夏のおとしもの 今日のべジータはいつもよりずっと機嫌が悪い。
眉間の皺が増えていちだんとと目つきが鋭く、組手の最中も落ち着かずどこかイライラしている様子だった。まだ地球からビルスさまの星に来たばかりで本来ならお互いいちばんイキイキしている時期だというのに、だ。
左手を気にしていたから怪我でもしたのかと問えばうるさい、ちがう、かまうな、の三段構えで拒否されたのでこれ以上機嫌を損ねては面倒だと引き下がったが、やっぱり様子がおかしかったよなと悟空はう〜んと首をかしげた。
地球から遠く離れた神様の星。今日も激しい家事手伝いから始まり、厳しい特訓のノルマを終えた悟空とべジータにも休息の時間が訪れていた。
悟空が一日の汗を流し浴場から戻ると、そそくさと先に部屋へと戻った筈のべジータはまだ寝ておらず、ベッドにあぐらをかき何やらむつかしい顔で自身の手のひらを凝視していた。やっぱり何かあったんだ。悟空はまだ濡れたままの髪をタオルでかき混ぜながらべジータに声をかけた。
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