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    kanamisaniwa

    pixivメインに二次創作(刀剣乱舞、ツイステ、グラブル、FGO等)やってます。超雑食でオリキャラ大好き病を患う腐女子です。ポイピクにはかきかけだったりネタだけの文章を投げたいです。

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    kanamisaniwa

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    デアン即再構成√デアアイ続き

    #デアアイ
    deer-eye

    ポートブリーズ南端、ポット着地地点で再生の録音音声記録。
    『機関(セントラルアクシズ)からの指令、"漏洩した旧機情報の回収および偽機破壊"について、多少の修正がある。まず、旧機情報の流出先は空の世界ではなく幽世であること、またその幽世によって作られた偽機は空の民によって破壊されたことだ。
    空の世界と異なり、幽世については機関を含め正確な情報が少なく、情報の回収は極めて困難が予想される。
    ここからはそれを踏まえた上での任務遂行のための進言だ。ω3デアン、エンジニア・アイザックとコンタクトを取り、彼を通じて"組織"と情報共有することを薦める。偽機撃破はアイザックおよび封印武器の契約者達によるもの、結果的に情報は組織に集まっている。
    老婆心からのアドバイスだが、コンタクトの際はくれぐれも行動に注意してくれ。具体的には空の民と戦闘になることは徹底的に避けろ。一般的に空の民が友好的と判断する行動を取り、空の世界に溶け込め。潜入任務のようなものだ。"ω3デアン"はすでに一度空の世界と敵対し彼らと戦っている。その不信感を払拭し情報を共有できるかどうかが今後の任務遂行の鍵になるだろう』
    『乱暴駄目、絶対。特にアイザックには優しくしてあげなきゃ駄目。』


    ガロンゾ、職人通りのドーナツ屋の主人の話。
    『お?兄さん騎空士かい?ヒューマンなのに良いガタイしてんなぁ!あぁ、アイザックの客かぁ。あいつ腕が良いからな。あれで人付き合いが上手ければいくらでも稼げそうなんだが…いや、最近のガロンゾの中堅の中ではピカ一の腕でさ、しかも年の割に妙に知識が豊富なんだよなぁ。いや、悪い意味じゃないぜ?天才となんとかは紙一重っていうか…いや、あいつは天才というより大器晩成の努力型っぽいけどなあ。あと、もう少し生活力ってもんを持たないと嫁も貰えねぇぞって年寄りがたにしょっちゅういわれててなぁ!妹のえー、グウィンちゃん?が、しょっちゅう心配して別の島から家のことをしに来てくれるとかなんとか。持つべきものはデキた妹だよなぁ。俺は男兄弟しかいないから余計に…お、噂をすれば!おーい、グウィンちゃん、兄さんに客……なんだ?どうしたんだ??あー、なるほど、そうかそうか。兄さんそういう…ま、皆までいうな。グウィンちゃんと喧嘩して、兄貴に仲裁たのみにってとこだろ?わかるわかる、若い内はそういうこともあるよな。しかし、買い物袋投げ出して逃げ出すとかどんだけ派手に喧嘩したんだ?まぁ、しっかり謝って機嫌とりなよ。ほら、買い物拾ってやれ。ついでにこれ、うちのまかないドーナツだが三人分いれてやるから仲良く食べな。アイザックの工房はこの先通りを3つ超えた先の小さい一軒家だよ。がんばれよ!!』



    「と、言う訳で月から片道切符で来ちゃったらしくて」
    「「「「待て待て待て情報量が多い」」」」

    アイザックの長いような短いような、しかし情報つめこまれすぎな説明にその場の面々がツッコミをいれた。
    勿論、突っ込み先はアイザックの斜め後ろに驚くほど静かに立つ大柄の男、話の中心である月の戦士デアンの存在とその経緯だ。
    ちなみに今いるここはグランサイファーの最も広い部屋、すなわち食堂であり、そこにジータ、ルリア、ビィは勿論、あの奪還作戦に参加した組織の面々と関係者、すなわちユーステス、イルザ、バザラガ、ゼタ、ベアトリクス、カシウス、グウィンがいた。さらにはマキラやヨダルラーハやファラやユーリ等々も遠巻きにしつつも様子をうかがっているし、ラカムやイオといった古参の面々も心配そうにちらちらと見ているという状態だった。
    それはともかく、関係者ほぼ全員のツッコミを受けたアイザックだったが、そのツッコミに深く頷いた。

