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    Nuwa_150

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    Nuwa_150

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    聖杯戦争に参加する千年長生き晴明さんと召喚されたキャスター道満が見たいとかマロ送った君!君のせいで!ちょっとだけ、書きたい冒頭書いちゃったよ!
    ふぅ……もう満足したし、やっぱ全体を書くのは疲れるので無理だとわかりました。

    #聖杯戦争
    holyGrailWar
    #fate
    #安倍晴明
    haruakiAbe
    #蘆屋道満
    ashiyaDoman

    歪霊聖杯異記 Fate/Ghost of revenge


     この土地は呪われている。
     終戦後、数多く落ちた弾頭と共に、神秘のヴェールは破壊された。
     人々は信仰を失った。
     崇め奉った現人神が鬼畜米兵に負けたのだ。
     だが、残されたモノはある。
     高度経済成長期を迎え、神秘が死んだ、この世界でも生きている呪いがある、神秘がある、人々が信じ続けている魔術のテクスチャがある。
    「Ghost of revenge……」
     一人の魔術師が、母国語で呟いた。言葉は魔術である。人の思考を制限し、神秘を象る原初のツール。
    「即ち、怨霊」
     この国の人、思考、民族、宗教性を表す言語。独自の観念を掴んだのは、この日のためだった。
     1999年、動乱の経済崩壊を迎えて、もはや彼らが信奉するのは神の慈悲ではない。
     天、地、空、物、人、それらの『怨み』だ。
     この国の者たちは、神を信じない。しかし、厄災を落とす『霊』は信じている。
     この土地で強い力を手に入れるなら、神を崇めるより、墓を暴く方がよほど障る。
     魔術師は笑った、なんという皮肉!
     暗雲から開放された月光が、舐めるように外界を照らした。
     外套に包まれた魔術師が立つは霊園。
     杖を突きながら歩けば、トン、と軽い音で地面にピシリと蜘蛛の巣のように亀裂が入る。
     魔術師の歩んできた道を見れば、その亀裂が意図をもって、地面に点在していた。それは空から見下ろすと、形を成していた。
     魔術の印章は難解にして、複雑。素人が目にしても、奇妙な亀裂にしか見えないだろう。
     しかし、それは通った者に薄ら寒さを感じさせるには充分な瘴気を放っていた。
     魔術師は、とある墓所の前で立ち止まると、杖をかかげる。
    「霊脈に堕つ星々の呪いよ、我が御前に集いたまえ」
     最後の一打である。これで儀式は完結する。
    「この打擲により、目覚めたまえ、御前に現れ給え、怨霊と恐れられし神よ、我が御前に……」
    「Don't you learn from your mother in your country not to destroy the grave(お墓を壊してはいけないと、故郷のお母さんから習わなかったかな?)」
     軽薄なほど軽い口調で、角の立ったイギリス英語が割り込む。まるで子供に語り聞かせるような、皮肉たっぷりの物言いに、魔術師は笑う。
    「現れたか、護国の魔術師……いや真名で呼んだ方がいいですかな、安倍晴明殿?」
     魔術師が振り返ると、そこにはスーツ姿の男が立っていた。
    「あはは、真名を呼ばれたのは久しぶりですね、いえ、全く嬉しくないですが」
     声では、笑いを作ろうとしていたが、目が全く笑っていなかった。むしろ、その瞳の奥にある感情は敵意に近いだろう。
    「いやはや、本当におられるとは。神秘の残る、この国でしか有り得ない、千年を生きる半神!敵でなければ、じっくり話を聞きたかった所ですが……」
     魔術師は杖を構えるので、晴明はやれやれと肩をすくめる。
    「真名がわかった所で、二百年も生きてない魔術師如きに遅れは取りません。降参するなら、今のうちですよ」
     そう言いながら、彼が歩いて来た道は蛇が這い寄るように、植物が生い茂り、地面のヒビ割れを塞いでいく。術の阻害は始まっていた。
