社畜反社とイヌピーぬい 別れた幼馴染がアイドルになっていた。そりゃあ、顔はいいと思っていた。だけど愛想も悪くて愛嬌もなくて、芸能界に微塵も興味がなかった幼馴染が、まさかアイドルになるなんて。はじめて画面で見たときは椅子から転げ落ちたほどだった。あの時ほどひとり暮らしをしていてよかったと思った日はない。
一方のオレは反社の社畜だった。朝から晩まで働いて、金を稼ぐ。趣味はない。金は有り余っているが、服と飯に使うくらいがせいぜいだ。反社なので稀に抗争があるが、そういうことはそういう面子で片付けてくれるので、オレの生活は扱っている金額こそでかいが、社畜サラリーマンと同じようなものだ。
イヌピーがアイドルになったことはある時期から知っていたが、あえて見ていなかった。別れた手前、意地になっていたのかもしれない。
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