    「僕もつくづくそう思う…彼がグウィンの買い物袋とドーナツ屋さんの紙袋持って普通に玄関から入ってきたとき気絶しなかったのを誉めて欲しいよ…いや、グウィンや団長達がいなかったら気絶してたと思う…」
    「うわぁ…」

    それはいろんな意味でホラーだと、一部のメンバーがアイザックに同情の視線を送った。
    ちなみにジータ達がアイザックの家にいたのは偶然で、幽世が作った偽デアン狙撃時の怪我のリハビリや日々の生活諸々を心配したグウィンをグランサイファーで送りがてら遊びにきていただけ、グウィンの買い物もそもそも彼らの歓迎+出不精の兄のための日用品の買い物だったのだ。
    そんな中で買い物に行ったはずのグウィンが血相を変えて戻ってきて、混乱する彼女から話を聞いている間に普通に玄関扉がノックされ、買い物袋両手に普通に入ってきたデアンにアイザックをはじめ全員が叫び声を上げたのだ。
    幸い、このデアンに戦闘の意思はなく(それどころかご丁寧にもグウィンに買い物袋とドーナツを手渡した。手渡されたグウィンはほとんど思考停止していたが)、しかも組織と幽世のデータを共有したいと言い出して、ともかく落ち着いて話をしようと手狭なアイザックの家からグランサイファーに場を移し…偶然にも組織のメインメンバーはグランサイファーに乗っていたためそこでもひと悶着おきかけたが、なんとか関係者全員を食堂にあつめて今に至る。
    そんなこんなな状況の中、頭痛を堪えるような表情のイルザが話を進めた。

    「状況には同情する。だからといって、なぜそこから我々組織と幽世の輩の情報共有という話になる!つい先日我々の世界を更地にしようとした敵側の急先鋒がのこのこやってきて、情報をくれといわれてはいそうですかと同意できるか!おかしいと思わないのか?!」

    半ば激昂状態のイルザの発言に、ごもっとも、と何人もが頷いた。
    普通に考えればつい先日世界の命運をかけた戦いの敵同士など、敵意と恐怖とそれこそ殺意さえあってもおかしくない。しかもそこで直に戦い戦死した当の本人、かどうかは微妙だがそういう存在があっさり友好的に現れても受け入れられるわけがない。
    だがここで変に冷静な声がアイザックの説明、というかデアンの行動を擁護した。

    「いや、"この"機体(デアン)の任務に照らせばこの行動は矛盾しない。」

    アイザックが説明する中で、一人例のカタカナの連なりのような言葉でデアンと意志疎通していたカシウスだった。
    元は月の戦士として空の世界にきた旅行者であり、今は空の世界を己の居場所と定めたカシウスだからこそ、空の世界の人間からすると奇怪なデアンの行動を普通に受け入れており、それを説明し始めた。

    「ヤーマによって破壊された機体(デアン)の任務と、この機体(デアン)の任務は異なる以上、行動内容が変わるのは当然だ。ついでに、前機からデータ(記録)引き継ぎは行われているがそれは空の世界にくる直前のバックアップからだそうだ。すなわちゼタやバザラガとの交戦をはじめ組織関係についてはデータなし。つまり敵対した記録そのものがなく敵意を持ちようがない」
    「あー、なんとなく言いたいことはわかるけど、機体とかデータってカシウスお前なぁ…言い方なんとかならないか?」
    「?」

    ベアトリクスの困った顔と声にカシウスは首を傾げる。空の世界に大分溶け込んだカシウスだが、やはり機微の部分は未だに月の民の感覚であるらしい。生粋の月の戦士たるデアンと長々交信したせいで引っ張られているところもあるのだろう。
    カシウスはベアトリクスの言葉をキーワードにしてメモリ内で処理し、"言い方"に気を付けつつ結論を出した。

