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    PCから発掘された落書き⭐🎈
    キスお題の一部だったはず……

    (2153文字)

    #司類
    TsukasaRui
    ##司類

    5.閉じた目の上なら憧憬のキス 端正な顔だな、と思った。
     それは類が司の眠る顔を見て初めて気づいた感情だ。

     ワンダーランズ×ショータイムの劇場で、その公演を終えたさなかの一幕だ。
     次の公演までは、あと一時間程度ある。忙しない公演と公演の合間だ。少しばかりの隙間を使い、天馬司は舞台裏の古びたソファの上で仮眠を取っていた。

    「司くん?」

     そこへ、通りがかった神代類。いつもであれば類もその辺りで舞台演出の修正を行いながら次の公演へ向けて準備しているのだが、今日はそこに意外な先客がいたのであった。
     類が、覗き込むようにして問いかけるが彼からの反応はない。
     やあ、困ったね。君がこんなところにいるなんて思わなかった。 

     天馬司は体力のある男だ。だから、常日頃から彼が弱っているところを見ることは意外にも少ない。暑さにとろけ、あるいは空に飛ばされたとしても、少しばかりの暗転をしてからはけろっと元に戻っている彼なのだ。
     それが一体何があったのか今日に限ってはお疲れのようである。
     珍しい。なんだか面白くなって、類は眠った彼で遊びだしてみる。

    「おもしろいね」

     まずは頬を突いてみる。反応がない。
     それでは、彼の美しい色の金髪を七三分けにして遊んでみる。反応がない。
     ではあとは、ちょうど持っているドローンを彼の体に巻き付けて、彼が起き上がれば急に動き出すように細工を施しておく。
     ーーそうまでしても、彼は一向に起きることがなかった。

     類は、彼の顔をもう一度覗き込んでみる。
     すやすやとした寝息が小さく聞こえ、なんだか温かい気持ちもになった。

    「司くん、きみって」

     そうまでしてやっと、類は司の顔をまじまじと見ることになるのだった。
     端正な顔をしている。そこで、ようやくその感情に立ち入った。
     天馬司は、体力のある男だ。だからそんな寝顔を見たのは初めてだった。
     いつだってあまりにも声が大きくて、その声色にばかり目が行きがちである。そしてそれを超えたとしても、彼は動きがあまりにも大きくて、今度はその動きに翻弄されてしまうのだ。更に、彼は自分の思うべき事象が強くあり、次へ次へと進んでしまうものだから、それ以上の長い観察はなかなかにしてできない。
     だから、類は彼の一つの特性を見落としていたのだ。

     元来割に良い出自の血があって、本人だって几帳面なタチなのだ。スターになるべく切磋琢磨を続けつつ、ストイックに自分自身がどう見られているのかを常に考えている。
     そんな、彼である。もちろん元からの彼のポテンシャルでもあるだろう。ただ、それだけでなくそこから上乗せされた彼自身のきめ細やかなお手入れもあったのか、彼の肌は白く、それでいて薄赤く人好きのするきれいな色をしていて、そしてその肌に乗せられた彼の顔のパーツそれぞれが、この薄暗がりの舞台裏においてうっすらと光っているかのように、丁寧に作り込まれているのであった。

    ーーああ、それで。

     と、類はひとりごちてみる。

    ーーそれで、キミの事が好きなのか。

     初めから、美しく生まれてきてそのまま生をまっとうする美男美女というのは数限りなくいる。けれど、彼のように端正な顔を作るには、自身の生活や思考を正確に保ち続けてストイックに生きていくしかないのだ。
     そして、彼はそれを全く何の気負いなく続けることができている。
     それが、類の彼を好んでいる理由であり、そして彼に憧れている理由でもあったのだ。

     神代類は、天馬司のことが好きである。
     それは、彼と少しばかりショーを続けていってから、少しずつ気づいていった淡い気持ちであった。
     類は、その気持をやわらかに保ち続けている。
     けれど、それをまだ、彼に伝えてはいない。
     彼への愛情を持っている自分自身という存在を、最近の類はよく好んでいた。
     だからこそ、まだ現状のこの環境を変えたくはなく、ただ、このやわらかな場所でふわふわと、一人浮かんでいたい気持ちでいたのだった。

