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    T_ShioSag_N

    @T_ShioSag_N
    気ままに、二次作品書く時ある。(ポケモン)
    別でpixivにもある。そっちはほぼサトセレ。
    本格的に小説書くための別アカあり。

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    T_ShioSag_N

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    ブラホワ。関係進むよ。後半はもうわたし好みになった気がしてならないw
    下手すると、この続きとか書けるけど…どうするかな。

    『トリガー』(ブラホワ)


    イッシュ地方、ライモンシティ。イッシュ地方の中でも多くの娯楽施設を持つ街。遊園地、ジェットコースター、ショーやコンサート・・・・・・。人はそれを楽しむために各地から、やってくる。
    もちろん、この2人もーーーー。

    2年と少し前のあれ以来のライモンシティへの来訪。少年の方が先に前に出て、立ち止まったかと思うと、腰からボールを投げ、手持ちを出したかと思うと、大きな声で叫び出した。
    「うおおーー!!オレはポケモンリーグで優勝するぞォ!!絶対絶対優勝するからなー!!四天王、シキミ!カトレア!ギーマ!レンブ!そして、チャンピオンのアイリス!
    !待ってろよーー!!」
    共にポケモンたちも叫び始めて、周りの人は何事だとあんぐりと口を開けて彼を見ていた。それを後ろで微笑ましく、見ている少女が1人。
    彼ーーブラックがポケモンたちをボールに戻すのを見てから、彼の隣に彼女ーーホワイトは立つ。
    「ふふっ。今日もいい声でするね、ブラックくん」
    「まあな!これがないとオレは始まらないからな!」
    へへっ、と笑うブラックに、ほわっと温かい気持ちになるホワイト。少し前、彼に自分の想いを伝えた。そして、彼からも想いを聞けて、晴れて恋仲に・・・・・・なったのだが。
    あれから恋人らしい進展はない。
    まあ、ブラックの性格上、これ以上の進展は難しい。となると、年相応のホワイトから行くしか手は無いのだが、彼女もまた自分の会社であるBWエージェンシーのことでなかなか時間は取れない。
    (でも、わたし、今はこうやってブラックくんのとなりにいるだけでとっても幸せ。2年もブラックくんに会えなかったから、まだ・・・・・・)
    ホワイトはブラックのとなりで歩きながら、そう思いつつ、横目でちょっと見上げながらブラックを見ていた。この短期間でブラックの身長はなかなか伸び、年相応の風格が出始めていた。そんな彼にたまにドキッとする自分がいて、ホワイトは前に視線を戻す。
    遠目に2人を見ている者がいた。
    「ふふ。チェレンが言う通り、あの2人・・・・・・。でも、なんか焦れったいわねぇ」
    小さくそう呟くと、その影は、すっ、と2人の方に向かっていった。溢れ出るオーラに周りの人は、えっ、とざわめく。思わず立ち止まる人もいた。
    「久しぶりね、2人とも」
    「あ!カミツレさん!」
    ブラックとホワイトの前に来たのは、このライモンシティのジムリーダーであり、モデルであり、アイドルでもあるカミツレだった。
    2人を見て、ふふ、と笑みをこぼす。
    「カミツレさん!さっそくだけど、オレとバト」
    「いーえ。その前にブラックくん」
    カミツレはブラックの言葉を遮って、ホワイトの方をちらりと見る。
    「ジム戦もいいけれど、まずはガールフレンドを楽しませたらどう?」
    「えっ!?」
    カミツレの思わぬ言葉に、ブラックとホワイトは同時に声を上げて、狼狽えた。
    「な、なんで、カミツレさんが知ってるんだよ!?」
    「あなたの幼なじみ2人から」
    「チェレンー!!ベルー!!あいつら、どこまで教えたんだよ!?」
    ブラックは大絶叫した。トレーナーズスクールの卒業の日。2人の様子を見ていたチェレンがベルに話し、それにベルが色めき立ち、チェレンを引っ張って自分たちの知り合いに片っ端から教えていったのだ。それからは、再度ポケモンリーグのためにまたこのイッシュ地方を旅していたが、これまでのジムリーダーたちにちょいちょいとホワイトの仲のことを聞かれていた。
    ホワイトはホワイトで照れて、俯いていた。
    (人に言われるとなんでこうも恥ずかしいんだろ〜!)
    心の中で悶えていた。
    2人の様子を見て、カミツレは含み笑いしつつも、おいで、と手を振った。
    それについて行く2人。カミツレが連れていった場所はライモンジム。
    「さ、まずはこれからでどう?」
    「えっ!?やっぱりジム戦を」
    「違うわ」
    ブラックが期待を込めたが、あっさりと否定され、がくっとなった。
    「じゃあ、なんだよ?」
    「ジェットコースターに乗ってきて楽しみなさい。わたしは仕事あるから。ホワイトちゃん、またお仕事で会いましょ」
    カミツレはそう言うと、じゃあね、と手を振って背を向けた。が、立ち止まってカミツレはまた2人の方に向く。
    「今日は2人共、楽しみなさいな。ジムのことも仕事のことも忘れなさい。ブラック、あなたは男らしくなるべくエスコートしててあげなさい。ホワイトちゃんにさせないように」
    カミツレはブラックにそれだけ言うと、2人を残して去っていった。後ろ姿からもオーラは溢れ出ていた。道行く人が振り返るほどに。
    2人はしばらく立ち尽くしていたが、お互い顔を見合せた。ただ、照れくさくなりすぐ逸らした。
    「と、とりあえず・・・・・・行くか?」
    「うん」
    ホワイトは小さく頷いた。
    ジェットコースターに向かう際、ブラックはこの後どうすればいいかを考えた。
    (社長をエスコートするったって・・・・・・オレ、そんなのわかんないよ・・・・・・)
    これまでバトルやポケモンのことには興味を持ってやってきた。人と遊ぶ、しかも、好きな人と遊ぶことに関して、ブラックはかなり疎かった。
    (こればっかりはムシャに夢を食べてもらっても解決はしないからなー。どうしたもんか)
    ブラックはうんうんと唸りながら考えていた。その様子をホワイトは横から嬉しそうに見ていた。
    (ブラックくん、一生懸命になって考えてくれてる。でも、ブラックくんのことだからなあ・・・・・・。カミツレさんはああは言ったけど、別にしちゃだめとは言ってないわけだから)
    ホワイトはそう思うと、ブラックの左手を握った。それに、ドキッとしたブラック。
    「しゃ、社長?」
    「ブラックくん、まずは目の前のこと、楽しみましょ?それからでもいいから」
    手を引いてホワイトは言う。彼女が前の方に出てきて、ブラックは、はっ、とさっきカミツレが言っていたことを思い出す。
    「お、おう!行こうぜ!」
    ブラックはホワイトの前に出た。それを見て、ホワイトは微笑んで、彼に引かれるままついて行った。

