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    3iiRo27

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    ritk版深夜の60分一発勝負
    第七十四回 お題:「「最高だよ!」」「底」
    嘗て、司が類に感じていた、とある感情のお話。
    司視点 ?想い

    #類司
    Ruikasa
    #ワンドロ

    全部理解しなくたって、オレは。「フフフ、じゃあ次は、こっちを試してみようかな?」

    「お、おい……次は、何を……」

    「おや、もうギブアップかい?未来のスターなら、これくらいはできるかと思っていたんだけれど……」

    「うぐぐ……み、未来のスターたるもの、この程度……!」

    「フフ、流石だね。それじゃあ、遠慮なく♪」

    「ぬ、ぬおおおおおおおおおおお!!!!!」




    思えばあの頃は、スターになりたい。そんな思いが、先行していた感じで。

    だからこそ、類の発明は、どれも凄くて。彼なら、オレをスターにすることができると、思うくらいで。


    それでも、あの突拍子もない発明達の実験をする度に、思っていた気がする。








    「この男は、底が知れない」と。









    -----------------------------------









    突拍子もない、なんなら割と危険なものばかり用意して。

    乗せられるがまま、実験台となって。

    その度に凄いと思う反面、よく思っていた。


    類の思考は、底が知れない。
    きっと、わかることはないんだろうな、と。
















    けれど。




    同じショーの仲間として、数多くの演出を経験して。

    その過程で、類に感じていた感情が、別のものになっていって。

    類からの告白で、その感情が、恋であることに気づいて。


    そうして、付き合って、恋人としても、過ごしてきて。






    底が知れないから、相容れないと。理解することはないんだと。
    そう思っていた自分を、殴りたくなった。


    彼はこんなにも、わかりやすいというのに。






    嘗て危険極まりなかったあの機材の数々。
    それは全て、実験台がいなかったせいで、

    「本当に危険性がないのか」
    「計算上は安全でも本当にそうなのか」
    「相手の力量に合わせたものになっているのか」

    そのどれもが手探りであったことを知ったのは、大分後になってからだった。





    ハロウィンショーを受けてから、怪我には十分気をつけていたつもりだったが。

    度重なる実験による疲弊も相まって、類の機材によって危うく大怪我になるところだったこともあった。


    あの時の類は、本当に忘れられない。
    真っ青な顔のまま、機材のあれそれを確認して、オレの身体の調子も、何度も聞かれて。

    オレが落ち着けと声をかけるまで、ずっと混乱状態だったな。



    そこから、類の調整はミリ単位で行われていると言ってもいいほど、繊細なものになっていった。
    その代わり、度重なる実験の末、オレの力量や体力を理解してからの類の実験は。

    オレができる本当に「ギリギリ」を攻めた、ある意味きついものだった。





    きついものではあったが。

    それができた時の喜び。そして。





    「司くん、流石スターだね!君は本当に最高だよ!」






    その声に、いつだって答えたくて。

    頑張りすぎて倒れて、逆に心配をかけてしまったこともあったなあ。






    ……話が逸れてしまったな。



    今でも、類の思考回路やひらめきは、「底が知れない」ものだと、そう思っている。

    わかりやすい部分もある。でも、全部を理解できたかと言われたら、そうでもない。





    でも、それでもいいと、思うようになった。































    オレは、そんな類が、好きになったんだから。




































    -----------------------------------










    「……っきみ、は。本当に、予想を超えてくるね……!」





    泣きながら言う類に、してやったりな顔をする。


    渡したそれがくしゃくしゃにならないように、一生懸命頑張って遠ざけている姿に、愛しさを感じた。




    いつか、渡せたらいいなと。軽い気持ちで、書いたそれ。

    ふと、渡したいなと思った日。……つまり今日が、特別な日になるんじゃないかと、そう感じていて。

    それは、本当に、予想通りになった。





    「オレも、言われてばかりじゃないからな。いつか絶対、言おうと思っていた」


    「……知って、いたのかい?」


    「いいや?でも、なんだか、そんな気はしていたんだ」





    たまには、こういうのもいいだろう?と、笑いかけるオレに。


    類は、涙を拭いて、満面の笑みで、言った。

















    「本当に君は、最高だよ!」





    笑い合う、オレ達の指には。
    一対の指輪が薬指で、キラリと光っていた。


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