51-100志保が阿笠邸に泊まりに行ったので、男二人の夕飯。
適当に冷蔵庫にあった肉を焼く。
普段なら添えるサラダも付け合わせもなし。
女性の存在って大事だな、と肉を噛み締めながら思う二人。
志保のパンツがリビングに落ちている。
赤井が拾って降谷に見せた。
赤「ちょっと色気が足りないんじゃないか」
降「普段使いだからだろ。勝負下着は別にあると思うけど」
赤「いきなり誘われたとき困らないか」
降「シャワー浴びて全裸で出て行けばいいんだよ」
背後に忍び寄る不穏な志保の影。
風呂上がりに脱衣所で出くわした降谷と志保。
志「きゃー! 降谷さんのえっち!!」
某アニメのようなセリフを叫んで志保はドアを閉めた。
見られたのはこっちなんだけど、と降谷は理不尽な気分だ。
一度間違えて使ってしまった赤井の歯磨き粉が気に入った降谷。
時々こっそり使っていた。
ある日、歯磨き途中の志保に出くわし、彼女も赤井の歯磨き粉を拝借していることを知る。
減りが早い気がする、と首を捻る赤井の言葉は二人とも知らないふりをした。
駅でドーナツの安売りをしていたからと買って帰った降谷。
リビングのテーブルには降谷が持っている箱と同じものがふたつ。
志保と赤井は降谷の手にある箱を見てため息を漏らした。
ホウレンソウって大事だ。
時々思いついたようにギターを弾く降谷。
弾き始めると、他の二人が寄ってきてリクエストされる。
最後まで上手く弾くと、服のポケットに100円玉を入れてもらえるので頑張ってしまう降谷。
夏祭りに行く三人。
有希子さんに選んでもらった浴衣を降谷が着付けてくれた。
二人に射的禁止と言われた赤井は仕方なく金魚すくいをやってみる。初
めてやったが大量に捕れてしまい、全部返してこい、と降谷に怒られた。
志保もやってみたが、ひとすくい目でポイが破れていた。
降谷が息せき切って帰ってきた。
玄関を開けるやいなや「雪降ってる!」と二人に告げる。
上着を着てマフラーを巻いて外に出る三人。
今年初めての雪だ。積もりそうにはないが、初雪はどこか心が踊る。
身長体重ともに少しばかり赤井に負けている降谷。
降「でも腹筋は僕のほうが綺麗に割れてるよな?」
志保に見せてくるが、違いはよくわからない。
面倒なので「そうね」と答えたら、赤井がTシャツの裾をめくりながらやってきた。
これ以上こじらせるのはやめてほしい。
降「志保さん、太った?」
志「誰のせいだと思ってるの」
赤「そういえば、昨日俺の作ったカレーをおかわりしてたな」
降「今日の夕飯の唐揚げもかなり食べてたっけ」
志「もっとまずいご飯作りなさいよ。スカートのウェストやばいんだから」
そんなこと言われても、と顔を見合わせる大人組。
りんごを剥いた降谷。
皮を全部つなげて剥けたことを自慢すると、赤井と志保も負けじとりんごを剥き始めた。
おまえらそれ全部食べるんだろうな?、と自分の剥いたりんごをかじりながら思う降谷。
事件に巻き込まれて怪我をした志保。
どうして危険なことに首を突っ込むのか、と赤井と降谷の説教が始まった。
志保の嘘泣きが発動。
志「だって工藤くんが…」
矛先が自分に向けられた工藤。
新「きたねえぞ、宮野!!」
叫びながら工藤は走って逃げた。
降谷がアイスを買ってきた。
二個はガリガリ君で、一個だけハーゲンダッツだ。
勝負!、とじゃんけん大会が始まった。
テレビでライオンキングが始まったので、三人がハロを取り合い始めた。
みんな、あのシーンがやりたいのだ。
赤井が飲み会に出かけた。
志「アメリカ人の飲み会ってバーベキューかしら」
降「ダンス音楽大音量で鳴らして踊り狂ってるイメージある」
赤井が肉を焼きながら踊り狂うところを想像したせいで、二人とも笑いすぎでお腹が痛くなってしまった。
天気の悪い日は赤井を見る二人。
彼の機嫌が悪ければ雨が降る。
そうでもなければ降らない。
普段は温厚な赤井だが、梅雨時期は自分の髪の毛のうねり具合で機嫌が変わるのだ。
夜中にお腹が空いて起きてきた降谷。
冷凍うどんを素うどんで食べようと鍋に出し汁を沸かす。
そこへ起きてくる赤井。
「いい匂いだ」と言って物欲しそうにするので半分分けることにした。
丼に半分こしたところで、ガチャリと志保の部屋のドアが開く。
三等分になりそうだ。
あまり野菜を食べない赤井。
ハンバーグに混ぜる案が降谷から出たが、そんな子供みたいなことしたくない、と志保が反対する。
野菜を食べるごとにスタンプわ押して、貯まったら好きなものを奢るのはどうか、と志保。
ラジオ体操かよ、と降谷が突っ込む。
結局、食べるまで睨みつけようという結論になった。
