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    sigureno_3

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    仮面ライダーローズル二次創作
    誰でもないひと視点の話第2弾

    吟遊詩人はかく食べる「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
    どの店もランチの時間が終わってしまい、途方に暮れていたときに見つけた喫茶店。出迎えてくれたのは花と珈琲の香り、そしてモテるのだろうな、と咄嗟に思うほど甘いマスクの店員だった。
    「ごはんもの、ってありますか」
    「こちらのメニューに」
    「あっ、と。ハヤシライスで。あとアイスコーヒーを」
    二人がけのテーブル席に腰掛ける。水を飲んでやっと一息。店内を見回す余裕ができた。アンティークの調度品は男主人の喫茶店にしては可愛らしいモチーフが多い気がしたが、落ち着けることに変わりなく。
    店内には女性客がカウンターで一人ノートパソコンを叩いていた。姿勢がいい。キャンパスで見かけたこともある気がする。
    小皿の上にはジャムの乗ったクッキー。マグカップだから紅茶ではないだろう。
    「クッキー、うちの自慢なんです」
    出迎えた店員がハヤシライスを置きながら、そんなことを言う。見られていたのが恥ずかしく、「次来た時に」とだけ応えた。
    ハヤシライスは玉ねぎのあまみが牛肉の旨みと合わさって自然と笑顔が綻ぶ。おいしかった。
    店を出て、ヒマワリが視界に入りそこでようやく隣が花屋だったことを知る。それから、あの花の香りの出処に気づいたのだった。
    サラリーマンのいでたちをした眼鏡の男性がその店をちらと見やって通り過ぎていく。料理もおいしいですよ、なんて話しかけたくなったがすんでのところで我に返る。
    今度はクッキーを食べよう。そう決めながら。

    「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
    院の研究が多忙を極め、やっと一息と外に出た。ふらりと足か向いたのはいつかの喫茶店だった。ヒマワリ、ジニアと夏の花が華やぐ姿にあれから季節が一巡りしたことに気づく。隣の扉を開けば、花とコーヒーの香り。晴れやかな微笑みと共に出迎えてくれたのは記憶の男性ではなかったけれど。
    「えっとイリアス特製クッキーと、アイスコーヒーで」
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    エイリアン(小)

    DONE七五(過去作品)
    第0回お題「料理」
    ...労働はクソだ。
    体全体を包み込む倦怠感、目の奥がジンとして熱い上、吹き付ける風は冷たく、指先から体温が奪われていくのを感じる。ひどく眠い。
    少し早足気味に入ったエレベーターホール、ボタンを押して、やってきたエレベーターに乗り込んだ。
    ゆっくりと上がっていくエレベーターの中でこめかみをほぐすように押す。
    別に呪霊に手こずったわけではない。全ての任務において呪霊の級は二級が殆どであり、幾つかの任務では一級討伐のものもあったものの、そのどれもが一級でも下、どちらかと言えば二級に近い程度の呪霊だった。
    問題なのは、その量。
    呪術高専を規として2、3時間の移動を必要とする任務が多数あり、全てこなすのに丸四日。
    柔らかいとは言えない車内のシートで短時間睡眠のみを取り続け、食事は冷たいコンビニ食ばかり。
    決して車のシートやコンビニ食を卑下しているわけではないのだが、やはり体は柔らかい布団や温かい食事を求めてしまう。
    時刻は0時、深夜帯に差し掛かるこの時刻に外を出歩くような住民なんてこのマンションには少ない。
    静まり返った廊下に自分の足音のみが響く。
    部屋の前、鍵を取り出して差し込み、回した。
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