「本日もありがとうございました」
清澄が深々とお辞儀する。
助手席を挟んで俺は目を細めて笑った。
「いいって。今日も楽しかったよ!」
「はい、私もです」
今日ここからスタートした一日を振り返る。
昼頃からゆっくりドライブ、いつもの水族館に行って、帰りがけに道の駅に寄ったりして、夜景を見ながら清澄の家へ。充実したデートだった。
最初の頃は彼が遠慮してなかなか許してもらえなかった車でのお迎えもずいぶん慣れてきて、今ではもうカーナビの案内がなくても清澄の家に辿り着けるようになった。
「じゃあまた。おやすみ」
「ええ、木村さんもお気をつけて。おやすみなさい」
カチカチと鳴るハザードランプが車内に響く。
名残惜しいけど、もう帰らなくちゃ。
俺はサイドブレーキを引いてゆっくりとアクセルを踏む。
少しずつ動き出す車体、変わりゆく景色。
バックミラー越しに手を振る清澄が見えて、俺は愛おしさで胸が一杯になった。
早くまた会いたいな、いま別れたばかりなのに。
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