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    T_ShioSag_N

    @T_ShioSag_N
    気ままに、二次作品書く時ある。(ポケモン)
    別でpixivにもある。そっちはほぼサトセレ。
    本格的に小説書くための別アカあり。

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    T_ShioSag_N

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    ブラホワ。前書いた続きだよ(^ ^)

    『これからもそばにいるから』(ブラホワ)


    柔らかな風。顔に当たると、どこからか運んできたのか甘い匂いが少し混じっている。その香りがこの時期を知らせに来ている。
    ーーー卒業の時。
    今日はヒオウギシティのトレーナーズスクール卒業式の日だ。
    ホワイトはこの日までにしっかりと仕事をこなし、予定をあけた。もちろん、彼女の仕事仲間、いや、今では想い人でもある。ブラックの卒業式を見るために。
    (さぁて、来訪者席へっと)
    校門をくぐり、卒業式の会場へと向かう。受付に行くと、見知った顔に会う。
    「あら、チェレン」
    「こんにちは」
    ピシッとしたスーツ姿でチェレンはホワイトに挨拶した。
    「なんとなく来るとは思ってましたよ。ブラックは中にもういますよ」
    チェレンはどこか見透かしたような声音で言ってきた。記帳している手がビクッとなり、自分の名前が少し乱れた。
    驚きで顔を上げる。
    「え、チェレン、なんか」
    「なんとなくは勘づいてました」
    ふふ、と笑いながら答える。
    それを見てホワイトは、ぼわ、と顔を染めた。思わず、顔も逸らした。
    「ま、ブラックは知っての通り、一直線なやつですから。難儀はするでしょうけど」
    苦笑いしながら、チェレンは言いながら、何か手渡してきた。
    ホワイトはそれを受け取り、目を丸くした。
    「関係者席?」
    「ブラックはあなたの会社の社員でもありますから。不思議なことではないでしょう」
    チェレンはそう言った。これも彼の計らいか。関係者席なら、彼の姿も見える。
    彼に礼を言って、関係者席に向かう。人はそこそこいた。そして、関係者席にいたのは。
    「え、N!?あなたまで!?」
    「やぁ、ホワイト」
    まさかの参列者にホワイトは開いた口が塞がらなかった。Nは微笑んだまま、前を見た。
    「今日は彼の晴れ舞台だろう。ボクも見たくなってね」
    Nは後ろ姿のブラックを見ている。活発的な彼だが、今日はしっかりとした正装で行儀よく座っている。
    彼の後ろ姿を見て、ホワイトはどこか嬉しく思った。彼は夢に向かって真っ直ぐ。このスクールに通う時もまた目標を持ってやっていた。それをしっかりと終えた。ここを卒業したら、また新たな目標に向かっていくだろう。

