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    mayu_og3

    @mayu_og3

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    mayu_og3

    DONE文字書きワードパレット(甘々編)
    17、カエル
    「仲直り」「雨上がり」「ソファー」
    「お前意外とロマンチストなんだな」
    そう言われたのはいつのことだったろう。
    枯葉が舞い始めた頃、パトロールの帰り道に、昔見た麦畑の話をした時だったか。
    それとも、朝日に照らされた雪を、初めてタワーから二人で眺めた冬の日だったろうか。

    「そうだ、初めてウィルにプレゼント渡した時だ」

    ベッドに横たわり、ガストは瞼を閉じて思い出す。
    ウィルの20歳の誕生日、望みの薄い片想いと知りながら、好きな人の特別な日を祝いたいと、意を決して贈り物を選んだ。
    ウィルと同じ20年の時を重ねたワインを差し出したガストの顔を驚いた様に見つめて、ウィルはボトルを受け取った。そして贈られたワインのラベルを眺めて、少し呆れた様に笑ってそう言ったのだ。

    今思えば、初めてのプレゼントにしてはキザ過ぎたと恥ずかしくなる。それでも、ウィルが受け取ってくれたことが嬉しくて、その日からしばらくガストのプレゼント攻撃が続いた。
    初めは困った様に受け取っていたウィルだったが、次第に柔らかい微笑みを返してくれる様になり、遂には、プレゼントに添えたガストの想いを受け止めてくれた。そっと握った指が温かったことを今でも覚えている。

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    mayu_og3

    DONE屋上デートする🌪🌱この街で一番空に近い庭園は、沈みかける夕日を浴びて茜色に染まっていた。夜の気配を漂わせた空に伸びる緑の木々の間、しゃがみ込んだシルエットが長く伸びている。
    「よう、ウィル」
    驚かせないように、ゆっくりと近づくガストの声にウィルが振り向いた。夕映に金色の髪がキラキラと輝き、小さく揺れる。
    「アドラーか。何か用か?」
    「いや、ここに来れば会えるかなぁ…って思ってさ」
    ガストの軽口に呆れたようにため息をついて、ウィルは立ち上がった。
    「ノースセクターのルーキーは随分と暇なんだな」
    皮肉めいた言葉も、声をかければ顔をしかめられ、話をすることさえ拒否されていた数ヶ月前からすれば、格段の進歩だ。ゆっくりと近づいてくるウィルの顔を眺めながら、ガストの胸は高まり、自然と頬が緩む。嫌悪からほんの少しの信頼へ、ウィルの自分に対する気持ちが変わり始めた冬を超えて、いつの間にか一方的な友情から片想いへと変わった気持ちを胸に隠しながら、彼のお気に入りの場所へ立ち寄ることが、ガストにとってささやかな幸せを感じる時間になっていた。

    春の気配が近づいてきているといえ、夕暮れの風まだは冷たい。隣に並ぶウィルが小さく肩 2696