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    sayutaba18

    @sayutaba18
    ライハを愛してる女。

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    sayutaba18

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    冬のいずレオ企画で書いたもの。
    やきもちから始まる恋の話。

    #いずレオ冬物語
    izuLeoWintersTale

    やきもち「あ~みかん食べたいなぁ。普段頑張ってる俺のために誰か剥いてくれないかなぁ」
    「よぉし! おれに任せろ! 一筋残さず綺麗に剥いてやるからな~」
    「うむ。苦しゅうない」
     なんだろうかこれは。いや、これといって珍しいわけでもなく、よく見る風景だ。凛月とレオがあったかいこたつに潜り、呑気にみかんを食べている、いつも通りといえばそうなのだけれど。
    「ほら、剥けたぞ。あ~ん」
    「あ~ん。うん。おいしい~」
     「ほっぺがおちそう」などとぬかしながらみかんを咀嚼する凛月。そのどこのスーパーでも売ってるみかん、いつも食べているやつでしょ。「おれが剥いてやったからな! 当たり前だろ!」なんてしたり顔をしているレオもよくわからない。なんなのだろうかこの二人は。みかんの白い筋なんててんで気にしなさそうなレオが、凛月のために綺麗に筋を取り尽くして、おまけに口にまで放り込んであげている。二人が仲良いのは今に始まったことじゃないけれど、最近は少し距離感が近すぎるのではないだろうかと思うことが、最近よくある。
    「お、セナ。いつの間に来てたんだ!? 寒いからこたつに入れよ~! あったかいぞ~」
     スタジオの入り口で立ち尽くしているのをレオが発見したらしく声をかけてきた。
    「そんなじじくさいところに入るわけないでしょ。せっかくレッスンに来たのに、あんた達ときたらこたつでだらけちゃって」
     不思議と不機嫌な声で返答してしまったが、これも普段通りと言えばそうなので、二人は自分の変化に気がつかないだろう。
    「だってさ、今日は雪だろ? さっきまで外にいたから寒くって。なぁリッツ?」
    「そうそう~。年甲斐もなく月ぴ~と雪合戦とかしちゃったから、手袋もびしょびしょになって、手がかじかんで何にもできないわけよ。セッちゃん」
    「雪合戦って……小学生じゃあるまいし」
    「中庭にある柊に突っ込んじゃって大変だったんだからな~。でも曲はできたからいいだろ~?」
    「ね~」
     二人でニコニコと笑いあっている。正直不愉快だ。雪合戦に呼ばれなかったからとかそんな陳腐な理由なんかじゃない。これはもっと、どろっとした、何か。
    「あれ? セナ不機嫌? なんか怒ってる? みかん剥いてやろうか?」
    「……いらない。俺は一人でもレッスンするから。あんた達はいつまでもそこで仲良くやってたら?」
     さっきよりも冷たい声色になってしまったけれど仕方ない。怒ってるわけではない。少し、何かが気に入らないだけだ。別に凛月とレオがちちくり合っていようと、自分には関係ない話だし、knightsにも影響がない。
     それでも、先ほどレオが凛月に向けていた朗らかで楽しそうな笑顔が、頭から離れないのだった。



    「なぁ、リッツ。これでいいのか? 逆にセナに嫌われた気がするんだけど……」
    「大丈夫大丈夫。セッちゃんのあの顔見た? 明らかにやきもち焼いてたよね~」
    「あれ怒ってたんじゃなくてやきもちなのか……?」
     本日のレッスンも終わり、瀬名が素早く着替えてさっさと帰ってしまったので、こうして凛月とレオは反省会という名の作戦会議をしていた。
    「俺があんまりにも『王さま』と仲良くしてるから、心中穏やかじゃないよね~」
    「それ、逆に勘違いされない? おれ達がその、付き合ってるとか……そういう……」
    「そこまでセッちゃん考えるかなぁ。付き合ってるのか聞かれたら、付き合ってないって答えるだけだし、問題ないでしょ?」
    「そういうもの?」
    「そういうもの~。ね、『王さま』押して駄目なら引いてみるんだよ」
    「引いてみる……」
    「セッちゃんに毎日のようにスキンシップしてたでしょ? 向こうはそれに慣れちゃってるわけよ。そこで急に距離を取ってみると、なぜかイライラする自分に気付き、初めて恋心を自覚するセッちゃん……」
    「そんな少女漫画みたいな展開になるか?」
    「なるなる。だって相手はラブコメ主人公だよ~?」
    「う~ん……」
     つい先日、レオが凛月のところへ相談にきたのだ。瀬名に自分のことを好きになって貰うにはどうしたら良いのかと。どう見ても瀬名はレオのことが好きなのに、これ以上どうしろと言う話なのだが、彼は真剣だった。告白すれば? と聞いて見れば「それはまだ」と言う。まだって……待ってたら二人ともおじいちゃんになっちゃうじゃん……と思って、こうして悪智恵をしこんでいるわけである。



