桜散る時前編:一奈
目蓋のうえに、あお
うすい唇には、あか
色づいて
偽って
着飾った
装った
わたしを
おれを
見つけて
忘れて
*¨*•.。*・゚•*¨*•.。*・゚•*¨*•.。
桜舞い散る中、肩を並べて歩く。
横を見れば、同じ高さの黒い肩、黒い髪、こちらに気づいて、はにかむ顔。
見慣れた風景。
たった一週間で、見慣れてしまった風景。
一週間前。
この橋の上で、欄干にもたれる背中を見て。
待っている。
直感した。
誰を、なんて分からない。
そもそもその背中自体が誰なのかを知らない。
そんなわたしに、関係などあるはずがないのだ。
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