    「機関(セントラルアクシズ)の命令を含めたバックグラウンドを勘案しても、この機た…ここにいるデアンが空の世界に敵対する理由がない。むしろ対幽世の者達への共闘戦線が可能だ。修正があれば発言を」
    「無い。エンジニア・アイザックの説明とエージェント・カシウスの補足で十分に説明されている」

    カシウスがざっくりとまとめた状況説明をデアンが肯定する。
    本当にそれでいいのか?と大半が怪訝な顔をする中、団長たるジータとルリアそしてビィが顔を見合わせつつ妙に明るく言った。

    「えーっと、とりあえずごつい月のにーちゃんは今は敵じゃねーってことでいいんだよな!」
    「そう、ですね。よかったです!」
    「むしろ幽世の奴ら相手に協力できるならめっちゃ心強いまであるね!グロウノス全開のバザラガとタイマンして互角だったんでしょ?……古戦場150hell要員キタコレ」

    うんうんと、ビィ、ルリア、そしてジータが頷き会う(ジータの最後の呟きについては突っ込んではいけない)。少女達のあまりの切り替えのはやさに「え、いいの?それでいいの?」と一部のメンバーがなんとも言えない顔をしたが、よくよく考えてみるとグランサイファーにのっている仲間の中には以前敵対したり殺し会い一歩手前になったりした元敵、のような者達もそれなりに居る(ユリウスやアグロヴァル、サンダルフォンなどなど)。そんな彼らをあっさりまるっと受け入れている度量というか懐の広さもジータの魅力といえば魅力なのだが、底無し沼すぎるのが怖いと言えば怖い、かもしれない。
    そんなジータ達に少なからず救われてきたユーステスは、しかし締めるところは締めるべきと進言役を買って出た。

    「ジータ、少し待て。いくらなんでも即決がすぎる」
    「えぇ?なんで?あの幽世の奴ら相手の戦力はたくさん欲しいもん!仲間になってくれたら心強いじゃん!」

    むん!とジータが気合いの入ったポーズをとる。
    勇ましくも優しいこの少女がユーステスの故郷での出来事で心を痛めてくれたことを知っているユーステスは思わず絆されそうになりつつも、なんとか気をを引き締め厳しく指摘した。

    「…幽世の輩への共闘云々については口を出すつもりはない。だが、そうするなかで集めた幽世の情報と副産物で手に入るだろう空の民の情報を、月の機関とやらに密告される可能性は考慮すべきだ」
    「うぇ?!」

    ぴゃっ!とジータが飛び上がる。純粋すぎる彼女はそういった陰謀めいた可能性をこれっぽっちも考えたりしないのだ。
    だからこそそういう汚い部分を己が引き受けなければならないとユーステスはその切れ長の目でデアンに鋭い視線を向ける。
    だが、その懸念はデアン本人の口から、斜め上の切り口で否定されることになった。

    「その懸念をもつ必要はない。俺に対する機関からの命令に"空の世界および幽世の情報収集"は含まれない」

    デアンがまったく平坦な声音で答えたのも相まって、妙な納得感を周囲に与えた。
    ふーん、そうなのか?とあまり月と組織の事情に詳しくない面々が首を傾げるなか、ゼタがデアンに噛みつかんばかりに言った。

    「はぁ?!待ってよ、そもそも月の機関がカシウスを送り込んできた最初の理由が空の世界の調査でしょ?!それなのにこっちの情報はもういらないって話を信じろって?!」
    「?空の世界の情報価値は継続的に有意義だ。今後も断続的に調査されるだろう」
    「え?は?!やっぱりいるんじゃないか!それじゃお前の話矛盾しないか!?」

    ゼタのとなりにいたベアトリクスも会話に参戦し、盛大に首を傾げている。

    「あああの、ゼタ、ベアトリクス、ちょっといいかな!」

    こんがらがる会話にアイザックが挙手とともに助け船を出した。

    「月の民は機関からの命令つまり任務が絶対的な行動理由なんだけだけど、逆に言うと"命令"に含まれないものは意に介しない思考なんだ…ええっと、つまりこのデアンは『幽世からの旧デアン機情報奪還および抹消』が任務であって、空の世界の情報だとかは有用だって意識はあっても行動には関係無いっていう行動を選択するんだよ」
    「ええ?…そういう、もんなの?」
    「なんか、こっちにきたばっかりのカシウスみたいだな。めちゃくちゃ頭良いのに一周回って変ていうか」
    「僕達空の民の考え方とは根本から違うんだよね…そうじゃなきゃとっくの昔に、僕は彼に殺されてるよ」