    「『王さま』ちょっと話があるんだけど」
    「お、おお? 今?」
    「レッスン終わってからでいいから」
     レオとラブラブに見せかけること数日。反面、レオは瀬名へのスキンシップを一切とっていないと言っていた。瀬名が日に日にイライラしている視線をこちらに向けているのが手に取るようにわかったので、作戦はうまくいっているのだなと思った。いよいよ痺れを切らしたらしく、人殺しでもしそうな目線をレオに向けながら話をしているのをみて、うまくいったかなと思った。レオも、あまりの瀬名の剣幕に、目をキョロキョロさせたあと、自分の方へ助けを求めるように視線を送ってきたが、首を振って「がんばれ」と音には出さず、口の動きだけで伝えた。
     レッスンが終わったあと、着替えを済ませた瀬名がレオを引きずるようにして、スタジオを出ていった。あとはこじれないように話をするだけだ。応援しているよ。二人とも。



     レオの手を引っ張って駐輪場まで行き、無言でバイクのヘルメットを投げつけると、レオも無言でそれを受け取って、頭にかぶった。
    「あんたさぁ。くまくんのこと好きならそれでいいけど、スタジオでそういうのは止めてくれる?」
    「んん?」
    「? あんた、くまくんのこと好きなんじゃないの?」
    「リッツのことは好きだけど、多分お前の思ってるような好きじゃないぞ」
    「……まぁいいや。乗って。最後に俺との思い出作りに協力してよ。いいでしょ」
    「思い出作り……? 多分セナ、勘違いしてる気がするぞ」
     勘違いもくそもない。あれだけ見せつけられていたら、いくら鈍感と言われた自分でも気がつくに決まっている。それなのにまだとぼけられるなんて、いっそ腹が立ってくる。
     頭に疑問が浮かんだままのレオを、後ろに乗るように促して、バイクを走らせる。行き先は、終わりの場所に相応しい、冷たくて静かなあの海岸だ。



