バレンタイン昂衛かきたかった2月14日。
リビングのテーブルの上には既に朝食が並んでいた。それのも関わらず衛藤昂輝はキッチンで何かを作る手を止めてはいなかった。
「おはよ〜コウくん……」
珍しく自分から起きてきた藤村衛が甘い香りに包まれつつあるリビングに入ると一気に目が覚めたようだった。
「コウ、それは……」
キッチンにいる昂輝に衛は不思議そうに尋ねる。
「今日はバレンタインだからな、皆にチョコを渡そうと思って。」
衛は普段からチョコを貰ったりすることなどなかったせいか、思わず声を上げる。
「衛……?メンバーに手作りチョコを渡すのはおかしいか……?」
心配そうに衛を見つめる昂輝に衛は思わずキュンとする。
「そ、そんなことないよ!コウくんの料理はなんでも美味しいし、義理チョコでもチョコはチョコ!美味しいから大好きです!」
その言葉を聞くと昂輝はくすっと笑う。