香水 シルヴァンから「一緒に出掛けませんか」という誘いがあったのは、数日前のことだった。彼曰く休みの重なった週末、ベレスと観光したい場所があるらしい。
「どこに向かうの?」
「秘密です」
行き先によっては持ち物や服装を調整する必要があるだろうと昨日までに何度か尋ねたのだが、シルヴァンは口を割ろうとしなかった。いたずらのような悪巧みでもしているのかと探っても、とにかく俺と一緒に来てくれればいいので、と言う。
少しの不安を抱えながらシルヴァンに指定された待ち合わせ場所に向かうと、ベレスを待つ彼の姿を発見した。すらりとした長身はカジュアルな服に包まれていて、モデルのような立ち姿に近くを通りがかった女性達から注目を集めている。
1884