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    ぴよ🐣

    @piyokorosan

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    ぴよ🐣

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    書きたいところだけ取り急ぎ書いたまま放置してるやつ。
    他にも結構あるのよね・・・

    #カカベジ
    Kakarot/Vegeta

    よくあるベタなやつある日のこと。


    「見ろ、孫悟空!これがカッチカチン鋼を最新技術でなんやかんやして超頑丈に作られた特殊合金だ!!」

    「へー。あ、まじですげぇ丈夫だなコレ。オラが引っ張っても全然びくともしねぇぞ」

    「ふん、そうだろう。いくらサイヤ人の馬鹿力でも絶対敵わない代物だ。どうだ恐れ入ったか」

    「……ふーん」

    選ばれしスーパーエリートの持ち物にはこんな物もあるんだぞと、鼻高々に胸を張っているジャコ。
    そして他にも凄いアイテムが沢山あると続けて意気揚々とうんちくを垂れようとした矢先、突如ドンッと周囲の大気を揺らす凄まじい閃光と風圧に襲われた。


    「ふべっ!!!?」


    手元の金属をじゃらじゃら弄びながら眺めていた悟空が、ジャコの目と鼻の先で何の前触れもなくいきなりブルーに変身したのだ。
    目の前を爆心地とした凄まじいパワーの圧に視界と鼓膜やられワーンと響く耳鳴りが頭の天辺から爪先まで駆け巡り、痺れで硬直したジャコは再び動けるようになるまで数秒を要することとなった。


    「おお、マジで壊れねぇぞこれ。どうなってんだ?」

    「お、お前っ…!急に変身するなんて非常識にも程があるぞ!せめて一言断ってからやれ!」

    「おう、悪りぃ。今度から気をつけるな」

    「いくらエリート隊員の私でもいきなり目の前で変身されたらびっくりするんだぞ!まだ心臓がバクバクしている!というかお前、それ壊そうとしてないか!?」


    やいやい猛抗議するジャコを尻目に、黙々と手枷を弄る悟空。どうやら『絶対敵わない』というワードに持ち前の負けん気を刺激されてしまったらしい。
    引っ張っても捻っても握りつぶしても形が変わるどころか傷ひとつ付かないそれに首を捻っていると、背後から低く不機嫌な声が聞こえた。


    「……おい貴様ら。人の家の庭先で何をしている?」


    騒ぎを聞きつけやって来たのはベジータだ。急激に増大した巨大な気の存在に何事かと飛んで来たはいいが、何かを取り返そうと必死にあれこれ手を伸ばすジャコとそれを視線すら寄越さずひょいひょい躱しながら自分の手元に夢中になっている悟空を見て、しょうもない現場へ駆けつけてしまったと無駄足を察し刺々しいオーラを放っている。
    そんな苛立ちを滲ませた怪訝と睨みつける視線に気が付いた悟空は、ちょうどいいとばかりに軽い足取りでそちらへ歩み寄るとおもむろにベジータの右手を掴み上げた。
    直後、カシャリと軽い金属音を立てベジータの手首に手枷がかけられた。


    「は…?」


    何が起きたか分からず束の間呆けてしまったベジータの前で、同じく自らの左手首に手枷をかける悟空。鎖で繋がれた互いの手に「よし」と一つ頷くと軽く腰を落とし構えをとる。


    「ベジータ、おめぇもブルーになってコレそっちから引っ張ってくれ。オラも全力で引っ張るからよ。じゃあ行くぞ?せーの、」

    ゴスッ!!!


    そして自分の合図と共に、鈍い打撃音に対し猛烈な衝撃と痛みに襲われた悟空はガクリと膝を地に落とした。


    「貴様が馬鹿なのは知っていたがここまでとはな……。俺の質問の意味が理解できなかったか?仕方がないからもう一度聞いてやろう。おいクソ馬鹿野郎共、人様の家で何を好き勝手騒いでやがる?そして、俺様に何をしやがったこのクソッタレめっ……!!」


    悟空に言われるまでもなく、込み上げた怒りによって荒々しい神の蒼きオーラを全身に纏い放つベジータ。その一連の流れを顔を引き攣らせながら見ていたジャコは、何となく悟空の意図を察し怒りの矛先がこちらにまで向いては敵わないとワタワタと弁明を始める。


