いずレオ短文。やきもち 人類全てに好きと言って回るような奴に、いちいちやきもちなど焼いていたら、いくつ身があっても数日と持たないことは知っている。
自分のことをこいつは好きでいるだろうという自信はある。もしかすると、一番ではないかもしれない。けれども、捕まえておかなくても急に居なくならないのだなと、最近ようやく実感できたところで、自分の心も落ち着いているのを感じている。去年はぽっかり居なかった空間も、レオのいる生活によって埋められていっているのだ。
他の誰からも霊感を湧かせていても目くじらは立てないし、むしろそのくらい自由な方が、彼にとっても良いのだろう。
「れおくん、次は誰の曲作ってるのぉ?」
「ン~? ママの新曲」
床に這いつくばっているレオからさらりと返事があって、自分のこめかみがピクピクと動くのを感じた。
「ねぇ、れおくん。今度俺のソロ曲作ってよ」
自分から彼に曲作りをお願いしたことは限りなく、ない。
「えっ、セナソロ歌うの!? いつ!? おれ聞いてないけど!?」
「……別に決まってないけど」
「ん? どういうことだ?」
前言撤回。なんの計画性もない、その場しのぎの言葉だ。なんとなく、どうしようもなく、今この瞬間にその若草色の瞳に自分だけ映して貰いたかった。ただそれだけの話だ。これはやきもちとかそういうことでは、決してない。
「なんでもないよ。ほら、作曲の続きしな」
下から探るように、見上げる視線に見つめられて、手でそれを追い払う。
彼を独り占めには出来ない。でも、たまに振り向いてくれれば、それだけでいいのだ。