    「その墓を、将門公の眠りを脅かす者は許しません」
     晴明が見つめる、その墓に刻まれた名前は紛れもなく、彼の人の名があった。
    「わざわざ各地に逸話を残し、真贋の区別をつけなくしたというのに、見つけるなんて、無駄な努力に呆れますよ」
     晴明が歯を鳴らす、その吐息の一つ、一つが、この土地と結びつき、正しい魔力の流れを作り出す。緻密な術式が、内側から魔術師の術を破壊していく。
     崩壊は、もうまもなくであった。
     しかし、何かがおかしい、とは晴明自身も思っていた。
     あまりにも、容易すぎるのだ。嫌な予感がした。
    「安倍殿、この国の人々は非常に勤勉で優秀で抜け目ない……が、弱点がある」
     魔術師は、余裕の笑みを浮かべて空を指差した。
    「Defeated by quantity.(物量で押し切られる)」
     暗雲から飛び出してきたのは、空を切り裂く、真っ赤な星条旗。鋼鉄の翼を広げ、悠々と跋扈する自由の侵略者。
    「B-29!なんで、あんな大戦の遺物が平成に……!?」
     疑問を口にしている間に、しかしすぐに理解が追いつく。アレもこの国では「怨み」の対象である。
     この魔術師が基盤に置いているモノが、ソレであるならば、なんとしてでも手に入れただろう。
     飛ばし、音を消し、姿を消す魔術も、高度1000mも離れてしまえば、晴明の感知の外に出てしまう。
     しかし、それのパターンを予測しなかった理由は、問題があるからだ。即ち。
    「See you on the other side(あの世でまた会おう)」
     その言葉と共に、弾頭が落とされる。ナパーム焼夷弾は地面に落下すると、その衝撃で爆発し、全てを吹き飛ばした。
     衝撃、風圧、炎上、延焼、そのほとんどが土地ごと抉り取るように消し飛ばす。
     燃え盛る地獄の中で、炎と時以外の全てが止まる筈だった。
     ゆらりと動く影が立ち上がる。
    「ごほっ」
     炎の中に清浄なる空気が膜のように晴明を包み込む。数秒の間に編んだとは思えぬほどの精度ではあったが、美しい顔に煤がつくのは免れなかった。
    「私じゃなきゃ死んでましたよ……っていうか、死にましたよね?」
     顔の煤を拭い、熱で焼ける喉をおさえながら、晴明は周囲を見渡す。
     目の前に広がる焼け野が原では、最早、魔術師だったものの残骸も見られない。
    「うわっ最悪ですね……」
     だが、地面に目を向ければ分かった。ナパームの粘着質な液体が、魔力でもって召喚式の形を描き、燃え盛っていたのだ。魔術と技術の融合。
     目の前に立っていた魔術師は、まぎれもなく一級の魔術師である。
     しかして、此度の敵はそれを「使い潰した」のだ。
    「真の召喚者は……そこか」
     晴明が見上げた空には、戦闘機が悠然と旋回していた。そうしてスピーカーから声を漏らす。
    『素に魂と血。 礎に屍と土。降り立つ風には躯を。四方の門は閉じ、墓所より出で、地獄に至る三叉路は循環せよ。満たせ(とじよ)。満たせ(とじよ)。満たせ(とじよ)。満たせ(とじよ)。満たせ(とじよ)。繰り返すつどに五度。ただ、閉じる刻ときを創生する』
     全てが逆転した、汚らわしい呪文に空気が淀む、月の光は陰り、生きとし生ける者を呪い腐り落とさんとする。
    『告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の怨に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ』
     墓があった位置から、空を突き上げるような呻き声が上がった。
     触媒として成立してしまったのだ。
    『誓いを此処に。我は常世総ての悪と成る者、我は常世総ての善を敷しく者。汝 三大の言霊こを纏まとう七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!』
     このけたたましい呼び声に応えた怨霊が姿を現す。
    「平将門……!」
     血に濡れた白馬が嘶きと共に、墓所から這い出す。
     その背中には、金と赤の豪奢な鎧……しかし、見上げるその先に大将らしき兜はない。
