ココロの相性そっと、指先で己の唇をなぞる。
何度もここで触れた、あの柔らかくて蕩けるような相澤の唇の感触を、思い出すように。
「――どうか、したかい?塚内君」
怪訝そうに何度もこちらを覗き込んでくるから、オールマイトは思わずそう呟いた。塚内はじっとオールマイトを見つめ、うん、と頷き。
「自分では気付いてないのか?」
「何?」
「こないだからずっと、唇をいじってるから」
なにか唇にできものでもできてんのかと思ってね、と言われてぱっと手を唇から離した。気付けば今も触れてた。
「なんでも、ない、さ」
「そうか?」
目を細め、含みのある笑い方をされてどきりとする。オールマイトがいま、やましい思いを抱えているのは事実だ。それを塚内に見透かされたような気がして、視線を逸らす。塚内がくすりと笑う声が聞こえた。
「オールマイトらしくない顔してるね」
「……そうかい?それは、駄目だね」
「駄目じゃないだろ」
人間らしくていいんじゃないか、と塚内が呟く声を聞いて、オールマイトは己の中の複雑な思いを当てられた気がして苦笑する。
相澤には、自分はオールマイトとしてだけじゃなくて。
『八木俊典』という、一人の人間して、見て欲しいと願っている自分が居て。
この感情の正体がわからないまま、相澤に触れるとまた暴走してしまいそうな気がして、あれから二週間ほど彼とキスするのを止めていた。相澤の態度はだからといって変わることなく、学校でも寮でも、同僚としての距離を保っている。まるであの、キスし続けていた一ヵ月が無かったかのように。
それを、勝手に寂しいと思っているのは自分で。
――相澤くんは、なんで私とキスしてくれていたんだろう
押し倒してしまったあの日。オールマイトがセックスしたければ受け入れるようなことも相澤は言っていた。それはいったいどういう感情から起因したものなのか。ただの快楽なのか。聞きたいけれど、でもなぜか聞くのが怖いような気がした。
何故か。
そう、それはとても簡単なことだ。
オールマイトは、相澤とするキスもセックスも、ただ快楽のためだけにしたくないからだ。
じゃあ、何のためにしたいのか。その理由は、すでに自分の中にあるはずなのに、オールマイトはこの、理解できずに持て余すばかりの感情を、上手く言葉にすることができないままでいた。
教師寮のドアを開ければ、笑い声が聞こえてきたのでオールマイトは、着ていた薄手のコートを脱ぎつつそちらに顔を向けた。
「あら、オールマイト」
おかえりなさい、とミッドナイトが共有スペースのソファから振り返って手を振る。長い髪を結いあげ、ゆったりした長袖のニットにロングスカートという出で立ちはいつもの大胆なヒーロースーツからしたら驚くほど清楚だが、その手に握られているのがテキーラの瓶というのが彼女らしい。すっかり出来上がっているようで、そのふっくらとした頬が赤く染まっていた。
「オールマイトもこっちで飲みましょうよォ、今、一人で飲んでて寂しくて」
寂しいなんて言葉のわりに、くふくふと楽しそうに手招きするが、しかし塚内との打ち合わせが伸びたせいもあり既に時間は夜の11時を回っている。さすがに、宵の口、という時間は過ぎてしまった。
「いや、私は今日は……珍しいね、今日はミッドナイトくん、一人なのかい?」
「ほんとは、一人じゃないんですけどォ」
くすくすと笑いながら、オールマイトからは死角になっている側のソファを指さす。首を傾げながら近づけば、はみ出している黒いズボンの脚と、更にそれに絡むデニムの脚が見えて、え、と思った。ぱっと三人掛けのソファを覗き込めば、折り重なるようにして抱き合って眠る相澤とマイクの姿。どうしてそうなったのかは分からないが、男二人にはぎゅうぎゅうのソファの上、互いの手を繋いで身体を寄せ合いながら寝ている。支えるように相澤の腰をマイクが緩く抱いてて。相澤も、マイクのほうに身体を向け、その首に腕枕するように手を回している。身長が同じくらいの二人の顔は、唇が触れそうなほど近かった。無防備に緩んだ顔で眠る二人は、恋人同士がそうするそれというよりはまるで遊び疲れた幼子のようであったけれど。
