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    somakusanao

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    somakusanao

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    ココのすきなおにぎりを考えていたら、いつのまにか書いてました。
    ドラケンとイヌピーの話。
    おにぎりは作らないことになったので、タイトル詐欺です。

    #ココイヌ
    cocoInu

    そうだ、おにぎりをつくろう「ドラケン、おにぎりの具はなにが好きだ?」
    「うーん。鮭かな」
    「鮭か……。作るの面倒くせぇな」
    「待て待て。オマエがオレに作るのか?」 

     言葉が圧倒的に足りていない同僚をソファーに座らせて説明を求めてみたところ、「ココが忙しそうだから、おにぎりでも作ってやろうと思って」と言う。それはいい。全然いい。九井はきっと喜ぶだろう。

    「なんでオレに聞くんだよ……」

     乾は九井にサプライズをして喜ばせたいんだろう。それは安易に想像できる。
     だがしかし、イヌピー同担拒否過激派九井が面倒くさい。きっと今もこの会話をどこかで聞いているはずだ。最初の頃は盗聴器盗撮器の類を躍起になって探していた龍宮寺だったが、ある時期に諦めた。ようするに九井は乾の声が聞こえて、乾の姿が見られればいいのだ。盗聴器と盗撮器の場所を固定にしてもらった。盗聴盗撮される側が指定するっていうのもなんだかなと思いながらも、あらかじめ場所を知ったことで龍宮寺の心の安定は保たれる。ちなみに乾は中学時代から九井につねに居場所を知られている生活をしているので、慣れ切っている。
     まさか乾にそんなストーカーがついているとはつゆ知らず、共同経営に誘った龍宮寺だ。デメリットも多いがメリットもある。懸賞に応募した覚えのない懸賞グッズがやたらと送られてくるので、良しとすることにした。
     佐野万次郎をはじめぶっ飛んだメンバーとともに青春を過ごした龍宮寺は、もろもろなことにおおらかにならざるを得なかった。
     佐野の我儘につきあうのはもちろんのこと、拾い食いをする場地を叱り、目を離すと太りすぎる林田に運動をさせ、やはり目を離すとメンヘラをこじらせる羽宮をフォローする。三ツ谷は常識があるほうだが、妹に彼氏ができたときは「どこのどいつだブッコロス」と目を座らせたので、「相手は幼稚園児だぞ! オマエが本気になるのはあと20年早い!」と全力で止めたりもした。……なんだかちょっと目頭が熱くなってきた。
     ともかく、龍宮寺は乾にストーカーがいることを「イヌピーがいいっていうなら、いいんじゃね」とおおらかに認めていた。
     だが自身にトラブルが降りかかることは全力で拒否したい。なにしろ相手は梵天の大幹部様だ。

    「おにぎりの具はイヌピーのすきな具でいいんじゃね?」

     龍宮寺がリクエストした鮭になろうものなら、イヌピー同担拒否過激派の九井が血の涙を流すだろう。

    「ココはツナマヨは好きじゃねぇんだ」
    「そうなんだ」
    「いつもツナマヨはオレにくれるからな」
    「……それはイヌピーがツナマヨが好きだから、くれてるんじゃないのか」

     乾は初めて知りましたみたいな顔をしている。なるほどこれだけ鈍い男なら、十年以上のストーカー行為に気づかないわけか。逆にすげぇなイヌピー。龍宮寺はそっと目頭を押さえる。

    「九井はいつも何を食べてたんだ? それを思い出してみろよ」

     うーん、と唸っていた乾がはっと顔をあげる。

    「イカ刺し明太とかイクラしょうゆ漬けとか……」

     さすが九井。金に糸目をつけないセレクトだ。しかし、この展開はヤバイ。

    「もしかして、デパ地下で買えばいいのか?」
     
     そこに気づいてしまったか。龍宮寺は眉間を抑える。一方の乾の顔は明るい。そりゃ作るより買う方が簡単だし、美味いしな。だが、これはそういう問題じゃない。

    「九井はイヌピーに作ってほしいと思っているはずだぜ。おまえだってコンビニの弁当より手作りの弁当の方がうれしいだろ」
    「いや、オレはコンビニ弁当すきだぜ。美味いしな」

     イヌピー、オマエのそういうクールなところは嫌いじゃないが、荒れた九井が血の雨を降らせるんだ。主に経済界に。それは困る。たぶん困る。
     打開策を考えろ、考えるんだ、オレ!

    「イヌピー、手巻き寿司はどうだ?」
    「えっ? 手巻き寿司?」
    「それならオマエは酢飯と具を用意するだけでいい。好きな具は九井に直接聞いて、その場で作ってやればいい。これなら簡単で、間違いがない」
    「手巻き寿司か……いいな。たのしそうだな」

     よしっ! かかった!
     龍宮寺はひそかにこぶしを握る。

    「酢飯はあれだ、市販の混ぜればいいやつを買えばいい」
    「スーパーで売ってるやつでいいのか?」
    「三ツ谷も買ってる」
    「そうか。それなら間違いないな」

     本当のところは知らないが、三ツ谷のなまえを出しておけば、乾も納得するだろう。案の定、乾は「それならオレにも出来そうだな」とうれしそうだ。

    「あとはココの予定を聞けばいいだけだな」
    「オレの勘だが、今日か明日の夜あたり空いていると思うぜ」

     今頃死ぬ気で予定を空けているはずだ。なにせイヌピー同担拒否過激派なので。乾は「ドラケンの勘は当たるからな、ココに聞いてみよう」とすっかり乗り気だ。ほっと胸をなでおろしたドラケンは、盗聴器に向かって囁いた。

    「お礼はビール一ダースでいいぜ」

     我ながらいい仕事をした。

    「ドラケン、もしよかったらオマエも来ないか? 手巻き寿司は人数が多い方が楽しいだろ?」

     同僚からの夕食の誘いは丁重にお断りさせていただいた。
       
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