    周囲がアイザックの発言にぎょっとした。

    「月の施設内で裏切りやら裏工作やら脱走やら破壊やら…これでもかって程やらかして逃げてきたからね。月では最終的に反逆者の烙印押されてたし」
    「ふむ、そういう意味では機関から見れば俺もまた裏切り者、アイザックもろとも抹殺対象になっていても可笑しくはない」

    月の民の思考と空の民の思考の違いをそこそこ認識しているカシウスがさもありなんと頷き、視線をデアンに投げる。周囲が固唾を飲むなか、デアンはまったく平坦に答えた。

    「エージェント・カシウスとエンジニア・アイザックの拘束、あるいは破壊命令は受けていない。よって、両名に対し如何なる危害を加える行為を行う必要はない」
    「あ、はは…それは助かったよ…。まぁ、こういう行動原理の違いがあるから、その辺りの心配はしなくていいと思う。ついでに、今のこの世界の技術では月と任意の情報をやり取りすることはできない。デアン側から何かしらの情報を発信したくともひらたく20年は無理だと思うよ」

    つまり、月の民の行動原理と空の世界の技術の限界両方の観点から、ユーステスの懸念は払拭される。
    おおよそ理解したジータが、じーっとユーステスを見つめる。
    どうにもその真っ直ぐな視線に弱いユーステスは、ため息一つとともに根負けした。

    「……お前の好きにしろ」
    「やった!!」

    ジータがガッツポーズひとつすると、足取り軽くデアンの前に立つと手を差し出しつつ言った。

    「私ジータ!騎空団の団長だよ。改めてよろしくね、デアン!幽世の奴らぶん殴れる仲間が出来て嬉しいよ!」
    「……協力を感謝する」

    ジータによって差し出された手に一瞬躊躇したデアンに対し、後ろから「握手!握手だよデアン!力加減気を付けて!」と何故かアイザックがフォローを入れてなんとか形になる。
    ごつい月の兄ちゃん不器用なんだなぁ、とビィが平和な認識をするなか、結局ジータの人の良さに感化されている仲間達がやんややんやとデアンの周りに集まりはじめた。
    属性は?得意武器は?酒は飲めるのか?などなど、普段仲間が増えたときと同じような光景が広がる。唯一直接対峙したバザラガやゼタといった者達が納得いかない、というか本当にそれでいいのか?と心配げな様子をしているのが違うくらいだ。

    「部屋割りとか希望ある?あ、でもデアン体がおっきいから、ドラフ用のベッドが入る部屋じゃないと…」
    「ベッド、寝台の類は俺には不要だ。アドレナリンの過剰供給の影響で、肉体を倒した上での長時間の睡眠は数百年とっていない」
    「ええっ?!」

    ジータは勿論、話を聞いていた面々がぎょっとしてデアンをみた。今回はベアトリクスやユーステスといったカシウスと親しい面々、つまり月の民に接したことがある者達までまとめて同じ反応だった。
    カシウスも空の世界にきた当初奇抜な行動をとっては周囲を驚かせていたが睡眠は空の民と同様に取っていたからだ。
    一方でデアンはその反応をものともせず、まったく別の話をし始めた。

    「だが、そうだな。生活区についてはエンジニア・アイザックとの接触が容易な場を希望する。アイザックの側に居ることで発生するアドレナリン生成および破壊衝動の両抑制効果について引き続き検証したい。空の世界での非戦闘時に非常に有効だ」
    「えっ?!あ、あぁ、そういえば月でそんなこと言ってたね…てっきり隠し持ってた幽世のメスの効果かと思ってたよ。あれはエルドやファナにも影響が出ていたし。でも今は持ってない…その抑制効果は今も継続してるのかい?」
    「ああ、引き続き検証も続けているが一向にメカニズムが解明出来ない。不思議だ…前機から引き継いだ付箋付き記録と同様の効果がこの機体にも明確に現れている」
    「わざわざこの件の記憶バックアップに付箋つけてたのかい?!驚いたな…そこまでアドレナリンの過剰供給が深刻なのか…」