志保に彼氏が出来たらしい、との情報を降谷がゲット。
赤井と二人で変装してデート現場へと乗り込む。
建物の影から覗いていると、やってきたのは世良真純だった。
そんなことだと思った、と二人は落胆半分安堵半分で帰って行った。
ハロの散歩に出かけた志保が帰ってこない。
心配になった赤井がGPSで居場所を確認する。
家のすぐ近くにいるようなので迎えに行くと、散歩から帰りたがらないハロの説得をしているところだった。
赤井が「帰るぞ」と言うとハロはさっさと歩き出す。
ムカつく!、と赤井は志保に蹴られた。理不尽だ。
洗面所で髪のセットをする赤井。
朝風呂派の降谷がバスルームから出てくる。
そこに寝起きの志保が顔を洗いにやってきた。
どうしていつも同じ時間に集まってしまうのか。
少しずつ時間をずらせばいいのに、と三人とも密かに思っている。
バスルームから鼻歌が聞こえる。志保だ。
降「…これ何の曲だっけ?」
赤「俺もさっきから考えているんだが」
降「ここまで出てきてるんだけど」
赤「なにかの主題歌だったか…」
志保が風呂から出てきたので何の曲か聞いたところ、知らない、と言われた。
悶々とする二人。
朝から並んで限定のお菓子を買ってきた志保。
早速食べようと封を切るが、美味しそうな菓子を前に赤井と降谷の顔が浮かぶ。
「みんなで食べるほうが美味しいわよね」と手をつけずに冷蔵庫に仕舞った。
なにかを分け合いたいと思える人がいるのは幸せだ。
イヤホンを使ってタブレット端末で動画を見ていた降谷。
不意に片方が取られた。志保が隣に来て一緒に動画を見始める。
そのままにしていると、反対側のイヤホンも取られた。
赤井だ。おまえら、それはおかしいだろ。
スピーカーにして三人で見た。
バドミントンしたい、と志保が言い出した。
早速マンションの近くの公園でやってみる。
志保は降谷や赤井の打つシャトルに追いつけなくて早々にリタイア。
降「風呂掃除をかけて勝負だ」
赤「いいだろう」
志保は帰り支度を始めた。
勝負がつかないことを知っているのだ。
プリンが食べたいと言い出した志保。
どうせなら作ろうと言い出した降谷。
バケツプリンがいいと提案する赤井。
降谷と赤井が美味しくて大きくて崩れないプリンのレシピを考え始める。
付き合っていたらいつ食べられるかわからない、と志保はコンビニにプリンを買いに行った。
ソファで寝転がっていた赤井の腹の上に乗るハロ。
そのまま気持ちよさそうに寝てしまった。
動けなくなった赤井が志保と降谷に助けを求める視線を送ってくる。
当然二人は笑っているだけだ。
志「秀一お兄ちゃん」
出た。志保のお兄ちゃん攻撃だ。
これをされると、赤井はなんでも言うことをきいてしまいたくなる。
兄貴気質なのだ。
志「零くん」
出た。志保の零くん攻撃だ。
降谷は初恋の人と同じ声で呼ばれる零くんに弱いのだ。
どんな難題にでも答える気分になる。
オンラインゲームに夢中の赤井。
夕飯なのに呼んでも来ない。
志「やるしかないわね」
降「なにを?」
志保は赤井の部屋のドアを少し開けて、その隙間からうちわで今日の夕飯の匂いを送り始めた。
ネイキッドチャレンジでも始めるのかと思った。
降谷はホッとした。
映画のペアチケットを貰った志保。
赤井も降谷も好きそうな映画だ。
どちらを誘おうかと考えるが、どっちを誘っても角が立つ。
「二人で行ってきなさいよ」とチケットを差し出した。
降谷が受け取り、赤井はスマートフォンを操作する。
志保の分の席を取ってくれたらしい。
降「三人のほうが楽しいよ」
マリトッツォを買ってきた志保。
実は食べてみたかった赤井と降谷は喜んで手に取る。
三人で一緒にかぶりつき、三人で一緒に生クリームをあふれさせてこぼした。
こぼれたクリームの掃除をしながら、マリトッツォはもういい、という結論に至る。
打ち上げ花火を見る三人。
志「ストロンチウム、バリウム、カルシウム…」
赤「志保。花火を炎色反応で呼ぶんじゃない」
降「昇曲付八重芯錦冠菊、昇曲付紫芯菊先青光露…」
赤「降谷くん。呪文か?」
もう少し静かに見たい赤井。
外を雪がチラついている。
志「雪が嬉しくなくなったの、いつからかしら」
赤「大人になったからじゃないか?」
志「学業や仕事への影響考えちゃうものね…」
開く玄関の音。
降「おい、雪降ってるぞ! ハロ、散歩行こう!」
ハロ「アン!」
志「あの人のああいうところ好きだわ」
赤「俺もだ」
駅にストリートピアノがあった。
赤井が寄って行って椅子に座る。
カッコいい曲を弾くと思いきや、速弾きで「ねこふんじゃった」。
