春の訪れ一年中雪に覆われている冬の国にも、ほんの短い期間だけ雪が溶け草花が咲く季節があった。
しかしここ数年、冬の国は大寒波に見舞われており、雪が溶けることはなく、草花も咲くことがなかった。
春の国からネロが嫁いでくるまでは。
数ヵ月前、冬の国では王位の継承が行われた。先代の王である双子のスノウとホワイトが王位を退き、第一王子であるミスラが新しい王様となったのだ。
しかし、このミスラは国の政治には全く興味がなく、王とは名ばかりで、実権を握るのは先王のスノウとホワイト、そして第三王子のブラッドリーであった。
スノウとホワイトは事実上退任した身であるため、王としての仕事のほとんどはブラッドリーが担っているようなものであった。
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