【五+夏】特級呪物・連理の簪①【ブロマンス】「悟、ラーメン食わないか?」
「ひのき屋? 行く行く!」
高専から麓へ少し下ると、ほどなく小さなラーメン屋が見えてくる。藍染めの暖簾を潜ると、まずは券売機。続くたった四席のカウンターの奥には、捻り鉢巻の大将がしかめ面で立っている。
「いらっしゃい」
俺の定位置は一番奥、隣が傑だ。各々置いた食券を一瞥して、大将はテボに麺を放り込んだ。
「七海、大丈夫かな? 今日結構キツくしたよね」
ついさっきまでやっていた自主練は、灰原が座学の補習だとかで、一年生は珍しく七海一人だった。
「あれぐらいでバテるとか弱すぎ。任務で死ぬより俺らにしごかれてぶっ倒れる方がマシだろ」
「それはそうだけど」
傑は苦笑いして、首に掛けたタオルで汗を拭った。シャワーを浴びたばかりの長髪はまだ湿っていて、白いTシャツの背中に染みを作っている。
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