モーニングコーヒーを君とごり、ごり、ごり。
ハンドルを回すたびに、鼻孔をくすぐる香りが強くなる。
暁人は引き出しを開け、こんもりと小山になった茶色の粉に頬を緩めた。そのままフィルターの中へ移す。さらさらの粉はよどみなく流れ落ちた。
濃いめのボタンを押して、こぽこぽ落ちていく滴を眺める。もう少し時間がかかるな。その間にフライパンを取り出し、ハムエッグとチーズオムレツをこしらえた。手早く切ったきゅうりやトマトを並べている間に、のそのそと足音が響く。
「はよ~、暁人」
「おはよう、KK」
ふあ、とあくびをしながら重たげに椅子に身体を収めたKKは、まだほとんど開いていない目で卓上をまさぐった。暁人はふふっと声をもらし、彼の手より十センチほど先にある新聞をその手に握らせる。
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