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    類の野菜嫌いについて

    お題「フハハハハ!それはぷにぷに」
    15分トレーニング 16

    1197文字(所要時間約3分)

    ##司と類

    「その場所は行けないね。僕には食べられないものばかりだ」

     吐き捨てるような類の言葉であった。司と類は、これまで大きな喧嘩もせずにこれまでやってきた。けれど、今日でそんな穏やかな平穏は終わりなのかもしれない。司にそう思わせてしまうほど、彼の勢いは思いの外強かった。

    「……いや、すまん。お前の野菜嫌いがそこまでだとは思わなくてな」
    「いいや、僕こそ済まないね。でも、少し違うんだよ。僕が野菜を嫌いなのではなくて、僕の体が野菜を嫌っているんだよ」
    「同じことだろうが!」

     思わずその言い訳に苦言が出てしまう。けれど、何に対しても向かえば強情な類のことである。彼のその気持は司がどれだけ言ったとしても、覆る事はない。司は、手に持っていた一つのパンフレットをしまい込みながら、頑なな態度を取り続ける彼の方へ向き直る。

    「……しかし、不思議なものだな。そこまで全て、嫌いだって言うのもな」
    「確かにそうだねぇ。まぁ、僕には理由はわからないけれど。詳しくは僕の体に聞いておくれよ」
    「まだその設定続けるのか?」

     司にも、好き嫌いがあるのでその気持ちは少しだけよく分かる。彼の嫌いな人参の、あの独特の生臭さや味の浅っぽさ、それに甘みを取ろうとしても頑なに煮えてくれないもどかしさにはどうしても憤ってしまうというものだ。そこに深い理由はない。けれど、だからこそ許せないものというものもある。

    「司くん、そんなにその有機野菜ランチとやらが食べたいのなら、一緒に行くだけならしてあげようか?」
    「ん、いいのか? ……だが、それでは類が暇になってしまうだろうが」
    「いいんだよ。司くんだって、その場所に行きたいのは『ランチ』が食べたいってだけが理由じゃないんだろう?」
    「うむ。そうだな…。では、少し付き合ってもらおうか」

     類には、よくよくお見通しのようだな。と続けると、昨日の夕方にテレビでやっていたからねとサラリと返された。そうなのだ、司がその場所へ行こうとしたのはその料理が滋養強壮によくよく良いという情報を入手したからで、それを一度自分で食べてみて、病弱な妹へ、その知識を培った料理を食べさせてやりたい、というのがその本意なのだった。

     だが、その場所に一人で行くのは心もとなかった。そこへするりと現れてきたのが類で、ついうっかり、彼が重度の野菜嫌いだった事を忘れて誘ってしまったのであった。

    「ふふ、ちょっと良いことも思いついたしね」
    「それは聞かなかった事にするな」

     彼は、あいも変わらず何やらニコニコしているが、司はそんな彼をの良くない妄想をかき消すようにその店の場所に向き直る。
     ランチ。休日に、二人で。
     何だかデートのようだなと少しだけ浮つくが、それなら彼が食べたいものを探してやればよかったかなとも思う。けれど、それでも彼は司の話に乗ってくれたのだ。
     今回は、それでいい。次回はきちんと誘ってやろう。司はそう思うのだった。



    [20210412]
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    TRAINING司の作るカリカリベーコン

    お題「嘘の夜風」
    15分トレーニング 20

    1372文字(所要時間約3分)
    妙に気だるい朝だった。目を開き、辺りを見渡すが照準が合わない。もぞもぞと動いてみるが、肩と腰が妙にぎくしゃくと軋んでいる。
     類は、元より低血圧である。だから起きがけの気分は大抵最悪なのではあるが、今日のそれはいつもの最悪ともまた違う、変な運動をした後のような気だるさがあるのだった。

    「類、起きたのか?」

     まだ起ききっていない頭の片隅を、くぐもった通る声が聞こえてくる。司の声。どこから声をかけてきているのか。それに、妙な雑音が彼の言葉に混じって聞こえ、よくよくその場所を判別できなくなった。

    「……起きてるよ、たぶんね」

     重い体を何とか起こしてみる。体に巻き付いているシーツがいつもと違う。自室にあるソファに投げ捨てられているシーツでも、家の中にあるベッドとも違う、少し手触りの良い物だ。それに、類は今、何も身につけていなかった。
     布団を通り抜け、ひやりとした風が入り込んでくる。少し回復してき思考が回り始めてからようやく、昨日、司の家に泊まったのだと思い出すのだった。

     司は、大学に入ってから一人暮らしを始めた。類はそんな彼の現状を甘んじて受け止めて、よくよく彼の家に泊まるよ 1422

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