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    amaneazumaa

    @amaneazumaa
    使い方の練習も兼ねて書き散らかしています。
    魔道祖師はアニメ、陳情令視聴。翻訳版原作読了。ラジドラ未履修。江澄の生き様にもんどりうってる。

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    amaneazumaa

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    ちょっと出来たので上げ。まだ起なのと子ども双傑をわちゃわちゃさせてるのが楽しいのとで話は進まない。しかしこれは子ども双傑の話なのでヨシ。
    江おじさんも出てきますが、口調がいまいち分からないのでブレてる気がしてならない。
    話題に出てくる少年神は哪吒。

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #魏無羨
    WeiWuXian
    #江澄
    lakeshore

    ともしびを手に 2ならば早速ということで、昼餉で同じ卓についた江楓眠に江厭離が願い出ると、彼は鷹揚に頷いて宝物庫に入る許可を三人に与えた。
    こうもすんなりと許可が与えられたのは、今日は朝からの用事があり、虞紫鳶が不在であった事がもっともの幸運だろう。
    急ぎの仕事は無いからと江楓眠自身も三人に付き合い、四人は揃って宝物庫へと向かう。
    江厭離が告げたとおり、外廷と内廷の境には宝物庫が一つあった。
    法器を収める重要な倉なのになぜこんな場所にと魏無羨が問うと、怪異には法器が関わっていることが少なからずあり、この宝物庫はそうして押収した法器の中で、危険度が低い品の保管庫も兼ねていると江楓眠は応えた。
    「最近は法器や呪符に随分と熱心だと聞いているから、ここの中の品なら持ち出してやれる物があるよ」
    「ほんと、江おじさん!」
    参考にしなさいと告げる言葉に魏無羨は飛び上がらんばかりに喜ぶと、隣を歩いていた江澄の腕を掴み宝物庫へ向かって駆け出した。
    「魏無羨!」
    文句を上げる江澄を引っ張りながら宝物庫の前に立つ番卒の元へとたどり着くと、目の前に建つ宝物庫を見上げる。周囲から切り離された高床式の造りをしており、他と同じく木造の建物だが窓はなく、屋根から床下までまるごと結界が張られている。
    番卒の後ろには階段があるがその先は扉でなく、蓮の意匠が施された壁があるだけだ。
    まるで箱のような建物だったのでどうやって開けるのかと訊ねれば、江澄に拱手をした番卒に宗主が到着するまで待てと苦笑される。ややあって宝物庫の前へとたどり着いた江楓眠と江厭離に番卒は拱手をすると階段の前から一歩離れた。
    四人が階段を上ると、先頭に立っていた江楓眠は右手を蓮の意匠にかざす。そして霊力を注げば壁に波紋が生まれ、水面のように揺れながら江楓眠の右手を中へと迎え入れた。
    呪術による仕掛け扉だと魏無羨は瞳を輝かせる。
    「ついておいで」
    その言葉に喜び勇んで後ろをついて歩けば、壁に近づくほど蓮の意匠の壁が薄れていき、中の様子が見えてくるのが分かった。好奇心のまま大きな目を一杯に開きながら紗幕のようになった壁を潜る。
    潜った瞬間、波紋が揺れているので、もしかすると水面に潜るような感覚があるかと思ったのだが、顔に触れるのは湿気を含んだ、すっかり馴染みとなった蓮花塢の空気に変わりない。
    試剣堂ほどの大きさがある建物は、外から見たときは窓など無かったのに正面に大きな丸窓が存在していた。窓からは外の景色が見て取れ、空気も循環している。
    「凄いや、これが宝物庫か!」
    真四角に近い部屋は入り口から窓までを広い通路とし、左右には背の高い棚がずらりと並んで、入り口に近いほど法器で埋まっている。魏無羨は好奇心の赴くまま、棚へと駆け出した。
    一番に目に付いたのは窓の近くにあった武具の類いだ。剣に刀に矛、鞭に槍に弓、それらがずらりと並んでいる。どれも呪符や布封をされている武具を、魏無羨は端から順に江楓眠に訊ねていく。
    「蓮の花だ」