    「さむ……手が凍って死にそう……」
    「さすがに冬の海は寒いよねぇ……あ、あんた手袋持ってなかったんだ。ごめん気づいてなかった」
    「そんなもん持ち歩いてるわけないだろ~。素手でバイクのニケツとか……うう、まだ感覚ない……この冷えきった感覚が新しい刺激を生んで霊感が湧きそうなのに、ペンを持つことも許されない……」
    「悪かったって。俺の手袋、貸してあげるから、それしておきな」
    「ありがとう……でも、元はと言えばセナのせい……」
    「はいはい、俺のせいでいいから」
     先ほどまでつけていた風の通さない頑丈な手袋を外して手渡すと、いそいそとそれをレオがつける。
    「まだセナの温もりが残っててあったかい……セナの心もこれくらい温かいといいのに……」
    「失礼なこと言わないでくれるぅ? あとしつこい!」
    「わはは☆あ、セナ見て! オリオン座!」
     外に出たときにはすでに外は暗くなっていた。その時には何も思わなかったけれど、海辺に来ると星が一層良く見えていて、中でもオリオン座は、一際輝きを放っていた。
    「オリオン座なんてあんた知ってたんだ」
    「失礼だな! っていうか冬になったら毎日くらい見かけるだろ。最近霊感を湧かせるのに話しかけたりしてる。友達なんだ~」
    「へぇ~」
     星座と友達っていうのがまた面白いねぇ。
    「っていうか! 忘れかけてたけど寒いから早く本題に入って! 話ってなんだ!」
    「ああ、そうだね……あそこ座ろうか」
     海岸にある大きな岩に並んで座る。レオを見ると自分の腕で自分を抱きしめてガタガタと震えていた。こんな所に連れてきてしまって悪いことをした。と今さら思ってきた。早く話をして、そして終わらせよう。自分の恋を。
     深呼吸を3回する。レオをちらりと見やる。そして、口を開く。
    「あのさぁ。俺はあんたが誰を好きで、誰と付き合おうと、関係ないんだけどさ」
    「……うん」
    「俺も意外とあんたのこと好きだった。ってのは、言っておきたくてねぇ」
    「え?」
    「なんか、あんたとくまくんが仲良くしてるのを見ると、無性にイライラするんだよねぇ。それで思ったわけ。俺は恋心を自覚すると同時に失恋したんだなって」
     淡々と告げる。そうじゃないと、自分が傷ついてしまいそうだから。相手のことも刺してしまいそうだから。あんたのことを傷つけたいわけじゃなくて、明日からも、いつも通りでいるための儀式。
    「それ……嘘じゃないよな……?」
    「嘘ついてどうするの……だから、ちょっとイライラしてあんたに当たっちゃった。ごめんね」
    「あ、謝らなくていい! あと、えっ、セナ、おれのこと好きなの……?」
    「……好きだった。と思う」
    「おれもお前のこと、好き! 大好き!」
    「はぁ?」
    「おれのこと、もっと好きになって欲しくて、ちょっと試しちゃった! ごめん!」
    「えっ、どういうこと?」
     それからレオは、凛月に相談して、瀬名への行動を取っていたことと、特に凛月とは付き合っていなかったことを聞かされた。
    「あいつ……」
    「リッツは悪くないぞ! 悪いのは、勇気が出なかったおれだから!  だから、その、セナ、おれのこと好きなら……その、……ええと……」
    「くまくんに一杯食わされた感じが釈然としないけどぉ? つまり、俺もあんたのこと好きで、あんたも俺のことが好きってことであってる?」
    「あ、あってる……」
     しばらく沈黙が続いた。気持ちを伝えてただ終わらせようと思っていたのに、まさか始まってしまうだなんて……そんなこと誰が思うだろうか。
    「そっか……」
     暗くてレオの顔はよく見えない。自分もどういう顔をしているかわからない。少し、勇気を出してレオの手を握ってみると、わかりやすすぎるくらいにびっくりして、そのあと、レオはおずおずと自分の手を握り返してきた。
    「……今日のところは帰ろうか。寒いし」
    「……そうだな」
    「寒いし……俺の家で鍋でも食べていく? あんた風邪引きそうだから、身体温めないと」
    「い、いいのか……? 鍋は食べたいけど……」
    「うん。ご飯、一緒に食べよう? れおくん」
    「セナ……うん!」
     なんとなく、手を繋いでバイク置き場まで行った。気恥ずかしくて、レオの顔なんて見れやしなかった。これは、つまり恋人ってことでいいのかな? 全然実感が湧かないんだけど。もっとちゃんと告白して「付き合ってください」と言った方が良かったのだろうか。

     家に連れ帰って「いきなり家に連れ込むなんて、大胆だなセナ!」と言われるまで、なんのことだか全然分からなくて、しばらくしてそれに気づいてしまって、二人とも顔を真っ赤にしたままお鍋をつついたのは、また別の話。
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    DONEクリスマスのいずレオ。今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
     ……時刻はもうすぐ19時だ。これだけの量を食べるのならば、20時までには食べ終えておきたい。クリスマスだからといって自分を甘やかすほど能天気でもないのだ。ケーキは昨日ユニットでクリスマスパーティーをした時に、わざわざ凛月が焼いてきてくれたものを食べたのだから、本音を言えば今日は軽 2978