五七ワンライ「夜明け」目を覚ますと、薄いカーテンを越して、朝のひかりが部屋中をやんわり包んでいた。
街は平日、だがここに寝そべる二人は各々、三日に渡る長期任務あけの休日である。今日一日はまるまる休みで、明日の午後からまたお互いに、教育指導と任務に向かう予定であって。産まれたままの姿で汗にまみれた、昨夜の深い時分に、目を覚ますのは昼近くで良いよねと、暗黙のうちに約束してあった。
だから五条は、目を覚ましたのがまだまだ朝と言える時間であるのに対し、となりの枕が空になっていることに気づくなり、瞬間で憤慨しかけた。
あの、上背の高さと筋肉の総量を活かす、重く鈍い近接打撃に特化した。体力には人一倍の定評のある七海が、指先ひとつ動かしたくないと嘆き。そうさせてしまった張本人である五条自ら、男の整えられた指の爪先から髪の一本に至るまでを、丁寧にタオルで拭きあげ、丹念に仕上げのキスを降らして磨き。真新しいシーツの上でそれぞれ寝入った際には、朝には確かに、隣にいてあげようと約束してくれていたのに。
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