千々なる祈り 食堂へ向かう廊下に立香の影が伸びる。
艦の窓から見る空はオレンジとネイビーのグラデーションを描き、徐々にネイビーの幅が広くなっていた。
ハワトリアで過ごした夏から比べてすっかり陽の落ちる時間も早まったし、影もあっという間に長く伸びていって本格的に冬の様相だ。
白紙化された地球からは日本のような外から見える風景に四季は感じ取れないけれど、データ上は今日から十二月を示している。
師走だからね、と人が口々に言いばたばたと過ごした日常を、伸びた影を見ながらぼんやり思い返す。
カルデアに来てからも何だかんだと大きい出来事は十二月から大晦日、お正月と続いていくものだ。
今年とて何か起きるか分からないし、感傷に浸ってばかりもいられない。
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