    卒業式はすべてつつがなく……まぁ、ブラックの大声は大目に見るとしよう。相も変わらずの大声に、周りは仕方がないなぁ、となり、つつがなく行われた。
    終わった後、ブラックはホワイトとNのところに立ち寄った。
    「よ!社長!N!来てくれたんだな!」
    「当たり前じゃない!」
    「晴れ舞台だからね」
    「おう!ありがとうな、2人共!」
    ブラックは2人に礼を言う。すると、Nはすぐ背を向けた。
    「ボクはここで戻ることにするよ」
    「もうかよ!?」
    「ふふ。これでもまだやることはあるんだ。また会おう」
    Nはそう言うと、手を空に向かって振った。すると、ゼクロムが空から現れた。Nはその背中に、ひょい、と乗って飛び立っていった。
    「せわしねぇやつだな」
    「ま、Nもまた会おうって言ったから、また会えるわよ」
    「だな」
    ブラックは頷いた。
    久々とはいえ、2人きり。
    「ブラックくん、改めておめでとう」
    「おう!」
    「この後はどうしたいって考えてる?やっぱりまずは改めてのリーグ挑戦かな?」
    「そうだな!今のチャンピオンのアイリスに勝つためにな!よーし!!オレは勝つぞーーっ!!ジムリーダー!!四天王!!チャンピオーン!!待ってろよー!!」
    久々の彼の日課。自分の目標を大声であげた。急に始まったために、ホワイトは途中で耳を塞いだ。
    「もう!急にしないでよ!」
    「ごめんごめん」
    ホワイトが腰に手を当てて怒りをあらわにすると、ブラックは手を合わせて謝る。
    ホワイトは、くすっ、と笑った。それを見て、ブラックは不思議に思った。
    「どうしたよ、社長?笑ってさ」
    「ううん。久々だな、と思って」
    「ふーん?」
    ブラックは特にはそれ以上追求はしなかった。
    「ねぇ、ブラックくん」
    「なんだ?」
    「あの時、わたしの会社にはずっといてくれるって言ってくれたじゃない?」
    「おう?そうだな?」
    「だからさ、わたしもあなたの……」
    ホワイトは続きに詰まった。頬が火照る。
    「あなたの?」
    ブラックは続きが気になるようで、繰り返す。乙女の心に気づいていない。
    「その……ええと。あなたをずっと応援してるから、ね」
    ホワイトは言い切って、にこ、と口角を上げて微笑んだ。
    その微笑にブラックはどこか胸がざわついた。思わず、首を捻る。
    「どうかしたの、ブラックくん」
    「胸がなーんかざわっとしてさ。社長の顔を見てたらさ」
    「ざわつく?どういうこと」
    ちょっと疑いの目を向けられ、ブラックは慌てた。
    「いや!社長を疑うわけじゃないよ!ざわつくっていうか……うーん、なんかほわっとするというか?」
    「え」
    ブラックの言葉に、やや緊張した。
    (そ、それって……わたしのこと、意識してくれたってこと?そうよね?)
    ホワイトは不安ながらもやや確信を得た気持ちになる。乙女心が告げている。伝えるなら、今だと。
    「ね、ブラックくん」
    両手を背中で組む。彼の目に視線を合わせる。
    「なんだ、社長?」
    ブラックはホワイトを見つめ返した。真っ直ぐに見る彼の目に緊張するが、ホワイトは勇気を出して、口にする。
    「好きよ、ブラックくん」
    気持ちを込め、ただ一言。
    急な告白に、ブラックの顔が真っ赤になった。
    「は?え?社長?好きって……え?好きって……え?ええ?」
    わたわたする彼に、ホワイトは、くす、と笑う。近づいて、ぎゅ、と抱きしめる。
    「好き。わたし、ブラックくんのそばにいる」
    ストレートな想い。ブラックはふとホワイトストーンの中でホワイトが自分を後ろから抱きしめられた時の感情を思い出した。あの時も気恥しさはあった。だが、それと別にホワイトへの想いが、あの旅の中で絆と共に自分の中で育っていた。
    「あ、その、うん。オレも社長のこと、好きだ」
    「え!」
    ホワイトは驚いて、ブラックと顔を見合わせる。
    「今なんて?なんて言ったの、ブラックくん」
    「オレも社長のこと、好きだ」
    ブラックは飾らずにホワイトにしっかりと二度目も伝えた。ホワイトは少し惚けたが、また彼を、ぎゅ!、と力強く抱きしめた。
    「ありがと」
    「うん」
    そろそろと手を伸ばして、ブラックも片腕でホワイトの腰に手を回した。気恥しそうに鼻を手で触りながら言葉を紡ぐ。
    「オレ、社長のそばにいるよ、ずっと」
    「わたしも。ブラックくんのそばにずっといる」
    2人は誓う。桜舞うこの場所で。

    遠目に見ていたチェレンたち。その一同の心中だが。
    (えっ?結婚!?結婚なのーー!!??)
    急な2人の進展具合に仰天するしか他なかった。
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