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    うえき

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    うえき

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    見てみたいけど実際公式で始まったらたぶん寝込む塔矢と進藤の娘世代の話
    ピクシブに載せたものの続きの書きかけ この後のことを書きたかったのに既に一年経った 今年中には

    #ヒカ碁
    goHikaGo

    塔矢の娘と『塔矢の娘と』

    「わたしはねぇ、囲碁の神様が大嫌いだから。」
     今年もプロ試験を受ける気はないのかと夕飯どきに何気なく聞いた所、もちろん、と言った後に続いた娘の返答がこれだった。
     オレは少し固まって「…そうか。」と返した後、いつも「誰にでも優しい」と評されがちな娘の口から何の抵抗もなしにするりと出た「大嫌い」の衝撃からなかなか立ち直れなかった。



    『塔矢の娘と』



    「囲碁の神様…?」
     塔矢の碁会所。
     最近顔を合わせる度に聞かれる「今年こそひかりちゃんはプロ試験を受けそうか」の返答に先日のやり取りをあわせて伝えると、塔矢の娘は顔を思い切り歪めて「誰」と呟いた。
    「何がどうしていきなり神様の話になるんです。」
    「わからねーよ。オレもいきなり何の話だと面食らって」
    オレと静かに殺気立つ塔矢の娘にコーヒーを持ってきてくれた市河さんがお盆を胸の前で抱えてことりと首を傾げる。
    「囲碁の神様って九州の囲碁神社の…?」
    「アレじゃないか? だいぶ昔の話だが1回目の北斗杯が開催された頃話をしてた『囲碁の神様は孤独だ』ってやつの」
     オレ達の隣で広瀬さんと打っていた北島さんがひょいと人差し指を立てる。
    「…あ―。よく覚えていますね。」 
     当時なぜそんな話題になったのか記憶が朧げでよく覚えていないが、確かにそんな話をしたことがあった。囲碁の神様は遥か高みにいて同等に戦える相手がいないから、数千年かけて自分と対等に戦える棋士を育てているのではないかと。
    「でもあれはあの場に居たオレたちしか知らない話ですよね。ひかりが知っているとは」
    「いや、前に思い出話で俺がしたことがあった。おまえから「囲碁の神様は孤独」なんて言葉が出てくるとはなあって。…なんだよ。」
    「北島さん」
    ここに元凶が、とじっとり見つめる
    「北島さん…」
    「いやそんな…二人して…でもあの時はにこにこ聞いてくれてたんだぞ?」
    恨めしげな視線を送るのに塔矢の娘も参戦し出して北島さんは急におろおろしだした。
    「それで? ひかりちゃんの言い分としては、この道を真っ直ぐ極めようとするとその対局相手がいなくて退屈している『囲碁の神様』の思惑通りで癪だとでも?」
     塔矢の娘は膨れながらぱちりと一手。
    「だとしたら心外ですね。私だって別にそんないるかもわからない神様の為にここにいるわけじゃ…。」
     そこで塔矢の娘は妙案を閃いたとばかりに目を見開いた。
    「…ひかりちゃんは『囲碁の神様』が嫌いだけどわたしのことは好き。つまり、私がその『囲碁の神様』になればひかりちゃんもプロの道に…?」
    「待て待て待て早まってくれるな」
    「別の物語が始まってしまうぞ…!」



    『アキラくんの闘志と進藤の思ったことをすぐ口にしがちな所が合わさったのがアキラくんの娘で、アキラくんの対外的な人当たりの良さと進藤の一見あけっぴろげに見えて謎が多い所が合わさったのが進藤の娘だな。』
    とは、本因坊戦が終わった後の内輪の酒席で放った緒方さんの娘たちの評価だ。
    「いやなんで合わさるんですか」
    と思わずつっこむと
    「そりゃあ合わさるさ幼少期は特によく一緒に打って過ごしてたんだろう?」
    と酔いの回った様子の緒方さんは笑って言った。
     まあ確かにそうだ、世の父親というやつは年端もいかない女児を連れてどこに行くものなのか皆目見当もつかなかった塔矢とオレは、娘たちを連れてはしょっちゅう塔矢の碁会所で打っていた。
    「一応言っておきますけどね、一般的に碁会所は『大人の遊び場』ですからね?」
    市河さんは呆れたようにため息をつきつつも小さな娘たちでも使いやすいようにと小さい専用の座席と碁盤を用意してくれ、常連客たちもいつ幼い娘たちが来るかわからないからと日中は碁会所内での喫煙を控えるようになった。
     そうやって娘たちは碁会所でのびのび碁を打ちながら育った。…育ったのだが。

    「…育った環境は似たようなもんだとは思うんだけどな。」
     暗くなったので塔矢の娘を家まで送り届ける道すがら呟くと前を歩いていた塔矢の娘の髪がふわりと揺れた。
    「…それは私とひかりちゃんのことですか?」
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