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    浬-かいり-

    @Kairi_HLSY

    ガルパ⇒ハロハピの愛され末っ子な奥沢が好き。奥沢右固定。主食はかおみさ。
    プロセカ⇒今のところみずえなだけの予定。

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    かおみさ

    #ガルパ
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    #かおみさ
    loftyPeak

    温泉旅行に行くはなし「薫さんって、何着ても様になるよね」


     旅館の廊下をタオル抱えて二人で並んで歩きながら、薫さんを見上げた。旅館のメインである温泉へと向かうあたしたちは、今は備え付けの浴衣を着ている。派手な模様がある訳でもない、単色のシンプルな浴衣だ。それでも似合ってしまっているのは、流石というかなんというか。この人ほんとになんでも似合うな。


    「ふふ、やはり私は何を着ても似合ってしまうからね……。美咲もよく似合っているよ」


     お揃いの浴衣なんて、なんて儚いのだろう。部屋でこれを着た時に、薫さんがそんなようなことを言っていた。旅館の備え付けである以上、他の宿泊客も当然同じものを着ている訳なんだけど、薫さん的には嬉しいらしい。というか、旅館に着いてからめちゃくちゃテンションが上がっている。はしゃいでるとも言うのかな。
     まあ、二人ともずっと仕事で忙しくて、こうしてゆっくり羽を伸ばせる機会なんて無かったから無理もない。あたしも、久し振りに薫さんと一緒にお出掛けできるのは嬉しいから。


    「浴衣を着ると綺麗な黒髪が映えるね。ああ美咲、なんて可愛らしいのだろう……!」

    「あー、もう、他の人も居るんで、大声出さないでください離れてくださーい」


     大袈裟に褒めながらちゃっかり腰に手を回してくるので、出来るだけ平静を装いながら引き剥がそうと試みる。いや全然離れてくれない何これ。力強くない?


    「ここは卓球もできるみたいだね。後でやるかい?」


     手は離さないまま、薫さんがなんでもないように話を振ってくる。全然離してくれないので、あたしは諦めて両手でタオルを抱え直した。


    「いいね。ご飯前に軽く運動するのも。また汗かいちゃいそうだけど」

    「そしたらまた温泉に入ればいいさ。そういえば、貸切風呂というものもあるそうだよ。二人きりでゆっくり入り親睦を深め合うのも、実に儚いじゃないか」


     あ、入りたいのね、貸切風呂。そういえば旅館のことを調べてる時にそんなこと書いてあったな。……あ、でも、そういえば。


    「それ予約必要らしいですよ。今回はもう無理ですね」


     どうやら貸し切るには事前予約が必要らしい。今は連休で宿泊客も多いし、きっと埋まってしまっているだろう。
     そう告げれば、薫さんは分かりやすくしょんぼりと肩を落とした。入りたかったのか。……仕方ないなぁ。


    「……また、今度ね」


     次もまた行きたいな、なんて。そんな気の早過ぎる誘い文句のつもりだったけど、恥ずかしくて顔は見れなかったから全然カッコはついてなくて。
     どうしよ、薫さん今どんな顔してるのかな。心配になると同時に、腰に回っていた手がぐっと引き寄せるように力が強まり、あたしは自然と薫さんに寄り掛かる体勢になる。
     今は周りには誰も居ないけど、流石に他の宿泊客といつ遭遇するか分からないから離れないと。そう思うのに、温泉に入ったみたいに逆上せた顔は、今は薫さんには見せられそうにない。




    ——————————————
    #イラストを投げたら文字書きが引用RTでSSを勝手に添える

    https://twitter.com/koshianko323/status/1296793930973863936s=21

    こしあんこ様より、イラストお借りさせて頂きました。有難う御座いました!
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