オールマイトは、がん、と頭を殴られたような気がした。同時に、己の身体にはもうないはずの、胃の腑がひっくり返るような、ぐらぐらする怒りに似た不快感が湧いてくる。そんなことも知らないミッドナイトは、可愛いですよね、と笑った。
「イレイザーったら、今日はやけに甘えん坊だったんですよ。オールマイトに見せたかったわぁ」
「――そうなのかい?」
「ええ、ずっとマイクに絡んで――キス魔じゃなかったと思うのに、何度もマイクにキスして、違うって文句言うもんだから、面倒くさくなってマイクが潰しちゃったんですよね」
そのままマイクも疲れて一緒に寝ちゃって、とけらけら笑うミッドナイトは、決して悪くない。分かってる。この怒りは酷く理不尽だということをオールマイトは頭では分かってはいた。だけど押さえられない。
血の気が引いて、頭の芯がジンと痺れた。手が震え、指先の感覚がなくなる。涼しい季節だというのに、スーツの背中が汗ばんできた。走り出してしまいそうな焦燥と、叫び出しそうな衝動。なんだ、これは。くらくらと眩暈がする。自分で処理できない感情が、こんなに暴走しそうな怒り、が身体の中を支配していく感覚は初めてだった。
「んあ?」
ぎし、とソファが鳴る。身震いするようにしてからマイクが目を覚ました。
「あ……あ、やべ、寝てた」
「おっはよー、マイク」
「姐さん……っと、ショータ、落ちんぞ」
ソファの上に戻すために、ぐ、と相澤の身体を引き寄せ抱きしめるマイクの姿に、頭の中がはじけ飛んでしまいそうな感覚。思わず足が動いていた。オールマイトはソファから落ちそうな相澤の背を抱きとめ、そのままひょいと抱え上げる。
「っと、オールマイト?」
今気付いたというように顔を跳ね上げたマイクに向かって、いつもと同じ顔が出来ていたかどうかは自信がない。せめて、怒りで歪んでいなければいいと思うばかり。
「私が部屋に運ぼう」
「へ?あ、オールマイト、そんな甘やかさなくてもだい」
じょうぶですよ、と続くはずだったろう言葉を、マイクは止めた。こく、と息を飲む音が聞こえたので、やはり自分は酷い顔をしているのだろう。
「おやすみ、ミッドナイトくん、マイクくん」
「おやすみなさァい、オールマイト」
背中に掛けられたミッドナイトの、どこか含みのある声を聴いていると。塚内からもそうだが、実は全部見透かされているのではないかという気がする。
オールマイトは階段を上がりながら、腕の中の、暖かな存在を見下ろした。さっきまでの煮えくり返りそうな感情は多少収まっていて、自分の手のうちに彼がいることに安堵する。いつもの険しさが抜けた表情は柔らかく、息をするたびに部屋着の胸元が上下していた。その暖かさに、なんだか涙が出そうだと思った。
相澤の部屋に届ける気など毛頭なく、自分の部屋に彼を連れこんだ。ベッドの上に下ろせば、身じろぎをするものの珍しくよっぽど熟睡しているようで、手近にあった毛布を掴んでまた寝息を立て始める。オールマイトはその身体の上に薄い布団を掛け、フ、とため息を吐いた。
部屋に備え付けのシャワーを浴びて、寝よう。沸騰したばかりの頭が、先ほどより冷めたけれど名残のようにツキリと傷んだ。腹の奥もまだ、逃がせない熱が暴れているようで、落ち着かない。
スーツの上着を脱いでクローゼットに仕舞いながら、相澤の寝顔を見つめる。マイクにキスしていたというミッドナイトの言葉が蘇って、やはりどこか分からない場所が痛んだ。足音を忍ばせてベッドの脇に座り、相澤の柔らかな髪を指先で梳くように撫でる。ぼうっとしながらそうしていれば、少しは心が落ち着く気がして。
「駄目じゃないか、相澤くん」
勝手に言葉が零れる。
「他の誰かと、キス、したら駄目だよ」
どく、と心臓が跳ねた。ドキドキと鼓動が早くなっていく。今、己の唇から無意識に零れ落ちた言葉の意味を考えた。
今、私はなんて言った?
