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    oct_summer_moon

    @oct_summer_moon

    文章練習頑張りたい。基本オクライばっか書きます

    @oct_summer_moon

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    oct_summer_moon

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    なるべく毎日かこうという自主練その7。物語のハッピーエンドについて話すオクライの話。完全に雰囲気。

    もしもの話「ねえ、オー。もしも私達のどちらかを殺さないと生きれないって言われたら、どうする?」

     雑誌から顔を上げずに、アネキが問いかける。はぁ?と間の抜けた声が出てしまうと、アネキは「何その声」と笑った。

    「今読んでる漫画で、幼なじみのどちらかがしなないとどちらも死んでしまう状況になってて。私達だったらどうするのかなって」
    「どうするって……そりゃ――」

     そんな事、迷うまでもなかった。

    「俺が死ぬだろ」
    「私が死ぬわよね」

     声が揃った。「え?」という声さえも。

    「なんであんたが死ぬのよ」
    「そっちこそ。なんで俺がアネキを殺すんだよ」

     俺がアネキを殺して生きながらえるなんて絶対に有り得ない。アネキのいない世界なんて退屈で、生きていく価値なんてない。

    「あんたが私を殺せなくても、私はあんたを殺せない。きっとそういうタイミングが来たら、私は自分で自分の人生を終わらせるわ」
    「そりゃ全く同じだぜ。Chica。俺はアネキがいない世界で生きていけるほど図太くはない」
    「重すぎない?」
    「お互い様だろ」

     どうせ空想上の話だ。ここでどれだけ議論を重ねたって意味がない。それでもその『もしも』の話を辞められないのは、その答えの出ない話し合いが存外楽しかったからなのかもしれない。

    「それで?その漫画の結末はどうだったんだよ」
    「ああ、二人は結局お互いを殺さない道を選んだのよ。崩れ行く世界で、二人の未来が永遠であることを願いながら二人で消えていたわ」

     それは、どれだけ理想的な世界なんだろう。たった二人だけの世界で、大切な人と最後の時を過ごせるなんて。
     俺は何もいらない。早く走れる足も、見ず知らずの人間の愛も。ただ一つ、目の前にいる彼女と過ごせる時間さえあれば、それで満足なのだ。

    「それは、この上ないハッピーエンドだろうな」

     理解されないかもしれない。馬鹿だと言われるかもしれない。でもその二人は、或いは俺にとっても、それが一番の幸せなのだろう。

    「ええ。きっとそうね」

     アジャイは手元の雑誌を閉じ、口元を緩めた。
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    oct_summer_moon

    TRAININGなるべく毎日かこうという自主練その4。ゲームをする幼少期のオクライ(とその後)の話。ゲームに既視感がある?最近プレイしてるからね。ついね。
    ぼっこぼこ「オー。頼んでいたやつ、買ってくれた?

    「ああ、もちろんだぜ、アジャイ!」

     俺の部屋の扉を閉めるなり、アジャイは間を置かずに問いかけてきた。俺が準備していた物を取り出すと、アジャイは俺の手からそれを強奪して、真っ先に俺の部屋にあるテレビへと駆け寄る。
     それは俺のゲームなんだけどな、なんて思いながらもそれを咎めることはしない。彼女にとって唯一ゲームをすることができる空間がこの場所、俺の部屋だけだと知っているからだ。
     俺たちはそこそこの家の生まれだ。そう言われると欲しい物何でも手に入ると思われることもあるだろうが、実際はそんなに甘くない。それぞれの家庭の教育方針によって、手に入る者は大きく制限される。アジャイの家は娯楽に関するものは徹底的に親に管理され、自宅でゲームをプレイすることができない。その点、俺の家では比較的その辺は自由だ。なので、アジャイが気になるゲームがあれば俺が購入し、アジャイは俺の家でプレイするというのが俺たちのスタイルとなっていた。
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