     そもそも、兜をはいする『頭』が無かった。
    「いたわしいな、こんな不完全な召喚でなければ……」
     そんな姿で顕界する事は無かった。しかし、いかに晴明と言えど、あの爆撃の中、急場しのぎに止める手立てはなかった。
    『将門公、さぁ、貴方の怨みをぶつけてください。目の前の敵に』
     スピーカーから流る声に、炎の中で将門公は晴明に向き直る。
    「ライダーって、相性悪いんですよね私……」
     軽く言ってみたが、絶対絶命である。炎を纏った騎馬兵(ライダー)平将門は、主の命令に従ったのか……否、そんなモノ無くても、そうしただろう。
     刀を構えると、目の前に在るモノ全てを鏖殺するために飛び出した。
    「ああ、もう、最悪!最低だ!馬に追いかけられるなんて100年ぶりだぞ!」
     晴明は逃げながら、札を投げる。式神が姿を変えて、囮になって将門公の前に飛び出す。
    『やぁ!』
     軽薄な笑みを浮かべた晴明の写し身、質量もあり、簡単な防術も使える。はずなんだけれども。
     一瞬で切り捨てられる。
    「相手が悪すぎるんだよなぁ!」
     紫炎を纏った刀は式神を焼き尽くす。晴明の似姿は、一刀両断されて「あらら」と気の抜けた声を漏らす。
     けれども、すぐに「にやあ」と嫌らしい笑みを浮かべて、どろりと解けて、べたりと将門公の体に張り付く。
     声なき、首なしの体が苛立たしげに暴れ、張り付いた式神を引き剥がそうと悶える。
    「ああ、でも、こんなの時間稼ぎにしかならない……」
     じきに、式神は剥がされる。宥めようにも『首なし』では祝詞も届かないだろう。
     そんな事を考えているうちに、怒りのあまり、体内から漏れた炎が式神を粘り気ごと焼き払う。
     考えている時間も無かった。選択肢は一つだった。
    「この手は、あまり使いたくなかったんだけど……」
     刀が振られると同時に、慌てて横に転がって逃げる。晴明が居た地点を見れば、地面は抉れて、深い崩壊の後を残していた。
    「言ってられる状況じゃないな!」
     晴明は走って逃げた、逃げて、逃げながら唱える他なかった。
    「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公!」
     ナパーム焼夷弾で作られた召喚式を逆利用したのだ。
     参加せずに済むなら、そうしていた。しかし状況が許さなかった。
     安倍晴明、千年生きて初めての聖杯戦争である。
    「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」
     触媒なんて用意してないが、千年生きた、この身一つで充分だろう。
     召喚式が光り、何者かが召喚に応じた事を示す。
     はてさて、誰が来るやら。
     できれば、強いやつが良いな。
     そんな事を思いながら、最後の呪文を放つ。
    「誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
     雷撃と共に将門公の前に巨躯が降り立つ。
     そして、まだ霊体が明らかになる前に、その腕を振って、馬の顎を掴みその場に縫いつけて、頭のない将門公を睨みあげた。
     晴明はホッとする。誰かはまだ、わからないけれどきっと物凄く強いやつに違いない。
     この私が呼んだんですから、この状況で最も役に立つ、最強の武士が来ているはず。
     コレで何とかなるだろう。
     晴明はそう思った。
     目を凝らして、相手の姿を捉えるまでは。
     その姿を捉えた途端、頭に疑問符が溢れた。相手が誰か、わからなかったわけではない。
     わかったからこそ、絶望的に混乱した。
     この私が求めて、呼んだのに、応えたのが……そんな、そんな事あります?
    「蘆屋道満!」
     その名前を呼ぶと、男は振り返って応えた。
    「晴明ぃ!一刻と保たんから、早う解決策を考えろ!」
     千年ぶりの再会にしては、感傷も何もない鬼気迫る言葉だった。
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    Nuwa_150