「おーる、まいとさん」
聞こえた声に、ハッとして視線を落とせば、うっすら目を開けた相澤が自分を見上げていた。
「相澤くん、まだ夜だから寝てていいよ」
「オールマイトさん」
先程よりも幾分はっきりした声で呼んで、幼子が抱っこを強請るように手を伸ばしてきた。抗うこともできず、吸い寄せられるように身体を寄せれば、相澤の両手がそっと、頬を挟む。
「もう、キス、しなくていいんですか?」
キス、と言う言葉に、チクリと胸が痛んだ。君は、誰とでもキスするくせに。そんな意地悪を言いたくなる。けれど僅かに首を傾げてそう呟く相澤の表情は、呂律の怪しい言葉遣いのせいか迷子のように不安そうに見えたので、オールマイトは相澤の手の上から己の手を重ね、分かるようにゆるりと首を横に振った。
「――したいよ」
「キス?」
「もちろんさ……でも、君とだから、だからね。他の人とはしたくはないよ」
相澤は少し考えるように眉を寄せた。視線が揺れてるのは、酔っ払いだからか、それとも。
「あの」
「うん」
「俺とするの、気持ち、良いからですか?」
「相澤くんは気持ちいい?」
こく、と相澤は素直に頷く。きゅんとオールマイトの胸が跳ねた。
「私も、気持ちが良いよ……でも、それだけじゃないぜ?」
顔を近付ければ、相澤は逃げることもなくオールマイトを見上げたまま。その黒い瞳がぼやけてしまうほど顔を寄せて至近距離で見つめあい、掠めるように唇を触れ合わせれば久しぶりの感覚で唇の先がジンと淡く痺れた。貪りたくなる衝動を押さえつつ、はあ、と息を吐いたら、ふにゃりと相澤の表情が崩れる。
「よかった、いつものですね」
「ん?」
「オールマイトさんと今日、何回もキスしたのに、なんか違ってたんですよ……でも今のは、ちゃんといつもの、オールマイトさんだ」
すげ、気持ちいいです、もっとしてください。
蕩ける声で強請るように言われて、手を振り払えるわけもなかった。さっきの言葉を処理しきれないまま、アルコールが香るかさついた唇に己のそれを押し当て、すぐに舌を差し入れた。すっぽりと相澤の唇を覆うように唇を重ねて、唇も口内の暖かな粘膜もすべて味わうように舌を這わせた。んふ、と満足げな吐息が相澤の鼻から零れて、頭が真っ白になりそうで。
――何回もキスした相手は、マイクだって
――君、もしかして私と間違えたの?
