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    cross_bluesky

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    cross_bluesky

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    6/25のイベントで配布していた無配です。
    『二十二時の隣人』読了後推奨ですが、単品でも読めると思います。
    パスワードはお品書きにあります。

    #ブラネロ
    branello

    馬に蹴られたくはないもので 最近のボスは機嫌がいい。
     それに気付いているのはきっと俺だけではないだろう。すっと通った鼻筋を横切る傷痕、よく通る低めの声。頭も回れば口も回る我らが首領は、常日頃から穏やかさとは離れた場所で立っている。
     それが最近、そこはかとなく浮かれているようなのだ。どこがと聞かれれば答えに困るような些細な変化。しかし組の連中は皆、仕事を片しながらも落ち着きがない様子で、誰かがボス本人に尋ねるのを待っている。
    「ボス、最近機嫌がいいっすね。なんかいい事ありました?」
     ──そう、ちょうどこういう風に。
     組織の若き首領相手にこんな口が利けるのも、基本的にはよほどの古株か無鉄砲な若者くらいだ。紛うことなき後者である男の問いかけに、ボスはちらりと視線を遣った。
     ワインレッドの双眸は、問いかけを発した男だけではなく、一斉に耳を傾けた組員全員を一瞥した。薄い唇がゆるりと弧を描き、伏せた瞳の奥の光が俺達の肌を震わせる。
    「まあな。気分が良いのは事実だぜ」
    「やっぱり! 何かあっ、……」
     言いかけた若者の言葉がぴたりと止まる。瞬間、場を支配したのは静寂だった。長い指先が動く様すら、まるでスローモーションのようだ。
     息を呑む音。永遠にも思えた沈黙を破ったのは、組員たちの視線を背負った男だった。
    「……余計な詮索すんなよ? 消されたくなけりゃな」
     物騒な言葉とは裏腹に、その表情は見たことがないほど艶やかだった。隣に居た若い組員は、ぽかんと口をあけたまま固まってしまっている。
     落ち着かない雰囲気の中組員たちはそれぞれ持ち場に戻っていく。書類整理をしながら、同じ場所に居た組員たちは口々にこう言った。
    「女か?」「女だろ」「まあどっちにせよ……」
     首は突っ込まないに限るな、と。
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    ☺☺☺❤❤❤❤❤❤❤💖❤🙏🙏
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    Replies from the creator

    related works

    44_mhyk

    SPOILERイベスト読了!ブラネロ妄想込み感想!最高でした。スカーフのエピソードからの今回の…クロエの大きな一歩、そしてクロエを見守り、そっと支えるラスティカの気配。優しくて繊細なヒースと、元気で前向きなルチルがクロエに寄り添うような、素敵なお話でした。

    そして何より、特筆したいのはリケの腕を振り解けないボスですよね…なんだかんだ言いつつ、ちっちゃいの、に甘いボスとても好きです。
    リケが、お勤めを最後まで果たさせるために、なのかもしれませんがブラと最後まで一緒にいたみたいなのがとてもニコニコしました。
    「帰ったらネロにもチョコをあげるんです!」と目をキラキラさせて言っているリケを眩しそうにみて、無造作に頭を撫でて「そうかよ」ってほんの少し柔らかい微笑みを浮かべるブラ。
    そんな表情をみて少し考えてから、きらきら真っ直ぐな目でリケが「ブラッドリーも一緒に渡しましょう!」て言うよね…どきっとしつつ、なんで俺様が、っていうブラに「きっとネロも喜びます。日頃たくさんおいしいものを作ってもらっているのだから、お祭りの夜くらい感謝を伝えてもいいでしょう?」って正論を突きつけるリケいませんか?
    ボス、リケの言葉に背中を押されて、深夜、ネロの部屋に 523

    recommended works

    plenluno

    DONE1/14「そういうことにしてるつもり!」8~New Year Party~展示作品②
    読んでいただきありがとうございました!ぜひアフターでもお楽しみください!
    元相棒と野球拳。
    魔法舎です。最後だけ微微えちです。
    まほやく世界にじゃんけんが輸入されてたのを公式で確認した(どのストか忘れた)のでそのあたりを修正したりしています。
    それだけじゃ足りない 「野球拳?」
     とある晩酌の夜、ネロは耳慣れぬ単語を反芻した。グラスの酒をあおって身じろぐと黒塗りのソファが小さく鳴く。隣に居るブラッドリーは酒を呑みながらネロ特製のつまみに舌鼓をうっていた。
    「前の賢者に聞いたんだよ。じゃんけんして、負けた方が服を1枚脱ぐらしい」
    「―っ! はぁ!?」
    ネロは酒を吹き出しそうになって何とか堪えた。
    「だから、負けたら服脱ぐんだよ。」
     ネロは賢者の世界のじゃんけんについて軽く反芻する。握りこぶしの形のグーは石、手を開いたパーは紙、人差し指と中指だけを立てたチョキはハサミを表す。グーにはパーが強く、パーにはチョキが強く、チョキにはグーが強い三つ巴。3種の手の形と関係さえ覚えれば簡単だ。こちらの世界の似た遊びに賢者が反応したのをきっかけに話が盛り上がって以来、魔法舎では賢者にあわせてじゃんけんが使われることが増えた。子ども達が夕飯の献立で揉めたときなどはじゃんけんの勝敗ですんなり決まるのでネロにとっては便利だった。
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    salmon_0724

    MAIKING2023.3.5 日陰者の太陽へ2 展示作品ですがパソコンが水没したので途中までです。本当にすみません……。データサルベージして書き終えたら別途アフタータグなどで投稿します。
    ※盗賊団についての独自設定、オリキャラ有
    ※数百年後にブラネロになるブラッドリーと子ネロの話
    死にかけの子ネロをまだ若いブラッドリーが拾う話 雪に足をとられてつんのめるように転んだネロには、もう立ち上がる気力さえ残っていなかった。
     突き刺すような吹雪でぼろぼろになり、白く覆われた地面に叩きつけられたはずの体は、寒さで麻痺して痛みさえ感じない。
     ぴくりとも動かす気力のおきない自分の指先に、雪が降り積もっていく。
     その様子をぼんやり見つめながら、このまま死ぬんだろうな、と思った。
     他の感想は特にない。
     すっかり疲れ果てていたので、もう全部がどうでもよかった。
     誰が家族なのかもよくわからないまま出て行った生家にも、殴られたり逃げたりしながら掏りや窃盗で食いつないだ日々にも、大した感慨はない。
     最後にはとっ捕まって場末の食堂で働かされていたが、足りない材料を地下室に取りに行かされている間に食堂どころか村ごと燃やし尽くされていた。
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