    「わ、私は悪くないぞ!その特殊合金でできた手錠の話をしたら、力比べか何だか知らないが孫悟空が勝手にっ!!」

    「イチチ……だってジャコが『サイヤ人の馬鹿力にも絶対敵わない』とか言うからさ。実際オラだけじゃびくともしねぇから、ベジータとなら何とか出来るかと思ってよ」


    必死にぶんぶん首を振るジャコの後に続いた悟空の言葉を聞いて、ベジータも薄っすら事の経緯を理解する。そして、自分は本当になんて馬鹿馬鹿しいことに巻き込まれてしまったのだと、思わずデコの血管をブチギレさせた。


    「ガキか貴様は!!そんな下らん検証に俺様まで巻き込んでんじゃねぇっ!!」

    「でも、本当に硬いんだってコレ!試しに引っ張ってみろよ?オラが全力でぶっ叩いても傷一つ付かねぇんだぞ?」

    「知るかっ!!大体こういう拘束具はマトモな力で引っ張っても壊れんのが当たり前だろう!!破壊するんなら一点集中で同じ部分へ連続攻撃を加えるか、こういった耐久性が弱そうな連結箇所を狙え!!」

    「あ、なるほど。すげぇなベジータ!」

    「待てっ!!なぜ具体的な壊し方を教えている!?それは私へ支給された銀河パトロールの備品だぞ!!本当に壊されたら給料から天引きされるではないかっ!!」


    流石サイヤ人の王子。古巣フリーザ軍で修羅場をくぐった経験は伊達ではないらしく、説得力のあるアドバイスに素直に悟空も感心している。
    そして知らず知らず悟空と同じポイントで対抗心を煽られたベジータが、罵りを吐きつつ無意識に手枷を破壊する方向で話を進めだし顔色を変えたジャコから激しい突っ込みが飛ぶ。
    何やかんや結局、悟空にベジータが乗せられた形で手枷の破壊に二人掛かりになるサイヤ人達。だが、銀河パトロールで採用されているだけあって材質だけでなく構造的にも頑強に作られているのか、何を試してもなかなか壊れない。
    段々と過激になる破壊行為に手が出せないジャコが一歩引いた距離で右往左往しながら必死で静止の声を上げているのを聞き流す二人は遂に最終手段に出る。


    「チッ、こんな鉄屑に手間取るとは……」

    「こうなったら今オラ達が出せる力全部出し切るしかねぇぞベジータ」

    「出すな、出すなっ!!何故そこまでして壊そうとする!?お前ら私に恨みでもあるのか!?」

    「よし、構えろカカロット。今度こそこの鎖引き千切ってやる」

    「おう。気ぃ高めたらオラが合図すっからタイミング合わせようぜ」

    「無視するなっ!!それ以上やると本当にお前ら逮捕するぞ!!」


    向き合った悟空とベジータは両腕に拳を握り、気合の入った声と共に体内の気を練り上げ始めた。体に纏う蒼いオーラは更に輝きを増し、周囲の空気のみならず足元の大地から上空の大気までもが凄まじいパワーの影響で震え出す。
    地震よろしく鈍い音を立て揺れる地面にうずくまり咄嗟に身を守る体勢になるジャコ。なんでこんなことにと涙目で頭を抱えていたその時、救いの女神が現れた。


    「こらあぁーーーっ!!!!アンタ達何やってんのっ!!近所迷惑だから、そういう修行ココでは禁止って言ったでしょっっ!!!!」

    「うおっ!?」

    「ぐっ!?」


    ハッとしたジャコが顔をあげると、広大な庭を見渡せる上階バルコニーから凄まじい怒気を発する般若がいた。訂正。現れたのは女神ではなかった。
    ブルマの一喝で怯んだサイヤ人共の気が急激に収束。諦めの悪い悟空が果敢にも少しだけ目をつぶってくれないかとブルマへ相談を持ち掛けるも「それ以上何かすればチチに言いつける」とバッサリ切り捨てられ交渉失敗。
    かくして手枷は破壊をまぬがれ、揺れがおさまった西の都に平和が訪れた。


    「あーあ、あとちょっとでいけると思ったんだけどなぁ…」

    「クソッ、無駄な時間を使わせやがって」

    「……サイヤ人を口だけで黙らせるとはブルマはすごい奴なんだな……本当に地球人か?」


    そういえば、何時ぞやフリーザが地球へ攻めて来た時も「くそったれ」だの「ドケチ」だの正面切って言い放っていたことがあったような。腹が据わっているのか、怖いもの知らずなのか。いや見切り発車の勢いで突っ走るタイプかと、過去の日々を思い出し思わず遠い目になるジャコ。
    ジャコのぼやきがツボにハマったのか悟空がカラカラと笑い出す。