    「司くん、寝ているのかい?」

     そんな、彼が司に問いかけたとしても、随分熟睡している彼は起きることがない。
     類はそれをいいことにもう一度、彼の顔に自身の顔を近づけた。

    ーーおやすみ、司くん。

     心のなかで一人祈るようにつぶやいてみる。
     そのまま、彼の閉じたまぶたの上に、触れるか触れないかという浅いキスをした。
     まるでショーパフォーマンスをしている時のように、ゆったりと、それでいてスマートに。こちらの熱を、気取られないように。

     唇に、一度だけ感じたやわらかな感触。
     身体中から甘い電流がぴりぴりと湧き上がってくるようで、淡い感情が満たされていく。

    「司くん、ゆっくり休んでね」

     唇を話してすぐ、くるりと踵を返して類は司から離れていった。
     その足取りは、少しだけ軽い。
     ふわりと浮き上がったような気持ちで、ひとり、舞台裏を踊るように歩んでゆく。


     ***


    「ーー類?」

     ただ、彼は気づいていなかった。
     彼がキスを落とした相手である司が、少しばかり前からぼんやりと目を覚ましていたということに。
     そして、司がこれをきっかけに、ある事を覚悟したということにも気づいていない類は、その後したたかに驚かされる事となる。

     これは、類が司に告白される前日の話だ。
     ここから、二人の関係がまた、新しい一幕へと続いてゆくことになる。
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    TRAINING司の作るカリカリベーコン

    お題「嘘の夜風」
    15分トレーニング 20

    1372文字(所要時間約3分)
    妙に気だるい朝だった。目を開き、辺りを見渡すが照準が合わない。もぞもぞと動いてみるが、肩と腰が妙にぎくしゃくと軋んでいる。
     類は、元より低血圧である。だから起きがけの気分は大抵最悪なのではあるが、今日のそれはいつもの最悪ともまた違う、変な運動をした後のような気だるさがあるのだった。

    「類、起きたのか?」

     まだ起ききっていない頭の片隅を、くぐもった通る声が聞こえてくる。司の声。どこから声をかけてきているのか。それに、妙な雑音が彼の言葉に混じって聞こえ、よくよくその場所を判別できなくなった。

    「……起きてるよ、たぶんね」

     重い体を何とか起こしてみる。体に巻き付いているシーツがいつもと違う。自室にあるソファに投げ捨てられているシーツでも、家の中にあるベッドとも違う、少し手触りの良い物だ。それに、類は今、何も身につけていなかった。
     布団を通り抜け、ひやりとした風が入り込んでくる。少し回復してき思考が回り始めてからようやく、昨日、司の家に泊まったのだと思い出すのだった。

     司は、大学に入ってから一人暮らしを始めた。類はそんな彼の現状を甘んじて受け止めて、よくよく彼の家に泊まるよ 1422

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    はぱまる

    MOURNING昔書いたのを思い出して読み返してみたのですが、これ今から続き書くの無理だな……となったのでここに置いておきます
    後悔 酒は嫌いだ。正気を失うから。ショーに気を狂わせている方がよほど楽しい。
     そう笑う彼の瞳が輝いて見えて、ああ大きな魚を逃したなと思ったのだ。惜しいことをしたと思い知らされたのだ。
     司とは逆に酔う感覚がそれなりに好きな類は口惜しさにアルコールを摂取し、摂取し、摂取し、そこからはもうダメだった。もう一度僕に演出させてほしいと、君の演出家になりたいと、ズルズルと子供のように縋ってしまったのだ。はたまた恋人に捨てられそうな哀れな男にでも見えたろうか。なんにせよ、醜い有様であったことに変わりはない。
     類は知っている。高校生の頃、嫌になるほど共に過ごしてきたため知っている。司は人が好く頼み込まれれば基本的に断れないタチだ。しかも酷く素直で単純で、その気になれば口車に乗せることなど容易い。しかしこの男、どうにも頑固で仕方がないのだ。こうと決めたことは梃子でも曲げない。どんな話術を使おうと泣き落としをしようと首を縦に振らない。そして、司はワンダーランズ×ショウタイムからキッパリと縁を切っていた。
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