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    shishiri

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    ドロライ『扇風機』の裏設定?です。
    実はこんな設定を予め考えていて、あの話を書きました……という、自己満足のお披露目です。

    ドロライ・裏設定 ドロライお題『扇風機』を読んでいただき、また好意的に受け取っていただけたのが嬉しくて……。書く前に考えていた設定がありますので、以下ご披露いたします。

     依頼人は、孤独死していたおばあさんの息子です。若い頃に家を飛び出しヤクザ者となり、おばあさんとはずっと会っていません。それでも一人暮らしをしている母親の身を陰ながら案じてはいて、それなりに稼げるようになってから正体は明かさず仕送りをしていました。
     おばあさんも、アパートのドアポケットにそっと入れられている現金に初めは驚きこそすれ。それは音信不通の息子からのものだと信じ、それが入れられた日付を封筒に記し封をして、着物の下にしまっていました。その着物は、息子の七五三や入学式のときにおばあさんが着ていた思い出の品です。もう長いこと袖を通していないので、たとう紙も黄ばんでいます。
     普段、おばあさんの家にお金を持って行ったり安否をそれとなく見ていたのは、依頼人本人ではなく子飼いの部下ですが、ある日家の様子が変だ。どうも中で……と聞いて、それを確かめるために蜜柑と檸檬に仕事を依頼します。自分で行って、その事実に向き合う決心がつかなかったのです。なので依頼内容が「あるものを持って来い」という曖昧なものでした。
     仕送りの金は手付かずで残っていた、と事情を知らない蜜柑に聞かされ、驚き。それでは他に持ち出す何か……と考えたときに、依頼人が思い付いたのがアルバムでした。
     家を飛び出したままの親不孝者(と自分では思っている)のアルバムなんて、もう捨てられてしまっているかもしれない。(なので、「無ければそれでいい」)でも、もしあるなら……。アルバムは母親と過ごした日々の思い出である一方で、親不孝者の痕跡でもあり。自分のようなヤクザ者との繋がりが、世間様には知られない方が母親の為だ、という気持ちもあってのことでした。
     おばあさんがアルバムをしまったままなのは、飛び出たきりの息子を一時は思い出したくなくて、段ボールに入れ封印してしまったわけですが。それでも、ずっと息子の身を案じていて。仕送りを置いて行くだけではなく、いつか会いに来てくれないか……。と待っていました。
     蜜柑と檸檬が、あの部屋で大金とアルバムを見て、依頼人と孤独死した老婆との繋がりをどこまで想像したか……。と言うことなのですが。小説を読む蜜柑は、ある程度、核心を突いたところまで。檸檬は「なんか分からねえけど、訳ありなんだろうな」といった感じです。二人にとってはおばあさんは孤独死した他人の死体、見慣れたモノでありますが。そんな事情をどこかで感じているのもあって、帰りに扇風機のスイッチを入れたり、「早く見つけてもらえたらいいな」と呟いたりします。彼らの持つ人間味を出せたらいいな、と思って書きました。でもそこで、自分たちが大家さんに知らせてやろう、とはならないんですね。そのへんはドライな部分もあると思うので……。

     と、いつになくいろんな設定を考えてから書いた話でした。と言っても、1時間内に書くには4、5枚。2000文字程度が今の私の限界で。また、ツイッターに一度に載せられるのも4枚なので、ここいらが落し所かなと思っています。それにあくまでも主役は果物なので、その他を詳しく書く必要がないかな、とも考えています。設定は意識しつつ、どこまで削ってそれを伝えられるか、というのが今回書く上でのテーマでもありました。実際書くときはそんなふうに冷静に考えていたわけではなく、ざっと最後まで書いて、消したり足したりしながら、何とか形を整えて……とあたふたしていたわけですが。
     今回書いてみて、どの程度お伝えできたかは分からないですし、そんなことは分からなくても面白い話だったと思ってもらえる方が、本当はベストなのかもしれません。そして、ここに書いたこと(コレが正解、というわけではありません!)以外のことを想像してもらいながら楽しんで読んでもらえたとしたら、書き手としてこれ以上にない幸せだと思います。
     「どうしたら伝わるか」を考えながら書くことを、これからも試みていけたらな、と思う経験になりました。
     自己満足でしかないご披露でしたが、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!最近はホラーアンソロに向けて、書けるところをちょこちょこ打ちつつ、私はどんなに事に、どんな時に『怖い』と感じているんだろう?と考えながら、本を読んだり映像を見たりしています。

    2023/5/28 shishiri

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