【炎博♀】波打ち際で跳ねて、踊って▼
ビーチの開放的な雰囲気と、燦々と降り注ぐ太陽光に目を細めたら、海水に浸った柔らかな砂に踵を掬われた。
そのまま真後ろに倒れてしまうと身構えた寸前、伸びてきた腕に支えられる。確りと腰をホールドされ、海面にダイブすることは防がれた。
顔を上げれば、太陽光を背に似つかわしくないほど仏頂面をしたエンカク。サングラスの向こう側の瞳が、私を非難していた。
「気をつけろ」
「ありがとう、エンカク」
ゆるりと腕が離れていく。
この暑さだというのに、彼は汗ひとつ掻いていない。
水着を着たら、と提案してみたものの見事に突っぱねられ、いつもよりラフではあるが普段着だ。ボトムスの裾を捲り上げ、海に入っている。
私といえば、オーキッドに強く勧められ、断ることができなかった黒いオールインワンの水着を身につけている。日焼けしないようにとケミカルレースのガウン付きだ。日焼けは気にしないと言えば、オーキッドは無言で強めの日焼け止めも一緒に渡してきた。あの圧には逆らえない。
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