甘えん坊だったと、ミッドナイトが言っていた。相澤は酔えば飲み屋のだるまや狸に、誰かと間違えて話しかけている時がある。マイクと、オールマイトを間違えていたとしたら。
か、と頬が熱くなる。どきどきどきと鼓動が早くなって、身体の奥がどうしようもなく熱を持った。キスしている時の気持ち良さだけではなく、頭の中がびりびりと、感電したように痺れる。胸の内から何か、何かが溢れてきて。
ああ、どうしようもなく。私は今、相澤くんを愛おしいと思っている。
ふは、と唇を離す。てらてらと唾液で濡れる相澤の唇は周りもべとべとで。けれどそれを拭うこともせず、とろりと蕩けた顔で相澤はオールマイトを見上げていた。頬に触れ、親指で唾液を拭えば、相澤はむずがるように唇を尖らせる。
「相澤くん」
「あなたは、ずるいです」
その自覚はあるのでオールマイトは唇をゆがめ、苦笑する。
「そうだね」
「こんな、勝手に俺にキスするくせに」
「すまない」
謝らんでください、と相澤は首を振る。
「嫌なわけじゃないんで」
「それならよかった」
ちゅ、と戯れのようにキスすれば、相澤の眉間にまたもや皺が寄る。
「でも、もう駄目です」
「駄目なのかい?」
「駄目です……」
相澤は顔を背け、いやいやをするように首を揺らした。
「理由を聞いても?」
無言。顔を背けたせいで良く見える、まろい曲線を描く耳の形をオールマイトは視線でなぞる。嫌じゃないというくせに、もう駄目だと言う。その理由はよく分からないが、でも、もうしないという選択肢はオールマイトの中になかった。
他の人とキスして欲しくない、自分だけにして欲しい。キスだけじゃない、すべてだ。指先一つ、他の誰かに触れて欲しくない。ひどい独占欲だと呆れ果てるが、自覚した愛おしさの答えが見えてやっと腑に落ちる。
ああ、恋ってやつは、こんなにもままならないのか。
もっとふわふわと柔らかく、優しい感情だと思っていたのに。自覚した途端に溢れるのはただ、相澤を捉えて逃がしたくない、誰にも渡したくないという醜い欲だ。
背けた顎を掴み、上を向かせる。ぎょっとした顔の相澤と視線を合わせ、オールマイトは困ったように眉を下げ微笑んだ。
「駄目なんて言わないで、相澤くん。私がもう、君無しでは駄目になってしまった」
え、と見開かれた目を見つめたまま、いったい何度目になるのか分からない口付けを落とす。触れ合わせ、舐めればおずおずと唇が開いたのでそこから舌を滑り込ませた。相澤の舌が、遠慮がちにオールマイトの舌先を突いて、そのいじらしさと愛おしさで、目の前にチカチカと星が飛んだ。拒否されなかったのをいいことに、オールマイトは相澤の身体をかき抱くとベッドに押し付けるように覆いかぶさり、唇を貪った。舌先で蹂躙するたびに、びく、びくと腕の中で相澤が震える。ちゅるりと唾液を吸い上げながら唇を離せば、互いの息がはしたないくらいに上がっていた。
「オールマイトさん、っ、あんた、どういう」
「はっきり言わないと分からないかい?」
ぱっと相澤の頬に更に朱が散る。伝わっているのだろう、でも、きっと信じきれないでいるのだ。この自己肯定感が低くて警戒心の強い彼は。
「好きだよ、相澤くん、私は君のことが好きだ」
びく、と腕の中の身体が強張った。愕然とした表情は、嬉しいというより絶望に近い。
「え、嫌かい?」
さっきまでは、きっと相澤も自分のことが好きだろうと疑いもなく思っていたが、まさかの勘違いだったのか。焦ってそう聞けば、相澤はぱちぱちと瞬きをして。フハ、と吹き出すように笑った。そりゃあもう、破壊力満点の顔で。血を吐かなかったのを褒めて欲しい。ときめいてしまった胸が、苦しい。
ううう、と唸ればそれをどう取ったのか、相澤は大丈夫ですか?とオールマイトの背を撫でた。
「君は私のこと……好きじゃないのかい?」
オールマイトが絞り出すような声で呟けば、相澤はぽんぽんと背を叩く。
「オールマイトともあろう人が、そんな情けない声出さんでください」
