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    primulayn

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    primulayn

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    りゅうくろ

    13時に駅前のコンビニ前。
    そう決めていたにも関わらず、現在の時刻は約束を少し過ぎてしまっている。
    今日は清澄と初めてオフの約束をした。緊張と期待ではやる気持ちを抑えきれずに家も早めに出てきたのに、こういうときに限って電車が遅延したり乗り換えに失敗したり…

    『ごめん清澄!少し遅れる!』

    急いでLINKを開いて待ち合わせ相手にメッセージを送る。

    『大丈夫ですよ、お気をつけて』

    少し間が空いて返信が届く。
    折角の初デートなのにほんっとに申し訳ない…!

    急ぎ足で駅構内を移動し、改札の外に出る。
    約束のコンビニはすぐ目の前だ。
    走って駆け寄ろうとするも、俺は思わず立ち止まってしまった。
    待ち人が一人ではなかったのだ。

    清澄が、誰か知らない男と話している。

    「すみません、道を訪ねたいんですが」
    「あ、はい…道案内ですか?私はこの駅に詳しくないので駅員さんか交番に行かれたほうがよろしいかと…」
    「じゃあさ、ちょっとそこのカフェでお茶していかない?」
    「お茶…ですか?しかし私は人を待っておりまして…」
    「その人が来るまででいいからさ、ほら!」

    ナンパだ。
    超典型的なナンパ!
    清澄は気づいているのかいないのか、ともかく上手くあしらえずに困っているようだ。
    俺は思い切って、駆け足で清澄の元に走った。

    「清澄!」

    男と清澄がこちらを振り返る。

    「木村さん、こちらの方は道に迷われていて…」
    「すみません、俺の連れなんで失礼します!」

    その男を一瞥してそう言い放つと、俺は清澄の手を取って走り出した。

    「き、木村さん!?」

    男が見えなくなるまでひたすら走る。
    …そろそろ大丈夫かな。
    確認のため振り返ると、清澄が小首を傾げて俺の顔を見つめていた。

    「急に走り出したりして、どうしたんですか?」
    「清澄、いまナンパされてたんだよ」
    「ナンパ、ですか…」

    やっぱり気づいてない!!
    本当に道を聞かれただけだと思ってる…!

    「清澄は綺麗だし人目を引くから変なのにも引っかかりやすいんだな…」
    「変なの、かどうかはわかりませんが、よく人からは声をかけられます」

    もしかして日常的にこういうことがあるのか?
    そんなの、放っておけない。
    思わず、繋いだままの手をぎゅっと握り締めてしまった。

    「…あっ」

    手を繋いでいたことに気づいたのか、清澄は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
    そして俺も、時間差でその事実に気づいてしまった。

    「ご、ごめん!」

    咄嗟に掴んでしまった手をぱっと離す。
    何だか凄く照れくさくなって思わず頭を掻いた。

    「と、とりあえず、行こうか!」
    「は、はい!」

    何ともぎこちない会話で、俺と清澄の初めてのデートはスタートした。

    少し離れて歩きながら、自分の左手の感覚に思いを馳せる。
    清澄の手は白くてさらさらで、繊細で、そして少しひんやりしていた。

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