    コースターが1人乗りでは、とブラックは心配したが、カミツレが先に機転を利かせてくれたのか2人が行った時に、スタッフが2人乗りのコースターを用意していた。ただ・・・・・・妙に密着がある様な配置。ある意味、あからさまではある。
    (な、なによ、これ!こんなの・・・・・・こんなの)
    チラ、とブラックの方を見るホワイト。
    (二重にドキドキするじゃないの!)
    ブラックはそこのところは何も思っていないのか、コースターにすぐさま乗った。ホワイトがなかなか来ないのを見て、不思議そうに見上げた。
    「社長、来ないの?」
    「あ、え、もう!行く!」
    「え、なんで怒ってんだよ」
    ブラックは少し混乱したが、ホワイトはちょっと膨れっ面のままブラックの前に乗った。そこで少し鈍感なブラックも気づいた。妙に近くて、ホワイトを抱きしめられるような感じにされている。
    (なんだよ、これ!てか、社長の髪から・・・・・・なんかいい匂いが)
    今まで嗅いだことのない女の子の匂い。緊張してきた。前に座るホワイトはさっきの膨れっ面から顔を紅潮させて、ドキドキしっぱなしだった。
    (ほらぁ!なんでこんなにブラックくんに包まれる感じに!?もうドキドキが)
    そんなことを思っていると、コースターの窓が閉まり、発車した。なかなかのスピードでホワイトの体が遠心力でブラックの胸の中に押し込まれた。
    (わーーーー!!??)
    2人は密着具合に、心の中で悲鳴をあげた。さすがのブラックも声を上げたら、ホワイトの耳に差し障ると思ったのか口からは出さなかった。

