湯けむり温泉、恋慕の情「あ、見えてきた!あの旅館だね」
「おー、立派なモンだなぁ」
暁人とKKは、某県某市のとある旅館へと足を運んでいた。駐車場から少し歩くと、趣のある旅館が立派に構えている。古くからある旅館だが、ネットのクチコミでも評価が高いようだ。
「貰った宿泊券じゃないと、こんな立派な場所なんか来れなかったね」
「オマエの強運も、大したものだよ」
――そもそも、この旅館に泊まることができたのは暁人のおかげだった。たまたま貰った一枚の福引の抽選券で、なんと特賞が当たったものだから暁人は嬉しさよりも驚きの方が増してしばらくぽかんとしていた。同行していたKKが、たまには兄妹で旅行でもしてきたらどうだ、と提案したのもあって帰宅後すぐに麻里に話す。が
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