に来ている。
夜のジョギングをしていたらしいセナが、公園で作曲をしているおれを見つけた。こんな所で何してるのぉ? なんて話しかけられて、こんな時間からセナに会えた喜びに感動して作曲を続けようとしたところ、突然雨が降ってきたのだ。
最悪! と独りごちるセナに首根っこを掴まれたと思ったら、ズルズルとこの近くにあるらしいセナの家へと連れて行かれて、今ここに居る。
「早く入りなよ。れおくんもびしょびしょでしょ~?」
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