    ジェットコースターが終わった後、2人は入る前よりも照れくさくなり、手が触れそうで触れられないような感じで、微妙に距離を置いて歩いていた。
    (いや、恥ずかしかった・・・・・・)
    (心臓がもたない・・・・・・)
    2人は自分の気持ちを沈めようと落ち着こうと同時に深呼吸した。それをお互いに見て、しばらくして、吹き出した。
    「ははっ、オレたち、かなり緊張しちゃったな!」
    「そうね!あー・・・・・・でも、本当にスピードがあって、楽しかったわ!」
    ホワイトはそう言いながら、少しびっくりしていた。恥ずかしかったのは確かだが、ブラックとこうやって乗っていて楽しかったと感じている自分がいたのだと。それに気づくと、ホワイトはなぜか嬉しくなった。それと共に、ブラックへの想いも少しまた強くなる気がした。
    (やだ。アタシったら。なんでこんなに)
    頬を抑えた。
    「どうした、社長?大丈夫か?」
    ブラックはホワイトを心配そうに覗き込んだ。それにホワイトは首を横に振った。
    「ううん。大丈夫。それより、次は」
    ホワイトが視線の先に観覧車が見えた。あそこでは怖い思いをした。もうNがあのようなことはしないとはいえ、あの時の怖さはまだ残っていた。
    ブラックはホワイトの少し硬い表情と視線の先を見て、彼女から聞いた話を思い出していた。
    (あの時、オレが社長と一緒にいたら・・・・・・)
    ブラックは、はた、と気づいた。
    (今、オレと一緒に乗ったら社長の心も少しは和らぐかな?)
    ブラックはそう思い、すぐ口にする。
    「乗るか、社長」
    「え?」
    「乗ろう、観覧車。嫌な思い出が残ってるとは思う。でも、一緒に乗るのはオレだ。だから、大丈夫だ」
    力強い目がホワイトを見ていた。ブラックが何を思ってくれたのか嬉しくて、彼の手をまた取った。
    「うん、行く」
    首を縦に動かして、短く答えた。それを見て、ブラックはホワイトを優しく手を引いていった。