    すぐ隣から江澄の声が上がる。そこで初めて江澄の腕を掴んだままであった事に気付いたが、江澄自身も室内の様子に意識を奪われていたので、腕を掴まれていたことを忘れている。視線を追うと江澄は棚の一番上を見上げていた。
    棚の一番上で飾られるように置かれているのは二圏一対の風火輪であった。
    風火輪とは直径が一尺ほどの金属製の輪であり殴打や、外側に刃が付いているものは投擲することが出来る武器である。
    見上げる先にある風火輪は外側に付いた刃が、蓮の花を思わせる形をしていた。
    「これは失ってしまった肉体を釈迦如来が蓮の花で作り、蘇らせてもらったという逸話を持つ少年神が居てね。その少年神が風火輪を使っていたんだ」
    後ろから近寄ってきた江楓眠は告げると、腕を伸ばして棚から風火輪を取り、二人へと手渡す。江澄の腕をようやく放して受け取った魏無羨は、江澄と共に好奇心に満ちながら風火輪を検分するが、直ぐに怪訝な表情へと変わった。
    これは、どうみても。
    「これが、神サマが使ってた……武器?」
    「神気の欠片もない……どころか」
    武器としての程度が低いと、同時に二人は口にする。
    装飾こそは美しい蓮の意匠だが、殴打とするには頑丈さが足りず、投擲とするには軽さが足りない。そして何より霊力の宿る武器に感じる一種の、凄みと言い表すべき気配が全くもって感じ取れなかった。
    「本物だったら間違いなく一番の宝物庫に入っていただろうね」
    「偽物かよ」
    なんだと口を尖らせて手にした風火輪を指で回す。刃を付ける位置が悪いのかどうにも回りが悪かった。とことん見かけ倒しの武器だ。
    華は要らないとは言わないがやはり実がなければ意味は無いと、棚に風火輪を戻した魏無羨は別の法器を漁りに向かう。
    鏢の改良に使えそうな品は何か無いかと探していると、棚と棚の隙間に木箱が落ちているのを見つけた。
    好奇心のまま箱を閉じる紐を使って引っ張り出そうとしたが、何かの偶然で押し込まれたのか、木箱は棚の間に挟まったまま動かない。
    「あ、なんだコイツ。生意気だな」
    「一体なにと戦っているんだお前は」
    床に膝を付き、棚の間に腕を伸ばす魏無羨に江澄が訊ねかけた。
    「この木箱が俺を嫌っているんだよ」
    「分解される運命が待っているんだ、どんな法器だってお前を嫌がるさ」
    「宝物庫でくすぶってるよりよっぽど名誉なことじゃないか」
    口を挟みながらも手を伸ばした江澄は動かそうと棚に手を掛けるが、法器が摘まれた棚は重く、金丹があっても動かすことは叶わなかった。
    「棚の法器を全部取り出すか?」
    「いや、それよりも箱を壊した方が早い」
    「壊して良いのかよ」
    「箱そのものに封印が施されている様子はないぞ」
    桐で出来た木箱は、棚に挟まれた所為で少しばかり潰れてしまっている。木が割れてささくれ立っているだけで何かを感じる事はなかった。
    風火輪と同じく大したものでは無いかもしれないが、中身を確認しないまま諦めるのは魏無羨の性に合わなかった。江厭離と会話をしていた江楓眠に箱を壊しても良いと許可を貰うと、割れた木の合間に指を入れて箱を壊していく。
    ややあって木箱を木片の山と変わり果てさせると、魏無羨はその中から小さな木箱を取り出した。文箱だ。
    素材こそは木だが先ほどと異なり、手を掛けて仕上げられた手触りの上、箱には九蓮弁の彫り物まであった。
    「江おじさん」
    一目見て良い品であると気が付いて魏無羨は江楓眠の名を呼ぶと、彼の元まで小走りで近づき、木箱の中から出てきたと告げて文箱を差し出した。
    「――これは、なぜ」
    文箱を目にするや、何を見つけたのかと微笑んでいた江楓眠の表情が変わった。
    「父上はこの文箱をご存じなんですか?」
    「私の文箱だ……随分前に、見当たらなくなったと思っていたが」
    蓮花塢において九蓮弁の家紋が入った品は多いが、執務向けとは思えない小さな文箱となればなるほど持ち主は限られる。しかし失せ物が見つかったという割りには、江楓眠の表情は強い困惑があった。その表情を湛えたまま江楓眠は文箱を受け取ると蓋を開ける。
    中には、手紙が一通だけ入っていた。
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