    MAIKING歪霊聖杯異記 Fate/Ghost of revenge
    プロット途中まで
    1.怨霊聖杯起動
    B29の爆撃、侮辱と祖霊は荒ぶり、怨霊は目覚めた。
    千年生き、日本を守護してきた半神、安倍晴明は謎の魔術師集団の策略で歪んだ聖杯戦争に巻き込まれる。
    目覚めた騎馬兵(ライダー)平将門の襲撃に、晴明の召喚に応じたサーヴァントは、彼が良く知る陰陽師、蘆屋道満であった。

    2.首無し公将門
    まさかの道満の召喚、将門公に対しては不利であり、敵もほくそ笑む。
    しかし、かつてのライバル道満に「貴様、その程度の男だったのか?」と発破をかけられた晴明は頭を回す。
    すなわち、首がない者がどのように敵を察しているのか?
    それは音、気配である事を
    「芳一になりたくなければ、耳までしっかり」
    二人は気配遮断の術を駆使し、式神を囮に、首無しで不完全な将門を一次的に道満の体内に封印しようとする。
    キャスター蘆屋道満の能力は怨霊を体内に取り込み、自らの力へ転じる事。
    将門ほどの強い怨霊は吸収しきれないかもしれないが、一時的に封じる事ならできる筈だと、二人の意見が合致する。
    しかし、後一歩の所で敵のマスターが天空より将門を撤退させ、取り逃す。
    残された二人、晴明は、道満の瞳に残る輝き、真っ直ぐな黒髪 5752

    Nuwa_150

    MAIKING聖杯戦争に参加する千年長生き晴明さんと召喚されたキャスター道満が見たいとかマロ送った君!君のせいで!ちょっとだけ、書きたい冒頭書いちゃったよ!
    ふぅ……もう満足したし、やっぱ全体を書くのは疲れるので無理だとわかりました。
    歪霊聖杯異記 Fate/Ghost of revenge


     この土地は呪われている。
     終戦後、数多く落ちた弾頭と共に、神秘のヴェールは破壊された。
     人々は信仰を失った。
     崇め奉った現人神が鬼畜米兵に負けたのだ。
     だが、残されたモノはある。
     高度経済成長期を迎え、神秘が死んだ、この世界でも生きている呪いがある、神秘がある、人々が信じ続けている魔術のテクスチャがある。
    「Ghost of revenge……」
     一人の魔術師が、母国語で呟いた。言葉は魔術である。人の思考を制限し、神秘を象る原初のツール。
    「即ち、怨霊」
     この国の人、思考、民族、宗教性を表す言語。独自の観念を掴んだのは、この日のためだった。
     1999年、動乱の経済崩壊を迎えて、もはや彼らが信奉するのは神の慈悲ではない。
     天、地、空、物、人、それらの『怨み』だ。
     この国の者たちは、神を信じない。しかし、厄災を落とす『霊』は信じている。
     この土地で強い力を手に入れるなら、神を崇めるより、墓を暴く方がよほど障る。
     魔術師は笑った、なんという皮肉!
     暗雲から開放された月光が、舐めるように外界を照らした。
    4550

    Nuwa_150

    MAIKING「ケルビムの匣」
    蘆屋の呪いで人が大変になる怖い話を書いてるよ。
    晴道だよ!
    調査報告書【修正案第十稿】
     貴社に調査依頼を頂いた【削除:差別的な意味合いの語句が含まれるため(対象の)と代替する】地区の調査をした結果、再開発計画に含めるには、いくつかの懸念点が見つかったため報告させていただきます。
     対象の地区は、地理的にも優れた土地で、かつては鉱山として栄え、通称【削除:不快感を催させる固有名詞のため】村とも呼ばれており、古い資料によりますと温泉も湧いていた豊かな土地です。
     再開発計画の候補地として、これ以上無いほどの土地ですが、周辺地域で過去に地滑りが頻発した記録が残っていました。
     対象の地区に村があった記録から、その区域でなら開発可能ではないか、と今回の調査を依頼していただいた経緯は担当者からも聞いております。
     しかし、調査の結果、無人化した廃村にも地滑りした形跡が【形跡という書き方は相手に疑念を抱かせて詳細を問われる可能性有り。調査報告書第一稿の内容を読ませるわけにはいかないので、虚偽でも地滑りはあったと書くべし】見られ、添付した土壌調査の結果からも、安全性の面で保証ができません。
     弊社からは、この地区を再開発候補から外す事を提案せざる終えません 3262

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