    何故かポンポン進むアイザックとデアンの会話に大半の仲間はなんだ仲いいのかあの二人などといいだし…多少わかっている面々、特に振り回されっぱなしのグウィンなど完全に唖然としてしまってついていけていない。
    が、ある意味どんな事態にも素直でニュートラルなジータが、非常に単純な解を投げ掛けた。

    「それ、単純にデアンはアイザックの声が好きなんじゃない?」

    あっさり。極めてあっさり投げられた解に、アイザックは勿論、グウィンやゼタ達関係者が目をむく。
    いくらなんでも月の戦士、それも最高峰のω3への影響が『声が好みだから』はどうなんだ?!と。
    だが、さらに素直な声がジータの意見を肯定した。

    「そうですね!私も、ジータの声が好きです。聞くと安心できて…勿論、カタリナやイオちゃんや他の仲間の人達の声も好きです!でも、ジータの声は少し特別で、大好きです!」
    「わかる気がするなぁ。オイラはずっとジータと一緒にいたせいか、ジータの声が聞こえないと不安になるし、ちゃんと聞こえたら安心するしな!」
    「だよね!私もルリアとビィの声大好きだよ!!」

    と、無垢な少女達のやりとりは美しいが、流石にその感覚を月の戦士と月の民の末裔の男に当てはめるのはどうなんだ??と特に組織メンバーは頭を抱える。なにより、当の本人であるアイザックが絶句してしまっていた。

    (は?好き?デアンが、僕の声を?いや、いやいやいやこんな年増男の声のどこにそんな要素が?というか月の民、それも最上位の戦士たるデアンが空の民の声一つに影響されるとかまさか)

    そんなことをぐるんぐるん考えてオーバーヒートしそうなアイザックの一方、デアンはジータの言葉に非常に興味をもったらしかった。

    「ふむ、一考の価値があるかもしれん。その『好き』という事象を引き起こす脳内物質について詳細の提供を求める。ドーパミンかベータエンドルフィンか」
    「待て、デアン。空の民は月の民と違い、脳内物質のスキャン能力はもたない。そのため表現は極めて感覚的になり詳細なデータ提供は不可能だ」
    「ほう、ますます興味深い」

    カシウスがフォローした内容にデアンはますます興味をもったらしく、しばらく問答してとうとう月言語で二人で会話し始めた。
    カタカナの連なりのようなそれを即理解できる者は流石にいないため周囲は不思議そうに眺めるだけだ。
    もうこうなると諦めの境地に達したらしいユーステスがフラメクを降ろした(彼は万が一の場合を考えて即フラメクを構えられるように準戦闘体勢を崩していなかった)のを合図に、バザラガ他のメンバーも肩をすくめて反対を諦めた。

    結局、グランサイファー搭乗時は一人部屋だったアイザックを移動させて二人部屋でデアンと同室になることが決まり、アイザック本人もデアンのフォローのためにしばらく家を閉めてグランサイファーに乗ることになったのだった。


    その後、古戦場肉集めでヘトヘトになるアイザックだとか、150hellで大暴れするデアンだといった姿が名物となったり。
    たまに酒が入ったグウィンが「兄さんに何かする気なら私を倒して行けぇ!!」と真っ赤な顔でデアンの前に立ち塞がったり(その度にアイザックが必死になだめ落ち着かせるのにおおわらわになる)。
    カシウスとデアンが真顔で月言語で会話しているのを不振に思ったユーステスが問い詰めたら『一番旨い玉子料理は何か』というくだらなすぎる議題だったことを知って膝から崩れ落ちかけたり。

