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    sayutaba18

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    sayutaba18

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    いずレオ短文。空き教室。くっつくいいわけ

    #いずレオ
    izuLeo

    空き教室、くっつくいいわけ「『王さま』こんなところにいた……」
     かさくんが『王さま』を探すようになってから数ヶ月。すっかりと俺はスタジオで待つ側になってしまった。来たら少し嬉しくなってしまうし、来なかったらやっぱりKnightsには戻りたくなかったのかな、などと思ってしまう。毎日が一喜一憂の日々で、それでも彼はやっぱりKnightsに居て欲しいから、今日も傷つけないようにと正解を探している。
     今日はたまたま日直でかさくんが遅くなるとかで、こたつにはくまくんが既に居たし、なるくんも来ていた。後は『王さま』だけ来ていないという状況だったため、久しぶりに俺が『王さま』を探すことになった。去年は探さなくてもいつのまにか俺の隣にいた、小さな揺れるオレンジ色。
     教室には勿論いなかったし、ガーデンテラスにもいなかった。神出鬼没とはよく言ったもので、そもそも今日は学校に来ていないかもしれない。昼休みに一緒にご飯を食べる仲でもなくなってしまったし、突然クラスを尋ねて来ることもなくなった。物理的な距離感を感じるけれど、それは当たり前だと思ったし、かと言ってこちらから歩み寄るなんてこともしなかった。宙ぶらりんのよくわからない関係が続いていて、しかしはっきりと決着をつけてしまうと、今度こそ自分がどうにかなってしまうかもしれないから……それもできない。ああ、また自分のことばかり考えてしまうとうんざりした。
     二年生の時には選び放題だった空き教室も、幾分か夢ノ咲のやつらも真面目に授業をするようになったので、昨今は空いている教室も少なくなっている。一階の教室、二階の教室とくまなく探していると、移動教室の授業でしか使うことのないところに『王さま』はいた。授業で移動したあと、そのまま作曲へと転じたのだろう。誰も居ないのに椅子にも座らずに、床に胡座をかいて一人ガリガリとペンを走らせていた。
     先程の自分の呟きなんて、彼の作曲の前ではその耳に届くことなんてない。『何やってんの。今日は練習日なんだから早くスタジオに来なよね』それだけ言って『王さま』の首ねっこを掴んで引きづっていけばいい。それだけなのに、教室へと一歩、彼の空間の中に入っていくのが怖くて声が掛けられなかった。
     それでも意を決して足を出して一歩。音を立てないように歩くのはバレエで慣れている。また一歩『王さま』へと近づく。鼻歌が聞こえる。俺の好きな、れおくんの曲が生まれてくる場所。
     上から『王さま』を見下ろして三秒、気づかれなかったので、しゃがみこんで三秒。座り込んで、あからさまなため息をついてみたけれど、反応はない。どうしたものか。
    「のわっ! 重い! 誰だ!? おれの作曲の邪魔をするのは~!?」
     『王さま』に向かって体重を掛けた。ゆっくり、どの辺りになったら俺の存在に気づくかな、なんて、そんな試すようなことをしながら。
    「セナ~! なんだなんだ!? さっきまで授業中だと思ってたのに、目の前にセナがいる!」
    「授業はとっくに終わってるし、もう放課後だし、レッスンの時間だから迎えに来たんでしょ。かさくんが来る前に、ほら、行くよぉ」
    「待って! 久しぶりにセナと二人きりというシチュエーションに霊感が湧いてきた! ちょっとそのままでいて!」
    「はぁ?」
     そのままって、半分『王さま』に体重を預けた、この不安定な姿勢ってこと? なんであんたに身体を引っつけてしばらく過ごさなきゃいけないわけぇ!?
     なんて思ったけど、久しぶりに触れた『王さま』の体温を離すことも出来なかった。目を爛々と輝かせながら舌なめずりをして作曲をする『王さま』を見ていると、まぁ、そんなことはどうでも良くなって、今なら誰も俺たちを見ている人も居ないしねぇ、とため息をつきながらも身体を預けてしまうのであった。

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    sayutaba18

    DONEクリスマスのいずレオ。今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
     ……時刻はもうすぐ19時だ。これだけの量を食べるのならば、20時までには食べ終えておきたい。クリスマスだからといって自分を甘やかすほど能天気でもないのだ。ケーキは昨日ユニットでクリスマスパーティーをした時に、わざわざ凛月が焼いてきてくれたものを食べたのだから、本音を言えば今日は軽 2978

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