次回はハートマーク滝川は実のところ、甲斐甲斐しく世話を焼かれるのがあまり好きではない。けれどなぜだか、世話を焼きたい、尽くしたいという女性からよくモテた。
あなたのためにと愛を理由に差し出される奉仕は、一見無償のようでいて対価としてより大きな愛を求められる。滝川は己をある程度自分勝手でマイペースな人間だと評価していたし、それはあながち間違いでもなかったので、求められる愛を求められた時に求められた以上の分を差し出すことができなかった。そう、求められた分だけを差し出すのでは元恋人たちは満足しなかった。『このくらい返ってくるはず』と彼女たちが勝手に見積もった量よりもっと多く返すことができない期間が続くと、そのうちに『本当は私のこと好きじゃないんでしょう?』と泣かれてしまうのである。
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