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    oct_summer_moon

    @oct_summer_moon

    文章練習頑張りたい。基本オクライばっか書きます

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    oct_summer_moon

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    なるべく毎日かこうという自主練その6。熱を出すアジャイと看病するオクタビオの話。オクライは仲違いしてても困ったときにそばにいてくれる存在だったらいいなぁ……

    熱に浮かされて 聞き慣れた機械音が近づいてくる。私はベッドから起き上がらずにその音に向かって問いかける。

    「なんであんたがここにいるのよ」

     何度かインターホンが鳴った後、急に家の扉の鍵が空いたときは肝が冷えた。ただ、その足音が聞き覚えのあるものだったので、とりあえず見ず知らずの不審者ではないことを悟ると、今度は怒りが湧いてきた。

    「アネキが風邪引いたって聞いてな。お見舞いってやつだ」

     近くのコンビニのレジ袋を手に、彼が近寄ってくる。シルバと仲違いしてから、彼がこの家を訪れることはなかった。だからすっかり合鍵の存在を忘れていた。後で鍵を変えなければいけない。そんなことを熱に浮かされた頭でボーッと考える。

    「最近忙しそうにしてたからな。医者の不養生ってやつか?」
    「……誰のせいよ」

     シルバが彼の父(とは言え、本物の父はすでに亡くなっているようだが)の味方についてから、私は居場所を失ってしまった。フロンティア兵団も母親に乗っ取られ、思ったような活動ができなくなってしまった。
     だから、私は自力で戦場へ赴き活動をする必要が出てきてしまった。

    「誰のせいかは分からないが、とにかく今は休んでおけ」

     袋から冷却シートを取り出し、私の額に当てる。ひんやりとした冷気が体温を下げていく。

    「チキンスープ買ってきたけど、食べられそうか?」
    「……うん」

     彼の世話になるのは癪に触るが、休まなければいけないのは本当だ。彼のことは許せないが、その好意はありがたく受け取っておこう。
     シルバはスープを温めにキッチンへと向かっていった。部屋には私一人だけ。先程までと何も変わらないのに、家の中に誰かいると言うだけでどこか安心感があった。

    ☆★☆

    ――ちょっと!すごい熱じゃない!ちゃんと寝てなさい!!
    ――これくらい平気だ。
    ――何が平気よ!!ほら!横になって!!!
    ――寝るだけなんてつまらねーもん
    ――じゃあ、ずっと私がお話してあげるから、大人しくしてなさい。

     はっと目が覚める。気づいたら寝てしまっていたのだろう。窓から差し込む日差しはだいぶ傾いており、枕元では端末をいじっている幼なじみの姿があった。

    「ああ、起きたか」
    「あんた、なんで……」
    「それ、昼にも聞いたな」

     ケタケタと彼は笑いながら端末をサイドテーブルに置いた。そのまま彼の手は私の頬へと添えられる。私よりもだいぶ冷たく感じる彼の手が今は心地よかった。

    「昼間よりは落ち着いてるな。今、スープ温め直してるからちょっと待ってろ」

     立ち上がった彼の腕を掴み、この場に留める。予想外の行動だったのか、振り返ったシルバの目は見開かれていた。

    「どうした?どこか痛いか?」
    「……ううん。ただ、寝るだけってつまらないなって思って」

     我ながららしくないと思う。多分、熱のせいなんだろう。

    「じゃあなんか楽しい話でもしてやるよ」

     再びベッドサイドに腰掛けたシルバは、あのときの私のように、いつもよりも優しい声で言葉を紡いでいた。
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    oct_summer_moon

    TRAININGなるべく毎日かこうという自主練その4。ゲームをする幼少期のオクライ(とその後)の話。ゲームに既視感がある?最近プレイしてるからね。ついね。
    ぼっこぼこ「オー。頼んでいたやつ、買ってくれた?

    「ああ、もちろんだぜ、アジャイ!」

     俺の部屋の扉を閉めるなり、アジャイは間を置かずに問いかけてきた。俺が準備していた物を取り出すと、アジャイは俺の手からそれを強奪して、真っ先に俺の部屋にあるテレビへと駆け寄る。
     それは俺のゲームなんだけどな、なんて思いながらもそれを咎めることはしない。彼女にとって唯一ゲームをすることができる空間がこの場所、俺の部屋だけだと知っているからだ。
     俺たちはそこそこの家の生まれだ。そう言われると欲しい物何でも手に入ると思われることもあるだろうが、実際はそんなに甘くない。それぞれの家庭の教育方針によって、手に入る者は大きく制限される。アジャイの家は娯楽に関するものは徹底的に親に管理され、自宅でゲームをプレイすることができない。その点、俺の家では比較的その辺は自由だ。なので、アジャイが気になるゲームがあれば俺が購入し、アジャイは俺の家でプレイするというのが俺たちのスタイルとなっていた。
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