周囲の足が止まる。
遠巻きに見る連れの二人。
降「エンターテイナーだなあ」
志「なんでFBIなんかやってるのかしらね」
赤「志保の味噌汁は明美のとは味が違うな」
志「お味噌が違うからかしら」
降「エレーナ先生が作ってたのとも違うよ」
志「そう言われても、お母さんの味はわからないから…」
赤「志保のは志保ので美味い」
降「うん、好きな味だ」
志「そう?」
満更でも無い志保。
リビングでライフルの手入れをする赤井。
志「オイル臭くなるから部屋でやってよ!」
降「志保さん、怒るところ違う。自宅に銃を持ち込んでるところから注意しようか」
降谷の忘れ物を届けに風見が家にやってきた。
赤「いつもうちのが迷惑をかけてすまんな。茶でも出すから上がって行ってくれ」
志「降谷さん、人使い荒いから大変でしょ? でも悪気はないのよ。あ、美味しいお茶菓子あるわよ、どうぞ」
降「おまえら、僕の嫁みたいな対応すんのやめろ」
ダイエットだと言って志保がリン●フィットを始めた。
設定モードでリングを曲げようとしたがちっとも曲がらない。
設定すらできない筋力とは…、と赤井と降谷が気の毒そうに見ている。
降谷がオムライスを作った。
ケチャップでなにか書いてやる、と言っている。
赤「魑魅魍魎」
志「臥薪嘗胆」
降「……」
二人の前にケチャップで『チャーハン』と書かれたオムライスが置かれた。
パンケーキを焼く志保。
いい匂いにつられて降谷と赤井が部屋から出てくる。
志「何枚?」
降「三枚」
赤「二枚」
自分のを入れて六枚か。多めに作っておいて正解だった。
赤井がカレーを作っている。
志保はまだ帰ってこない降谷にメッセージを送った。
志『本日の夕飯はカレーです』
降『帰宅中。今お肉屋さんでコロッケ安売りしてるけど、どうする?』
志『悪魔の囁きね』
今日はコロッケカレーになりそうだ。ガッツポーズ。
期間限定のスナック菓子を買ってきた赤井。
思っていたより美味しくない。
志保にパス。
志保、ひと口食べて降谷にパス。
降谷、ひと口食べて赤井にパスしようとするも受け取られず。ど
うにか美味しく食べる方法はないか、という会議が始まる。
砕いてカレーにかけると美味かった。
外出先で雨に降られた降谷。
傘は持ってきていないのでコンビニで買おうとしていると、近くでクラクションが鳴った。
目をやると、赤いマスタングに同居人二人が乗って手招きしている。
小走りで車に乗り込んだ。
降「いつの間に僕のスマホにGPSを仕掛けた?」
志「第一声がそれ!?」
志保が課題のレポートで疲れているようだ。
ハロの腹に顔を埋めて吸っている。
赤「志保、そろそろハロを解放してやれ」
志「あと5分…」
降「ハロ、逃げてもいいんだぞ」
ハロはじっと耐えている。
えらいぞ、と赤井と降谷は心の中でハロを讃えた。
志「降谷さん、赤井さんがソファで寝ちゃってる」
降「おい、赤井。起きろ。風邪ひくぞ。…ダメだな」
ため息を吐いて降谷は赤井の身体を抱えて部屋へ連れて行く。
志「あなた意外と力持ちね」
降「一応鍛えてるから」
赤「さすがだな」
寝たふりかよ!、とベッドに落とされた赤井。
志保「あら、もう0時。降谷さん遅いわね」
赤「残業だと言っていたからな」
志「あ、メッセージ…あと10分で家に着くそうよ」
赤「働き者を出迎えるか」
二人でベランダに出て降谷を待つ。
彼の姿が現れたところで大きく手を振ってみた。
降谷の疲れた足取りが、少し軽くなったように見えた。
ソファに座ってうとうとしている志保。
降「志保さん、アセトアルデヒドの化学式は?」
志「んー、CH3CHO…」
赤「ホォー、面白いな」
降「玉子の特売日は?」
志「木、曜日…」
赤「好きな男のタイプは?」
志「事件に…縁がない、人…」
男二人はさもありなんと頷き合った。
降「明日は資源ごみの日だ。いま出したら一緒にまとめてやる」
荷造り紐を片手に降谷が声をかける。
志保と赤井は各自の部屋から通販のダンボールを大量に持ち出してきた。
溜めすぎだ、と二人して怒られた。
降谷が帰ると家の中は暗かった。
二人とも寝てしまったようだ。
電気をつけると、ダイニングテーブルの上に『お疲れ様。遅くまで頑張ったご褒美です』と書かれた紙と、小袋に入ったチョコがふたつ。
子供かよ、とちょっと笑ってしまった。
ベランダで煙草を吸う赤井。
降「一本くれ」
赤「珍しいな」
降「たまにはな」
降谷に一本渡す。
志「私も」
降、赤「それはダメ」
志「冗談よ。でも仲間に入れてちょうだい」
志保が風上に立つ。
三人並んで星空を見上げてみた。平和だ。