「そらとぶノコッチ」ぼくはノコッチ。
しずかなすあなできままにくらす、のんきでじゆうなノコッチだ。
きょうもぐーっとのびをして、つちをしっぽでほりかえす。
せっかちディグダがとびだして、ぼくのおなかではねかえる。
「ああびっくりした。おどろいた。そんなにいそいでどうしたの?」
ディグダはふらふらしながらいった。
「ああ、ごめんねノコッチくん。おいしいきのみがあったんだけど、たべたらめがまわっちゃって」
「へえ、そんなきのみはおもしろい。ぼくもたべてみたいなあ」
「このあなつかえばすぐつくよ。のんきなきみにはあうかもね」
ディグダのとおったトンネルを、ぼくはのそのそくぐりぬけた。
ぼくはあなからはいだして、くさのうえにころがった。
「やあ、ちじょうはまぶしいなあ」
1958