    「ハハッ、そう思うのも無理ねぇよなー。アイツに口で勝てる奴は早々いねぇし、怒るとすっげぇおっかねぇし」

    「……声が大きい。また怒鳴られたいのか貴様は」

    「おっといけねぇ。んじゃ、今日はこれ以上ドヤされないようにもう帰るわ。ジャコ、これ返すから外してくれ」

    「いや、無理だ。私では外せない。」


    キッパリ返されたその台詞に、しばし沈黙が流れること数秒。キョトンと目を瞬かせた悟空は首を傾げ改めて聞き返す。


    「……へ?無理って、なんでだ?おめぇ鍵とか持ってんだろ?」

    「持っていない。一昨日トイレに行った時、うっかり便器に流してしまったからな」

    「……は?」


    その回答に固まる悟空。再び庭先が静けさに包まれる。それを次に打ち破ったのは、静かに怒気を昂らせデコに青筋を滲ませているベジータだった。


    「で?鍵が無いから外すことができないと?」

    「そういうことだ」

    「えーと、じゃあ合鍵は?普通あるだろ?」

    「無い。特注品だからホイホイ作れる物では無いんだ。今回みたいに紛失した場合、新しい鍵を作るまで本部のマスターキーでしか解錠できない」

    「……」

    「……」


    当然のようにそう言い放ったジャコに、三度黙り込むサイヤ人二人。悟空はなんか面倒になってきた展開に嫌な汗を流し、ベジータのドス黒いオーラは更に密度を増している。


    「……カカロット。仙豆は持っているか?」

    「は?いや持ってねぇけど……何で今仙豆?」

    「じゃあ今すぐ取ってこい。その後、俺が貴様の手首を切り落としてやる。心配するな。手枷を外し仙豆を食えば元通りだ。」

    「やだよっっ!!嫌に決まってんだろそんなの!!何恐ろしいこと言い出してんだおめぇはっ!?」

    「じゃあ俺の手首を切り落とせとでも?ふざけるな!何故俺様がそこまでせねばならん!?誰のせいでこんな事になったと思ってんだ!!」

    「なんで当たり前にどっちかの手ぇ切る話になってんだよ!?ピッコロじゃあるまいし!!」


    念の為補足しておくと、いかに再生できようともピッコロだって手首切り落とされれば普通に痛い。それでも同じ状況に陥ればすごーく渋々ながら説教付きでやってくれるかもしれないけど。
    ベジータの据わりきったマジな目で、その提案が冗談でもなんでもないことを思い知った悟空。己の身の危険を回避すべく、そろりそろりとその場から立ち去ろうとしていた宇宙の平和を守るエリート戦士の背中へ無我夢中で助けを求めた。


    「ジャコ!!急いでマスターキーってやつ持って来てくれっ!!頼むっ!!」

    「む、無茶を言うな!本部から持ち出せるわけないだろう?」

    「んなこと言わねぇで何とかしてしてくれ!!銀河王って奴に頼めばちょっとくらいなんとかなるだろ!!」

    「無理だ。鍵を無くしたことを銀河王様に知られたら私の減給が確定してしまう。諦めて仙豆とやらでなんとかするんだな。」

    「だ、そうだ。腹を括れカカロット…」

    「わ!わっ!!待て、ベジータッ!!なんで早速構えてんだ!?」

    「今、先に切り落としちまえば貴様も諦めがつくだろう?」

    「わあああーっっ!!ストップ!!せめて仙豆があるかどうか確認してからに……っじゃなくて!どっちにしても嫌なもんは嫌だっ!!なんか考えるからそれだけは勘弁してくれっっ!!」


    マジな王子様とそれに抵抗する悟空の攻防が徐々に激しさを増し、それに比例して互いの気が高まっていく。再び発生した地震の震源地から顔を引きつらせつつ後退りしていたジャコも終いには立っていられないほどになり、もうホントやだサイヤ人と涙目で頭を抱え蹲ってしまったその時。


    「いい加減にしなさあああーーーーーーいっっっ!!!!!」


    本日二度目の女神……もとい般若が降臨した。
    こうしてジャコの命と悟空の手首と地球の平穏は一時的に難を逃れたものの、三人の宇宙人が並ばされたカプセルコーポレーションの庭先では般若の怒りと言う名の局地的な激しい嵐にしばし見舞われたのだった。




    続・・・・?
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