    観覧車には人がまあまあ並んでいたが、スムーズに乗れた。向き合って座った。
    「お!あそこにミュージカルの会場あるけど、ライモンシティの会場の全体、あんな感じなんだな!」
    「そっか。ブラックくんはあんまりしっかりと見たことないんだっけ」
    「ああ。へ〜。ああいうところでやるんだな〜」
    ブラックはふむふむと会場の方を見ている。彼がホワイトの社員として、しっかりと考えてくれている。それはとても嬉しいことだ。彼は自分のことだけじゃなく、ホワイトの仕事のこともしっかりと考えてくれている。ポケモンリーグだけじゃないこと。それがとても嬉しかった。
    「ブラックくん、ありがと」
    「え?急にどうした?」
    「アタシが前にNに連れられて怖い思いしたから、今度は楽しくしようってことでわたしを誘ってくれたこと。あと、わたしの会社のことを思って今そうやって会場を見てること」
    ホワイトにそう言われ、座り直して、ブラックは笑顔を見せた。
    「どういたしまして」
    彼の後ろから、陽が射している。彼の笑顔がホワイトの胸を打つ。気分が高揚する。
    彼のとなりに座り、肩に頭をのせた。
    「ブラックくん、ありがと」
    「なんだよ、しゃちょ」
    「社長はやだ」
    顔を動かし、上目でブラックを見た。
    上目遣いのホワイトにブラックはドキッとした。ごくり、と唾を飲んだ。
    「あー、えーと・・・・・・ホ、ホワイト?」
    「うん」
    ブラックは出会ってからあまりホワイトの名を呼んだことはない。改めて彼女の名前を読んで、ホワイトの笑顔を見て、何か自分の中に柔らかい気持ちが生まれる。
    「・・・・・・オレ、これからはしっかりと名前の方も呼ぶようにするよ。仕事の時は社長って呼んだ方がいいだろうけどさ」
    「うん。いいよ、ありがと、ブラックくん」
    「おう。てか、ほんと、さっきからホワイトはお礼ばっ・・・・・・」
    ブラックの口が塞がれた。とても柔らかいものに。視界には目を閉じたホワイトが。頬を少し赤らめたホワイトが。自分の口を塞いでいるのがホワイトの唇と気づいたのはそこまで時間がかからなかった。
    「ーーーーっ!!??」
    ブラックは大慌てして、手がわたわたと動いた。ホワイトの腕が自分の首に回ってきて、より密着した。
    ブラックは恥ずかしさでまだ慌てていたが、徐々に落ち着き、緊張は残しながらもそのままホワイトと唇を合わせたままにした。
    どれくらい経ったのか、ホワイトがそっと離れた。
    「・・・・・・ブラックくん、ごめんね、急にしちゃ」
    「謝るなって。オレたちはさ、そういう関係だろ」
    ブラックはホワイトの言葉を照れくさそうにしながらも一蹴した。ホワイトは嬉しそうに頷いた。また彼の肩に頭をのせた。
    「・・・・・・大好き、ブラックくん」
    小さく強くホワイトはブラックに言った。ブラックはホワイトの腰に腕を回して、自分の方に強く引き寄せた。観覧車が地上に降りるまでは2人はそうしていたーーーー。

    「へー!よかったね、ホワイト!」
    「うん」
    ライブキャスターで話しているのはベル。近況を話していたら、ブラックの事を聞かれ答えていた(かなりしつこかったということもあったが)。色々と聞かれて恥ずかしかったくらが、話を聞いて色めきたつベルを聞いていると、それは少し和らいだ。
    「ブラックは!?ブラックいるの!?ブラックからも話を」
    「いるけど、今から忙しいから。じゃ。またね、ベル。博士の助手。頑張ってね」
    そう言ってホワイトはホロキャスターを切る。そこへブラックが来た。
    「社長〜。取引先の人が社長と話したいってさ」
    「うん、行く」
    ホワイトは立ち上がり、ドアの方に行く。ブラックの方をチラと上目遣いに見る。すると、ブラックが素早く、そっ、とホワイトに口付けた。
    「早い」
    「もう仕事だろ」
    ブラックに言われ、ホワイトはちょこっと頬を膨らませながらもドアの外に出ると、顔を引きしめて、スイッチを入れて俳優女優のポケモンたちやスタッフたちと連携を取り合ってやっていく。

    仕事が終わると、いつも通り、俳優女優のポケモンたちはホテルへと泊まり、ブラックとホワイトはテントを立て、次の町の計画を立てる。
    「じゃ、次もブラックくんのジム戦先で」
    「うん、ありがとう」
    ホワイトがとんとんと書類を片付け、バッグにしまって、向き合おうと体を動かすと、ブラックから抱きしめられた。
    「ブラックくん、ちょっと。まだご飯が」
    「ホワイト、今日、早いって言ったからさ」
    「・・・・・・もう。嬉しいけど」
    2人きりの時間の時は長めに。幸せを噛み締めながら、ホワイトはブラックに抱きしめられつつ思う。
    (なんか・・・・・・アタシ、ブラックくんのトリガー引いちゃったのかな・・・・・・でも、いいや。幸せだし)
    ホワイトが目を閉じるのを確認して、ブラックはそっと近づく。
    テントの影がくっきりと映し出す。空は満天の星。さながら、どこかの映画のように、淡く美しく、2人を祝福するかのように。

    Fin.
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