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    浬-かいり-

    @Kairi_HLSY

    ガルパ⇒ハロハピの愛され末っ子な奥沢が好き。奥沢右固定。主食はかおみさ。
    プロセカ⇒今のところみずえなだけの予定。

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    かおみさ

    #ガルパ
    galpa
    #かおみさ
    loftyPeak

    ⇒写真をアルバムに追加「あ、美咲ちゃん発見!ちょっとこっち来て!」


     バンド練習の為CiRCLEへ来ると、ラウンジに居た上原さんに手招きされて名前を呼ばれた。早く着きすぎちゃって別に急いでる訳じゃないし、挨拶もそこそこに近付く。上原さんの方も、周りに他のAfterglowのメンバーは居ないみたいだった。


    「なに? どうしたの?」

    「ふっふっふっ、これ見て見てー!」

    「ん?」

     じゃーん、と効果音付きでスマホの画面を見せられる。
     興奮気味の上原さんに乗せられるまま画面を見れば、映っていたのは恐らく羽丘の中に貼ってあるのだろう演劇部のポスター。公演の日時が大々的に記されているそのポスターは、日時と同じくらい薫さんの写真がデカデカと載っている。衣装を着た薫さんの写真。それはいつもの演劇部のポスターとなんら変わらないのだけど、いつもと決定的に違う部分がある。
     眼鏡だ。薫さんが眼鏡を掛けている。


    「……これ、」

    「カッコいいよね〜!! 次の公演の衣装なんだって! もうカッコ良すぎて思わず写真に撮っちゃった!!」

    「……そうなんだ」

    「こんなにカッコいいのに、巴や蘭に見せても大したリアクションしてくれないし。花女の人なら知らないから、見せがいがあるなぁって!」

    「いや、それでなんであたし……?」


     もっと他に適任がいるんじゃないか? りみとか。いやりみだったら既に画像送り合ってるかもしれないけど。
     まあ多分良い具合のタイミングであたしが通りかかったってのもあるんだろうな。


    「え? だって美咲ちゃんもカッコいいって思ってるでしょ?」

    「えっ、」


     えっ? さも当然のように言う上原さんに、思わず間抜けな声が出た。
     ……うん、確かにカッコいいかもしれないけど。フレームの無い眼鏡は金色のつると相まって大人っぽいデザインで、薫さんの顔立ちにマッチしている。フォーマルな衣装も似合ってて、雰囲気ばっちりだ。
     まあ、その。似合ってない筈がないワケで。うん、カッコいいです、すごく。


    「まあ、」

    「やっぱりそうだよね!? いやー、美咲ちゃんに見せて正解だったな!」

    「……あたし、そんなに良いリアクションしてなくない?」

    「え? だって、顔赤いよ?」


     ぼすんっっ。勢いよくソファに倒れ込んで顔を埋めた。上原さんの指摘は尤もで、画像を見てから顔の熱が治まらない。指摘されるくらいってどんだけなんだ、あたし。やばい恥ずかしい。余計に顔が熱い。
     一人ダメージを受けて悶えているあたしの丸まった背中を、上原さんが叩く。


    「分かるよ〜! この薫先輩すっごくカッコいいもんね! 私も思わず赤くなっちゃったよ〜!」


     ……良かった。上原さんが特に何かを察することはなかったみたいだ。顔の火照りが治まるのを待ってから起き上がると、上原さんが距離を詰めてくる。内緒話をするように、耳元へぼそりと囁きかけられた。


    「……これ、いる?」


     まるで、いけない取り引きをしているみたいに。いやいやそんな、薫さんの顔なんかいつでも見れるわけで。それがただ眼鏡を掛けているだけだからって、そんな。


    「……ええと、じゃあ、」


     ……貰っとこうかな。
     いやほら、折角の好意だしね? 無碍に断るのも申し訳ないっていうか、なんていうか。
     嬉々としてスマホを操作する上原さんに倣って、あたしもスマホを取り出して———、


    「やあ。楽しそうだね、子猫ちゃんたち」

    「ウワァァァァァァァァーーーーーーーッッッッ!!!!!???!!??」


     背後から突然聞こえてきた声に驚いたあたしは、ホラー映画顔負けの絶叫を上げながらスマホを鞄の中にぶん投げた。鞄の中の何かにスマホが衝突して、ごつんと鈍い音を立てる。


    「いえ特に何も!! お疲れ様で……、」


     あたしの奇行に二人が何かを言い出す前に、勢いよく振り返りながら下手過ぎる誤魔化しを叫ぶ。———けれど、その勢いは尻すぼみになっていってしまった。だって、


    「薫先輩、それ……!」

    「ああ、これかい?」


     薫さんは眼鏡を掛けていた。今さっき上原さんに見せてもらった画像と同じものだ。間違いない。そういえば途中でスマホ投げちゃったけどちゃんと送ってくれたかな。いや待ってこれじゃあたしが凄い薫さんの画像欲しい人みたいじゃん。違うってば。


    「羽丘の子猫ちゃん達から、眼鏡が好評でね。眼鏡を掛けた私の儚い姿を、ライブでもっとたくさんの子猫ちゃん達に見てもらいたいと思ったんだよ」


     つるに指を添えて、眼鏡を掛け直す。そんな些細な仕草すら様になっているの、本当にずるいと思う。


    「どうだい、美咲? 眼鏡の私は美しくて儚いだろう?」

    「あー……はいはい、そうですね……」


     なんで好きになっちゃったかなぁ、こんな人のこと。ドヤ顔で迫ってくるのが腹立つのに、顔が良くて似合ってるのは事実だから顔が熱くなってしまう自分が悔しくて。


    「で、美咲はひまりちゃんと何を話していたんだい?」

    「なななななんでもないですよ!? ただの世間話です!!!」


     ぶんぶんと首を振って、先にスタジオ行くんで!! と叫んでから鞄を引っ掴み、上原さんに手を振った。ダッシュで予約していたスタジオへ入り、ドアを勢いよく閉めたのなら、スマホを開く。
     無事に上原さんから送られてきた薫さんの画像を表示させて、指で写真の中の眼鏡をなぞる。


    「保存……っと、」


     しかし眼鏡を掛けてライブかぁ。いいとは思うけど、薫さんギター弾きながらすごい動くし、ライブ中に眼鏡がずり落ちないかだけ心配です。
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