命にはいつか終わりが来る。
早いか遅いかの違いだけ。身体はただの肉の塊で内臓はただの物体でしかなくて死んだあとは土に埋められて微生物によって分解されて終わりだ。
僕がいつも見てきて触れてきたもののはずだった。こんなにも自分は命に向き合っているという自信さえあったのに。人体を知り尽くして人の役に立てていると自分のやるべき使命を全うしていると今の今迄本気で信じていたのに思い上がりも良いところだ。死んだあとの内臓や骨などの重みはいくらでも知っているのに滑稽すぎて笑えない。解剖器具を振りかざして肢体を弄って人よりもわかっていたつもりになっただけ。ちゃんと命という重みを感じていなかった。
「…っ…仙ちゃ、…仙ちゃん…」
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