全寮制箱庭学パロいおそう「世界をリードする人材を育てる学院と聞いてきましたが、幼稚な人達ばかりですね」
紛うことなき本音だけれど、1人で呟いているから負け惜しみのような言葉になってしまった。
雨上がりの花壇に投げ込まれたジャケットは見るも無惨な姿だ。泥がこびり付き、洗ったら落ちるだろうけれど明日の授業までには乾かないだろう。
新しいものを購買で買うこともできるけれど、一般の学生が買える値段ではない。両親に振り込んでもらうにも気が引ける金額だ。
「どうしたものですかね」
「どうしたの?」
ジャケットを拾い上げて思案していると、背後から声をかけられた。
「……逢坂先輩」
「僕のこと知ってるんだ。1年生だよね」
白い髪、紫の瞳、この学校で彼のことを知らない人などいないだろう。
1398