「相澤くん、だって、っ」
相澤は困ったような顔で、けれど微かに笑うと。自分から顔を寄せ、そっと、オールマイトの唇に自分のそれを触れ合わせた。びく、とオールマイトの肩が跳ねる。
「嫌いだったり、嫌だったりしたらこんなことしません」
「なら、す、好き?」
「――それ以上は勘弁してください」
ふいと顔を逸らされる。そのはずみでオールマイトの眼下に晒された耳と首筋は、分かりやすいほど真っ赤に染まっていた。それがひどく美味そうに見えて、オールマイトは浮いた筋肉の線に口付ける。ひく、と腕の中で相澤が震えた。
「あ、っ」
「相澤くん」
そうだ、前回こうして、欲のままに彼を貪りたくなった。触れれば触れるほどに、どこまでも気持ちがいい彼の、全身だけでなく暴かれていないだろう身体の奥もすべてに触れたいと。
けれど、それはまだ駄目だ。
理性を総動員してがばと身体を起こせば、相澤が溺れたような顔で、どこか物足りなげな不満そうな顔で甘く睨んでくるので、オールマイトは思わず口の中で「シット!」と呟く。ここではだめだと、言ったのは君だろうに。
「オールマイト、さん」
「うん」
「俺と――どうしたいですか?」
「見くびらないで欲しいぜ」
相澤に当てないようにと、逸らしていた股間の熱をぐりと相澤の太ももに擦り付けてれば、びくびくと彼の身体が震えた。驚いた顔をしている相澤を見下ろし、オールマイトは肩をすくめてみせる。
「前回、キスしたとき。君の意思を確認もせず、傷つけるようなことをしそうになったろう?」
「――べつに、傷付くようなことはありませんでしたけど」
「うん、でも、あれは本当にすまなかったと思ってるんだ。ねえ、相澤くん。私はね、君とただセックスしたいわけでも、セフレになりたいわけでもないんだ――恋人として、君を抱きたいと思っている。いいかい?」
ふ、と相澤が小さく呆れたような息を吐く。
「物好きですね」
「そんなことないさ……君は魅力的だ」
「最初にしたキスは事故なんでしょう?それが気持ち良かったからって、今もそれに流されてるだけなんじゃないですか?」
辛らつな言葉に更に笑みが苦くなる。
事故。ああ、確かに半分は事故みたいなものであったし彼にもそう言い訳してしまった。けれど今思い出せば、自分はあの時からマイクに嫉妬――そうだ、今日感じた感情もすべて嫉妬じゃないか!――していたし、相澤にキスしたい触れたいと思っていた。今となればすべて、起因するところは同じだったのだ。
相澤のことが、好きだと、独占したいという、それだけの。
オールマイトは相澤に半分覆いかぶさったまま、こつ、と額を合わせる。激しい情動が落ち着いてくると、暖かな相澤の体温はどこまでも心地よく、そして愛しいと感じる。何を言われようがもう、自分は彼を離すことなんかできやしない。
「最初のキスに関しては、私の認識が甘かったと思う――気付くのが遅くなってしまったが、私はきっと、最初にキスする前から、君のことが好きだったよ」
気持ち良かったのはギフトみたいなものさ、と笑えば、相澤はやっぱり呆れたようにため息を吐く。
「もういいです……あんた、好き好き言い過ぎです」
「好きなんだもの、たくさん言いたい」
「俺はキスだけでいいです」
「うん、ここじゃそれ以上のことはできないしね、いっぱいキスしよう」
抱きしめて、口付ける。
触れたところが気持ちがいいのは変わらないが、好きな人が自分のことを好きなのだと認識した後の、恋人同士のキスは。こんなにも心まで蕩けていくような気分になるのだと、知った。
翌朝。
オールマイトのベッドから起き出して来た相澤に、部屋の簡易キッチンで朝食を作りながら「昨日のこと覚えてるかい?」と聞いてみた。
そっけなく、忘れました、と答えたくせにその耳がひどく赤かったので、ホッとした気分でオールマイトは。
キスしすぎて今朝も腫れぼったくなってしまったその唇に、心が蕩けるようなキスを、ひとつ。