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    mary_trades

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    基本デアアイ
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    月空デアアイ

    ##月空デアアイ

    The worm…… 月明りに照らされ、デアンは静かに地面を見下ろしていた。その湿気た地面にはひしゃげた芋虫……の死骸があり、だがデアンは何をするでもなく芋虫を眺めていた。
    と、その碧眼が動く。

    「誰だ」
    「あら……すごい。見つかっちゃった。流石、月の戦士様、ね」

     茂みに佇んでいたのは1人の女性だった。
     足首まで隠す長いドレスに身を包み、右腕はギプスで肩から支えられている。ウェーブのかかった金髪と人形の整った顔に浮かべた柔らかい笑み、そしてお淑やかな仕草はさぞかし魅惑的だ。
     ……ここが鬱蒼と生い茂る夜の森でなければの話だが。

    「貴様は……バイタルに異常反応がある。幽世の住民か」
    「うふふ、そうね。そうとも言えるわ」
    「何の用だ。アイザックに危害を加えるのならばここで砕く」
    「ん……ごめんなさい。それは無いわ。私、彼のこと気に入ってるの。だから、当分こっちに引き込むのはやめにしたの。でもね……それとは別に、彼にちょっかいを出されても困るのよ」
    「……」
    「うふふ、怖い顔。本当よ? だって貴方も気づいたんでしょう?」

     彼女が指さすのは芋虫の遺骸で、弾けた胴体からは何かの透明な液体と細い『コード』、そして『端子』が地面に飛び散っていた。

    「それ、小型の索敵機、ね。月の技術でしょう?」
    「……ああ。ω3であった俺にさえ探知不可の代物だ。人件費を惜しんだのか、ニュートンに用いられている機械細胞、そして四肢のコネクターのセキュリティは万全であるとは言い難い。そのため、この小型索敵機と接触した瞬間に機器干渉を起こした。その干渉時の電波の乱れがなければ俺も検知出来なかった」

     空の民がこのような技術を持っているとは考えられない。
     となると……月の何者か……それもω3でさえ欺く技術者が、デアン、アイザック、月の民二人、そして特異点である団長達の内誰かを狙っているという事になる。
     そして現状、その可能性が高いのは……月から出奔した自分だ。
     月にω3のクローンを作成する技術があるとはいえ、デックスの能力はデアンの足元にも及ばない。
     戦闘センスは継承しているとはいっても外付けであるアドレナリン合成回路は搭載しておらず、身体能力なども強化されていないからだ。
     そうなると中枢がデアン・クラックを連れ戻す方向へ舵を切るのも頷ける。

     ……厄介なものだ。
     これ以上アイザックと共にいれば、彼を危険な目に合わせてしまうやもしれん。
     俺の人質として彼が狙われる可能性も考慮しなければ。
     深いため息をつく。それを目の前の女性はにこにこと聞いていた。

    「私、彼が私じゃなくて貴方を選んだの、納得しちゃった。うーん、残念だけど……仕方ない、かぁ」
    「……」

     彼女が近づいてくる。
     デアンの開いた胸元にしな垂れかかるようにした彼女は戦士の耳に触れると、
    ぷつ。
     何かが耳朶を貫く。指で触れると耳飾りが付いていた。
     カシウスが装着していた房付きの飾りにも似ているが、こちらのタッセルは若草色をしている。

    「……何をした」
    「んふ。これは一種のジャミング装置なの。装着者は月の民からの妨害電波は受け付けなくなる。あ、外さないで。きっと必要になるから」
    「……」
    「でも……そうね、貴方みたいな人からすればこんな装置から発される電波の影響なんて微々たるものでしょうけど、飛べない蝶に近づけすぎると」

     彼女が両手を合わせて蕾を作り、ばあ、と両手を広げる。
     そしてにこりと微笑んだ。

    「でも、嫌いなら構わないのかしら?」
    「……嫌いではない」
    「あら?」
    「危害を与えてきたのは確かだが、アイザックが赦すというのならばそれまでだ。ただ、そのアイザックが……」

     ニュートンばかり構うからアドレナリンが溜まる一方なのだ。

    「あら……月の民も、可愛い所があるのね。私、貴方にもアプローチしちゃおうかな」
    「なんとでも言うがいい。だが、最後に1つ答えてもらおうか」
    「なあに?」
    「お前は本当に幽世の住民か?」

     ふわ、と彼女が笑みをこぼす。

    「ええそうよ。私は確かに『幽世に住んでいる者』よ」
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    recommended works

    kanamisaniwa

    DONE最終章後生存√デアアイ。デアンはアラヤチとともに月で復興作業なうなお話です。友情出演は鮫←「えっ?なに、ヤチマなんだって??」
    『バケだ。デアンはバケに行く』
    「聞き返しても同じだった!色々突っ込みたいんだけどちょっと待って!」