    そんなことが色々とありながらも、グランサイファーは今日も平和であった。


    END?
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    kanamisaniwa

    MAIKING
    三ヶ月後。
    アズール先輩からの提案で参加を申請したアジーム家雇用希望者の選抜試験当日、私はジャミル先輩、エリムさん、そして面白がってついてきたフロイド先輩(本当は諸々ド素人の私を心配してついてきてくれたのをちゃんと知ってる)と一緒に熱砂の国にあるアジーム家所有の別荘の隣に設置された試験会場控えにいた。
    エリムさん曰く、アジーム家所有の不動産の中では中規模ながら市街から遠くて使い勝手が悪く最低限の手入れしかしていなかった別荘で、確かに選抜試験をするには丁度良い物件だとか。なんなら爆発させても大丈夫ですよ、と言ったエリムさんの顔はわりとまじだった。
    そしてその別荘の隣に建てられた仮設の集合場所兼待機場所で簡単な説明を受けた。といっても事前にアズール先輩が収集してくれていた情報と内容はほぼ同じで、あえて追記するなら試験会場である別荘のあちこちにライブカメラもとい監視カメラが設置されていて、その映像はリアルタイム公開されるので別荘内の様子はもとより他の参加者の様子を逐次確認できること、そして本当に魔法でもなんでも使用可、建物への損害も免責するから全力で目標を破壊してみろ、という言葉が説明担当からあったことくらい。
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    kanamisaniwa

    DONEデアアイ600年後√(子孫と再構築)、友情出演ヤチマ月の侵攻は、600年前よりも苛烈だった。
    月側は600年前のディアスポラ撃破をインシデントとし、少数精鋭での各島毎の殲滅に舵を切った。
    そのため、月の侵攻を空の民が認識したと同時に小さいが島が一つ落ち、翌日にはそのとなりの中規模の島に先行部隊のω3が侵攻。あっという間に空の民達を駆逐していった。
    だが、月側にもトラブルがないわけではなかった。

    (侵攻は計画より47%遅延。不確定要素を計算にいれても遅れすぎている。先代ω3ヤチマの離反だけでは理由として不十分だ)

    ω3の中でも戦闘に特化した最強の戦士であるデアンは、そんなことを思考しながら目の前に躍り出てきた空の民を一なぎにする。
    骨が砕ける音、悲鳴、逃げ惑う声、破壊音。
    そのどれもがデアンの興味をひくものではない。ただアドレナリン消費の足しになるだけだ。
    やがてあらかた砕きつくし周囲が静まり返ったときだった。
    かたり、とわずかに聞こえた物音、ω3のなかでも戦闘特化であるがゆえに拾えた音をデアンはたどった。
    慌てていたのか乱雑に隠された地下室への扉を蹴り破る。短い階段を降りたさきにいたのは、ひょろりと細い男だった。

    「まだ居たか」
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    kanamisaniwa

    DONE最終章後生存√デアアイ。デアンはアラヤチとともに月で復興作業なうなお話です。友情出演は鮫←「えっ?なに、ヤチマなんだって??」
    『バケだ。デアンはバケに行く』
    「聞き返しても同じだった!色々突っ込みたいんだけどちょっと待って!」

    アイザックは耳元にあてた通信機から聞こえるヤチマに叫ぶように返事をしながらアウギュステの砂浜をジグザグに走っていた。
    アウギュステの砂浜を走ると行っても可愛い彼女と「ほーら捕まえてごらんなさい♪」みたいな楽しいことをしているわけでは決してない。
    骨の髄までエンジニアであるアイザックには物心ついてこの方彼女らしき女性が出来たことはなく、あわせて夏のアウギュステなんて高級リゾートに縁はなかった。
    だが、アイザックは今年は散々世話になったグランサイファーの団員達に誘われてここアウギュステに来ており、ンニだのンナギだのといった海の恵みに舌鼓をうっていたのだが。
    いたのだが。

    『アイザック、なにか忙しい?』
    「忙しいというよりなにかがおかしいかな?!」
    『落ち着けアイザック。状況を冷静に報告しろ』
    「やぁ相棒久しぶり!状況はアウギュステで空から鮫が降ってきているよ!!」
    『は?』
    「だから!!空から鮫が!!降ってる!!」

    シャァァァクなる鳴き声を上げな 2173

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