ミタロイ生存ifだよやったね宇宙歴四九九年、帝国暦五九〇年。ロイエンタールは、戦場において己の運命を決したはずであった。内乱の炎に身を投じ、帝国の秩序を揺るがす反逆者として、その最期を迎えることは避け難いと覚悟していた。だが、致命の刃を受けたその瞬間、彼の意識は深淵へと落ちていくはずでありながら、なおも細い糸のように命脈をつなぎ留められていた。
昏い天幕の下、彼が再び眼を開けたとき、そこは戦場の冷たい大地ではなく、軍病院の静寂であった。胸の奥には焼けつくような痛みが残り、右の脇腹から背にかけて重い包帯が巻かれている。そのことが何を意味するか、ロイエンタールは直ちに理解した。己は、死すべき場所で生かされたのだ、と。
彼の矜持は烈火の如く燃え、己を苛んだ。敗北の果てに生を受けることは、誇り高き軍人の在り方を辱めるものに他ならぬ。なぜ死を許されなかったのか。なぜ、この身はまだ温もりを帯びているのか。彼は唇を噛み、吐き出すように呻いた。
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