    アイザックは耳元にあてた通信機から聞こえるヤチマに叫ぶように返事をしながらアウギュステの砂浜をジグザグに走っていた。
    アウギュステの砂浜を走ると行っても可愛い彼女と「ほーら捕まえてごらんなさい♪」みたいな楽しいことをしているわけでは決してない。
    骨の髄までエンジニアであるアイザックには物心ついてこの方彼女らしき女性が出来たことはなく、あわせて夏のアウギュステなんて高級リゾートに縁はなかった。
    だが、アイザックは今年は散々世話になったグランサイファーの団員達に誘われてここアウギュステに来ており、ンニだのンナギだのといった海の恵みに舌鼓をうっていたのだが。
    いたのだが。

    『アイザック、なにか忙しい?』
    「忙しいというよりなにかがおかしいかな?!」
    『落ち着けアイザック。状況を冷静に報告しろ』
    「やぁ相棒久しぶり!状況はアウギュステで空から鮫が降ってきているよ!!」
    『は?』
    「だから!!空から鮫が!!降ってる!!」

    シャァァァクなる鳴き声を上げな 2173

    kanamisaniwa

    DONEデアアイと残された大砲のお話、友情出演は偽デアン(幽世の輩)月の最上位の戦士達、ω3のうちファラとエルドは月で倒され、唯一デアンのみ空の世界で兵器ヤーマによって分解され倒された。
    組織、いや、組織の残存勢力をまとめたイルザ隊の最終報告書に乗っている事実はこの一文にまとめられる。
    それがどれほどの強敵であったか、それを知るのは実際に戦った者たちのみ……否、ごくわずか個人的なかかわりを持ったものも含まれるだろうが、ごく一握りだけだ。
    そして今、その極一握りの者たちが集結し、青い顔で突如おきた緊急事態にあたっていた。
    緊急招集をかけたイルザを中心に、元組織メンバーのゼタ、バザラガ、グウィン、騎空団を代表してジータとルリア、ビイ。そしてオブザーバーのアイザックだった。

    「そんな、信じられない……本当に、その拠点を襲ったのはデアンなのかい?」
    「間違いない。わずかに生き残った拠点の監視カメラの映像解析の結果がこれだ」

    終結した屈強な者たちの中で唯一風変わりな者、戦う戦士ではなくエンジニアであり、そして月の者たちと個人的なかかわりを持ったことがある唯一の空の民アイザックが青い顔で尋ねたそれにイルザが硬質な声でテーブルの上に写真を投げて答えた。
    そこには 8828

    kanamisaniwa

    DONEデアン即再構成√デアアイ続きポートブリーズ南端、ポット着地地点で再生の録音音声記録。
    『機関(セントラルアクシズ)からの指令、"漏洩した旧機情報の回収および偽機破壊"について、多少の修正がある。まず、旧機情報の流出先は空の世界ではなく幽世であること、またその幽世によって作られた偽機は空の民によって破壊されたことだ。
    空の世界と異なり、幽世については機関を含め正確な情報が少なく、情報の回収は極めて困難が予想される。
    ここからはそれを踏まえた上での任務遂行のための進言だ。ω3デアン、エンジニア・アイザックとコンタクトを取り、彼を通じて"組織"と情報共有することを薦める。偽機撃破はアイザックおよび封印武器の契約者達によるもの、結果的に情報は組織に集まっている。
    老婆心からのアドバイスだが、コンタクトの際はくれぐれも行動に注意してくれ。具体的には空の民と戦闘になることは徹底的に避けろ。一般的に空の民が友好的と判断する行動を取り、空の世界に溶け込め。潜入任務のようなものだ。"ω3デアン"はすでに一度空の世界と敵対し彼らと戦っている。その不信感を払拭し情報を共有できるかどうかが今後の任務遂行の鍵になるだろう』
    『乱暴駄目、絶 7954

    jusimatsu

    DONE親友のレストランにごはんを食べに行くデアアイ。
    ワンドロなのでノー推敲です。
    ――――――――――――――――――――――――
    「あいよ、特大ウィンナーとポテトの盛り合わせにビールお待ち!」

    ドンと景気のいい音とともに、デアンとアイザックの目の前に二人分のウィンナー盛り合わせとビールのジョッキが置かれる。
    二人はアイザックの親友夫婦が営むレストランに来ていた。今日は正真正銘二人きりの、デートだ。

    「きたきた。これが僕のおススメでね。ここに来たらいつも食べるんだ。他のメニューは、これを食べながらゆっくり考えよう」
    「提供スピードの速い品を食べている間にその他の品を用意させるのか。効率的だ」
    「まあそんなところだね。美味しいものを食べてると待っている間でも話が弾むし、空腹のまま待ち続けるのは辛いものさ」

    アイザックが特大ウィンナーを頬張り、ビールを煽る。一気に表情が崩れ、締まりのない笑顔になった。

    「さあデアンも食べて。ついでにメニューも見ようか。今日はここに来ることが決まってたから、朝食は軽めにしてたんだ」
    「ここで多く食べるために量を減らしていたということか。理屈はわかるが合理的とは言えないな」

    デアンはメニューのページを繰りながらどれにするか決めかねているようだ。
    確かに決められたものが配給される月 1746